【ヘルスケアビジネスモデル9】世界No.1シェアのオリンパス内視鏡の課金モデル~症例単価払い VPP (Value Per Procedure)~

Pocket

 消化器内視鏡で世界シェア70%を占める圧倒的No.1のオリンパス

内視鏡で世界シェア70%を占める圧倒的No.1のオリンパスの内視鏡の課金モデルについて整理します。

その課金モデルは。症例単価払い(VPP:Value per Procedure)と言われるモデルです。


VPP:Value Per Procedureとは?

VPPとは、実施された症例数分に合わせて使用料を支払う課金形態で、従来のリース方式を更に発展させた新しい賃貸借契約です。

症例単価とは?

実施された症例数分に合わせて課金するため、症例毎の単価の算出が必要です。この単価が症例単価です。

下図が症例単価の説明図です。

最初に契約期間である5年間に必要とされるすべてのコストを算出して、契約物件総額を決定します。 それを5年間分の契約症例数*で割り、1症例ごとの使用料を算出します。 それが症例単価です。

*契約症例数:過去の症例数実績と、今後予想される症例数から導き出します。

Tmedixホームページより引用


VPPのメリット

VPPにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

機器の「借用」であるリースやレンタルとは異なり、VPP は 機器の一回の「使用」に対し支払いを直結させるサービスです。

とのことで、リースとVPPの違い(メリットとデメリット)を比較してみました。

メリット デメリット
VPP
  • 症例数連動の課金システムなので収入に見合った支出となる(一定収益を確保)
  • 症例単価あたりの機器導入費および修繕費が決まるため費用を計画化しやすい
  • プラス下記リースのメリット
  • 5年間継続使用しなければならない
  • 契約書症例数より実施症例数が大幅に増えた場合、支払いが多く発生する可能性がある(症例単価の見直しがない場合のみ)
リース
  • 初期投資の資金調達が不要
  • 固定資産税などがかからず事務工数が削減できる
  • 再リースすれば5年以上継続使用することができる
  • 5年間継続使用しなければならない
  • 別途、修理費用や保守費用が発生する
  • 症例数が減少しても支出は一定(損益分岐点を割り込み、赤字化する可能性がある)

一言でいうと、リースのメリットを生かして、さらにリースのデメリットである

  • 別途、修理費用や保守費用が発生する
  • 症例数が減少しても支出は一定

をなくしたものがVPPです。

したがってVPPには以下のメリットがあります。

  • 症例数連動の課金システムなので収入に見合った支出となる(一定収益を確保)
  • 症例単価あたりの機器導入費および修繕費が決まるため費用を計画化しやすい
  • 保守サービス(修理保証、機器故障時の代替品、定期点検)も付帯
  • 初期投資の資金調達が不要
  • 固定資産税などがかからず事務工数が削減できる
  • 再リースすれば5年以上継続使用することができる

一方でデメリットは、契約書症例数より実施症例数が大幅に増えた場合、支払いが多く発生する可能性がある、ですが、これは後述するVPP Option Plan 包括売買契約 [VOP]による値引きや、症例単価の見直しにより、オリンパス、病院双方にとってWin-Winとなる形ができそうです。

症例数連動の課金で収入に見合った支出(一定収益を確保)

症例数連動の課金で収入に見合った支出(一定収益を確保)について補足します。

下図がそれを説明した模式図になります。

Tmedixホームページより引用

リースの場合、症例数の増減に関わらず、一定の支払いが発生しますが、 VPP は実施症例数に応じて一例あたりの料金の支払いとなるため安定した収入を確保できます。

つまり、機器コストにのみ着目すれば、VPP なら初期投資が不要のため、1 症例目から利益が確保できることになります。

VPP Option Plan 包括売買契約 VOP

VPP Option Plan 包括売買契約 VOP についても補足します。

下図がそれを説明した模式図になります。

Tmedixホームページより引用

内視鏡検査や治療に欠かせない内視鏡処置具や 関連消耗品を効率よく運用していただくために、VPPを採用する施設に対して、内視鏡処置具や関連消耗品など材料費も含めてトータルパッケージで値引きする考え方です。


実際のVPP症例単価契約の試算

実際にVPP症例単価契約を締結した施設の実例を紹介します。

年間372症例×5年の5年契約の場合の試算で、新規購入とVPP契約を比較しています。

下記表の費用は、1症例あたりの金額を示します。

新規購入 VPP契約 備考
材料費 184,555 132,855 VOP特典値引き
減価償却費 12,640
保守費 2,715
VPP提案額 23,800
合計 199,910 156,685 差額:43,225/1症例

年間:1,600万(372症例)

VO`特典値引きも含めて、VPP契約では新規購入に対して1症例あたり、43,225円のコスト削減、年間で約1,600万円のコスト削減となります。

これに初期導入費用(正確な費用は不明ですが、減価償却費から考えると2,350万)が不要となるのが購入側からすると大きいですね。

おそらくオリンパス側は、症例数を増やして、VOPによりトータルでオリンパスからの材料費を上げることで収益を確保しているのではないかと思います。このあたりは、もう少し分析が必要なところです。


何故VPPなのか?

オリンパスの決算報告の説明でも、

⼤規模な初期投資を必 要としない「症例単価プログラム」による消化器内視鏡の更新加速

を成長ドライバーの1つとして説明しています。

下図はオリンパスのセグメント別売上高推移です。2016年3月期には、70%以上を医療セグメントの売上が占め、その50%以上が内視鏡関連となっています。オリンパス全体で見ても約40%が内視鏡関連だとのことです。

引用元:【オリンパス】M&Aを粉飾に利用 医療を軸に再成長へ https://maonline.jp/articles/olympus?page=3

この主力の消化器内視鏡事業の成長率は、年平均15%と目標(同9%)を大きく上回っている正に成長エンジンです。

VPPへ移行する大きな理由は、下記だと考えられます。

次の5カ年の重点施策の1つに掲げたのが、従来の主力だった「インストールベース型医療ビジネス」から「症例数ベース型医療ビジネス」へのシフトだ。医療費抑制の圧力から「病院の数はさほど増えないが、高齢化などにより症例数は増える」(田口氏)ことを背景とする。

症例数に比例して需要が増える「ディスポーザブル・デバイスビジネスを拡大する」(田口氏)のが同社の戦略。内視鏡とともに使う処置具など、使い捨てデバイスを強化する。

エビデンスやデータはありませんが、VPP導入により、

  • 初期導入費用が不要なことによる高性能機種の導入、更新を加速
  • 症例数を増やして、VOPによりトータルでオリンパスからのディスポーザブル製品の購入量を増やす

ことを狙っているのではないかと思います。このあたりはもう少し調査したいところです。


参考資料

  • 消化器内視鏡シェア(世界):70%※1No.1

<https://www.olympus.co.jp/ir/individual/strength.html>

  • VPP症例単価プログラム Tmedix

http://www.tmedix.com/service/

  • ~症例単価払いのメリット~

http://www.fes.med.kyushu-u.ac.jp/slide5-1.htm

  • 従来の主力だった「インストールベース型医療ビジネス」から「症例数ベース型医療ビジネス」へのシフト

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/033001358/?ST=health

  • 【オリンパスの医療事業】

http://diamond.jp/articles/-/15499

  • 【オリンパス】M&Aを粉飾に利用 医療を軸に再成長へ

https://maonline.jp/articles/olympus?page=3


ヘルスケアビジネスモデルの事例

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!