【ビジネスモデル10】セブンイレブンの40倍も儲かるセブン銀行ATMの常識外のビジネスモデル

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セブン銀行の利益はセブンイレブンの40倍

先日Yahooニュースに出ていた記事です。

コンビニATMの代表格「セブン銀行」。

単位床面積あたりの利益を比較すると、セブン銀行の利益はセブン・イレブンの40倍に達する

えっ、本当なの?すごいな?と思って読んでみると、ビジネスモデルも常識外でした。

ということで、なぜセブン銀行は圧倒的な超高収益を実現できたのか?そのビジネスモデルをまとめました。


セブン&アイ ホールディングスの事業セグメントごとの営業利益と営業利益率

セブン&アイ ホールディングスの事業セグメントごとの営業利益と営業利益率の数字です。

引用元:  2017年2月期 決算情報


セブン・イレブン擁するコンビニエンスストア事業が圧倒的に大きな利益をあげていることが分かります。

一方、祖業であるイトーヨーカ堂を擁するスーパーストア事業は、一定の利益は上げているものの、コンビニエンスストア事業と比べて1桁以上少ないことが分かります。

しかも営業利益率の差を比べるとまさにその差は歴然です。コンビニエンスストア事業では営業利益率が12.3%なのに対し、スーパーストア事業のそれはわずか1.1%に留まっています。

注目は金融関連事業です。その利益は501億円とスーパーストア事業よりも大きい。しかも、営業利益率は24.8%と、コンビニエンスストア事業をも抜いてダントツ1位です。

同事業には、セブン銀行・クレジットカード・電子マネーなどが含まれます。


セブン銀行の収益

セブン銀行はセブン&アイとは別に個別に決算情報を公開しています。

2017年3月期の業績は、経営収益(売上高に相当)1,216億円、経常利益367億円、経常利益率30.2%となっています。

利益の絶対額でいえば、セブンイレブンにはるかに及びません。

しかし、単位床面積あたりで稼いでいる利益を比較するとすごさが際立ちます。

ATM1台が占める面積は、わずか幅45 cm×奥行60 cmです。

セブンイレブンの平均的な床面積はおおよそ100 m2程度なので、ATM1台が占める床面積の約400倍です。

利益の絶対額の違いは10倍程度なので、単位床面積あたりで比較すると、セブン銀行の利益はセブンイレブンの40倍と極めて高収益であることが分かります。


常識外のビジネスモデルを実現したセブン銀行

セブンイレブンの40倍の超高収益の秘密は何でしょうか?

その秘密は常識外のビジネスモデルにあります

事業を開始する前には、銀行業界からは「常識はずれ、素人の発想、うまくいくわけがない」とまったく相手にされなかったビジネスモデルです。

通常の銀行のビジネスモデル

セブン銀行との比較のため、まずは、通常の銀行のビジネスモデルキャンバスを描きました。

単純化すれば、「銀行のビジネス」は基本的に「預金者」からお金を集め、集めた資金を企業や個人などの「融資先(融資利用者)」に貸し出し、その「利子」を得ることで成り立っています。

つまり「銀行のビジネス」にとってのお客様は、「預金者」でなく「融資先」であり、そこから得る「利子」が企業でいう収益となります。

ビジネスモデルキャンバスでは、「預金者」も顧客の欄に記載しましたが、ポイントは「預金者」を「パートナー」に記載している点です。「預金者」は資金を提供する供給者、つまりパートナーであって、「利息」という形で、提供した資金に対するリターンを得ているのです。


セブン銀行のビジネスモデル

通常の銀行のビジネスモデルを真っ向から否定

一方で、セブン銀行のビジネスモデルはまったく異なります。

銀行業の根幹ともいうべき「融資」を行いません。

店舗もありません。

つまり、従来の銀行のビジネスモデルを真っ向から否定しているようなものです。

提携金融機関に「手数料」を支払わせるモデル

セブン銀行はATMの利用料で稼ぐシンプルなビジネスモデルです。

しかも利用者が手数料を支払うのではなく、600以上ある提携金融機関(銀行も含まれる)が手数料を支払うというのがミソです。

提携先A銀行に口座を持つ預金者は、セブン銀行のATMを使ってA銀行の口座からお金を出し入れします。

ポイントは、この時、利用者はATMの手数料を支払う必要がないことです(提携金融機関や時間帯によって利用者が利用料を払う場合もあります)。

利用者に代わってATMの手数料を支払っているのは、利用者がお金を引き出している(あるいは入金している)A銀行というわけです。つまり、「セブン銀行の顧客は銀行」となります。

この記事を読むまで、このことを全く知りませんでした。

セブン銀行のビジネスモデルキャンバス

セブン銀行のビジネスモデルキャンバスを描きました。

このビジネスモデルのポイントは下記3点です。

  • 銀行業の根幹ともいうべき「融資」を行わない
  • 顧客は銀行
  • 他銀行の利用者がATMを利用した際に、利用者ではなく銀行から手数料をもらう

利用者への価値提供は、利便性です。

銀行と違って、セブンイレブンは至るところにあり、365日24時間、休みなく開いています。いつでも、どこでもATMを使えます。以前は外出する時は財布の中身を気にしましたが、今はコンビニで現金を下ろせるので全く気にする必要はありません。

一方で、金融機関が自ら利用者の手数料を払ってまでセブン銀行のATMと提携するのはなぜでしょうか?

自らATMを設置するには、コストがかかります。セブン銀行のATMと提携して、顧客が利用したときだけ手数料を支払うほうが、金融機関にとってもはるかに安上がりという訳です。

金融機関のなかには、もともとATMをそれほど設置していない証券会社や信金などがあります。

全国に約2万店あるセブンイレブンのATMが使えるようになれば、顧客の利便性は一気に高まります。このように金融機関にとっても、セブン銀行はありがたいサービスなのですね。


まとめ

今回この記事を読むまで、セブン銀行のビジネスについては全く知りませんでしたが、かなり驚きました。

  • 銀行業の根幹ともいうべき「融資」を行わない
  • 顧客は銀行
  • 他銀行の利用者がATMを利用した際に、利用者ではなく銀行から手数料をもらう

この3点は、まさに、これまでの銀行の常識を覆したビジネスモデルイノベーションですね。


参考資料

  • セブンの40倍も儲かるコンビニATMの謎

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180309-00024589-president-bus_all&p=1

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1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!