【ヘルスケアビジネスモデル16】門前薬局 VS 在宅訪問型薬局~診断後すぐに薬を受け取れる利便性 vs服薬に関する困り事を解決するサービス~

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ヘルスケアビジネスモデルを紐解くワークショップ

ビジネスモデルイノベーション協会(BMIA: http://www.bmia.or.jp/ )主催の

[ヘルスケア業界のビジネスモデルを紐解くワークショップ] https://hbmia010.peatix.com/view

に参加しました。

複数の医療・介護ビジネスのビジネスモデルを一気に描くことで、ヘルスケア業界の特徴や課題、今後のビジネスチャンスを議論し、学びや気づきを得ようというものでした。

下記のビジネスモデルキャンバスを描きました。

それぞれ、2つのビジネスモデルを対比させることで違いを議論し、それぞれのビジネスの特徴を理解しようという意図になっています。

当日は各チーム、1ペアのビジネスモデルを描きました。

介護についてはあまり知識がなく、頭の中は????だらけでしたが、面白かったですよ。

せっかくなので、自分が描いていないものも含めて、数回に分けて全てのビジネスモデルを自分なりに描きます。


保険薬局のビジネスモデル(門前薬局 vs 在宅訪問型)

まず最初は、下記で1度調べて馴染みのある保険薬局(門前薬局 or 調剤薬局)のビジネスモデルです。

門前薬局のビジネスモデルキャンバス

顧客は、処方箋を処方された患者さんです。

患者さんは、すぐ近くの門前薬局に行き薬を調剤してもらいます。

付加価値は、何と言っても「病院の近くですぐに立ち寄れる」こと。

そのため、立地が一番重要です。

それに対して、調剤薬局の本来の業務である調剤行為は、患者さんにとっては当たり前で、あまり価値を感じません。

門前薬局は、立地が全て、「放っておいても患者が集まってくる。これほど楽な商売はない」と言われる所以です。

それでは、何故、近くの薬局に行くのでしょうか?

自分も初めての病院で処方箋をもらう場合、「薬局はどちらですか?」と聞いて、近くの薬局に行きます。

自分の家の近くにも薬局はありますが、何故かそこにはいかず、病院の近くに行きます。

何故なんだろうか?少し考えました。

診察を受ける」ことと「薬をもらう」ことを一つのセットとして考えている気がします。

つまり、薬をもらうまでが一つの用事です。そのため用事を途中で中断することなく、近くの薬局ですぐに薬をもらい用事を完了させたい、という気持ちが強く働くのかな?と感じました。

薬局が家の近く、しかも帰り道にあったとしても、「薬をもらう」ことと「診断を受ける」ことを切り離してしまうと、わざわざ「薬をもらう」ために寄らなければならない、という気持ちになります。

これが、家の近くの薬局に立ち寄らない理由かな?と。自分なりに結構面白い分析でした。

そして、これが「かかりつけ薬局」が浸透しない心理的要因かな、とも思います。

そうであれば、例えば、病院で処方箋を受け取る時に、「お近くのご希望の薬局はありますか?そこに処方箋送っておくので、帰り道に寄って下さいね。その時には調剤も済んでいて、すぐに受け取って帰れますよ。」

というようなサービスがあると、すごく嬉しいです。

場合によっては薬局でかなりの時間待たされるので、待ち時間もなくなり、かつ多数の薬を服用している場合の服薬指導もより充実します一石二鳥のサービスじゃないかな?


在宅訪問型薬局(薬剤師の在宅訪問)

「薬剤師の在宅訪問」とはどんなサービスでしょうか?

「薬剤師の在宅訪問」では、患者の自宅や入居先に薬剤師が訪問し、医師の処方箋をもとに、薬のセットや薬剤管理を行います。服薬に関する相談に応じるほか、体調や副作用のチェック、残薬などを調整します。

具体的には下記のような薬に関するお困り事を解決してくれます。

  • 薬局に行くのが大変 ⇒薬剤師が薬をお届けします
  • どの薬を飲むのか分からない⇒ 薬の整理をして、いつどの薬を飲むのか分かりやすくします
  • 薬が飲みにくい⇒ 飲み方の工夫をしたり、飲みやすい形状の薬への変更を医師に相談します
  • 薬の効き目や副作用が心配 ⇒効き目や副作用について確認します
  • ついうっかり飲み忘れる⇒飲み忘れないように薬の管理方法を工夫します
  • 前にもらった薬があるけど今も飲めるの?⇒ 薬剤師が整理します

引用元: https://www.nicho.co.jp/homecare/

在宅訪問型のビジネスモデルキャンバス

在宅訪問型のビジネスモデルキャンバスを描きました。

希望者はサービスを受けられますが、ターゲットは「薬に関するお困り事をかかえる自立困難な多剤服用者だと考えられます。

提供価値は、「家にいながら薬がもらえて服薬できること」がまず考えられますが、最も重要な価値は、「服薬指導です。

以前に高齢者の薬に関する悩みや困り事を整理した際に、まさに、薬の飲み忘れや、多剤問題、などがクローズアップされました。これらのお困り事を解決するのが、「服薬指導」になります。

もう一つ、薬に関するお困り事を家族で解決しようとすると、結構な労力がかかります家族の負担も軽減されることが付加価値です。

また門前薬局と違って、薬剤師には服薬指導やコミュニケーションの力量が必要になります(キーリソース)。

サービスを受けるにあたり、主治医やケアマネージャーに相談し、お互いに協力する必要があるのでなので、パートナーとして主治医やケアマネージャーが登場します。

費用の面は、介護保険、医療保険、どちらかを利用します。

保険点数は、介護保険で503点、医療保険で650点で、サービス費は総額5,030円(介護保険)、6,500円(医療保険)となります。患者の負担は1割負担だと503円(介護保険)、605円(医療保険)になります。

これが調剤費にプラスされます。

6,500円(医療保険)と知って、ビジネスとして利益が出るレベルじゃないのかな?と思いました。

在宅訪問型ビジネスの浸透

ビジネスとしてメリットがあるとすれば、普及が進んでいるだろう、と思って調べてみました。

引用元:「患者のための薬局ビジョン」実現のための アクションプラン検討委員会報告書 ~かかりつけ薬剤師・薬局となるための具体的な取組集~

在宅業務を行っている薬局は約半数の52.7%、もっと少ないのかと思っていたので、半数が在宅を行っているというのには驚きました。

在宅業務を行っていない主な理由としては、

  • 「薬剤師の人員不足のため」(58.9%)
  • 「在宅業務の経験・知識がなく、対応方法がわからないため」(16.0%)

があがっています。薬剤師の確保が課題なんですね。


まとめ

門前薬局は、立地が差別化要因で、「処方箋をもらった後にすぐに立ち寄って薬を受け取ることができる」という価値を提供するこれって何か変です。

やはり調剤薬局の価値は、患者目線で考えると「服薬に関するお困り事を解決する服薬指導」だと思います。

その点から、今後門前薬局も、立地メインの差別化から、服薬指導などのサービスによる差別化に移行していくことが必要になります。

かかりつけ薬剤師も、服薬指導を目的として制度ですし、今後サービスによる差別化が進むことで、患者にとってメリットが増えるといいですね。


参考資料

  • 薬剤師訪問サービス

<https://www.nicho.co.jp/homecare/>

  • 参入割合はわずか15% 薬局在宅医療参入のポテンシャル

<https://www.projectdesign.jp/201505/healthstation/002092.php>

  • 「患者のための薬局ビジョン」実現のための アクションプラン検討委員会報告書 ~かかりつけ薬剤師・薬局となるための具体的な取組集~

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/imuyakumu-jyouhou/data/yaku/h29/y290421-1.pdf


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ヘルスケアビジネスモデルを紐解くワークショップで描いたビジネスモデルキャンバス

[ヘルスケア業界のビジネスモデルを紐解くワークショップ] https://hbmia010.peatix.com/view

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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!