「関係の質」を向上させ、成功の循環モデルを回そう!~複数部門にまたがる対話ワークショップで働き易い職場を作るためのアクションを決める~

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複数部門にまたがる対話ワークショップ

3回立て続けに、複数部門にまたがる対話ワークショップをファシリテーションしました。

従業員アンケートやインタービューの結果から、

  • 自分の業務を遂行することが容易でない
  • コミュニケーションがよくない
  • 部門間の壁

などという声がキーワードとして浮かび上がってきました。

その改善策を検討するため、部門をまたいだコミュニケーションにフォーカスしたワークショップをやろう、ということになりました。

特に関連が深い2, 3部門からメンバーを集めて、4時間のワークショップをデザインしました。


ダニエル・キム(MIT教授)の「組織の成功循環モデル」

今回のワークショップのポイントは「部門をまたいだコミュニケーション」です。

「部門をまたいだコミュニケーション」の重要性は多くの方が認識されていると思います。

マサチューセッツ工科大学(MIT)のダニエル・キム教授が提唱する「組織の成功循環モデル」で、その重要性を分かりやすく理解できます

組織の成功循環モデル(マサチューセッツ工科大学 ダニエル・キム教授 提唱)


組織の成功循環モデルには2つのサイクルがあります。良いサイクルと悪いサイクルです。例を出しながらまとめてみます。

バッドサイクル

これは、④→①→②→③→④→・・・というサイクル。

  1. 成果・業績が上がらない(結果の質)
  2. 対立が生じ、押し付け、命令・指示が増える(関係の質)
  3. 創造的思考がなくなる、受け身で聞くだけ(思考の質)
  4. 自発的・積極的に行動しない(行動の質)
  5. さらに成果が上がらない(結果の質)
  6. 関係がより悪化する、なすり合い、自己防衛(関係の質)

となり、だめーな感じのバッドサイクルがくるくる回ってしまうわけです。

停滞していたりなかなか成果の上がらない組織は、このようなバッドサイクルに陥っていることがよくあります。

グッドサイクル

一方で、①→②→③→④→①→・・・というサイクルはGoodです。

「関係の質」を重視して組織をマネジメントしていくことにより、

  1. 互いに尊重し、結果を認め、一緒に考える(関係の質)
  2. 気づきがあり、共有され、当事者意識を持つ(思考の質)
  3. 自発的・積極的にチャレンジ・行動する(行動の質)
  4. 成果が出てくる(結果の質)
  5. 信頼関係が高まる(関係の質)
  6. もっと良いアイデアが生まれる(思考の質)

といった、グッドサイクルがぐるんぐるんと回り続けていきます。

遠回りをしているようでも、何よりもまずメンバーとの「人間関係の質」を高めることが、成果を持続的に出していくための近道ということになります。

そして「人間関係の質」を高めるためには、何と言ってもコミュニケーションが鍵となります。


「関係の質」の5つのレベル

「関係の質」には下記5つのレベルがあるといわれています。これを意識してワークショップをデザインしました。

レベル1:必要最低限

  • 良くいくカフェやコンビニの定員だと知っている。
  • ビル内の掃除をしている人だと知っている。
  • 別の部署の有名人。

レベル2:属性・個性の共有

  • 一緒に仕事をしている。
  • 話をしたことがある。
  • 名前やお互いの趣味等を知っている。

レベル3:考えの共有

  • 仕事をする意味を理解している。
  • 依頼された仕事の意味を理解できる。

レベル4: 目的の共有

  • 仕事をする目的やビジョンをお互いが理解している。
  • 目的を達成するために必要なことを遠慮無く話し合える。

レベル5: 価値観の同化

  • 仕事の価値を理解している。
  • お互いの価値観を理解している。
  • 相手の行動の意味を問わずに理解出来ている。

ワークショップのデザイン

進め方は以下の5つのステップです。

「関係の質」を高めるため、5つのレベルを意識してレベル1→5に向かって対話が進むようなデザインです。

1. お互いに知り合う・共感する

初めて会う人もいる中で、より深くその人となりを知るため、子供の頃、思春期の思い出話や、仕事における最高の体験を紹介してもらいました。

現在の姿とは違う意外なエピソードも紹介され、心の壁を溶かす効果も期待できます。

2. 未来に向けて大切にした価値の探求

最高の体験を通して得れらた「大切にしたい価値観」をポストイットに書き出し、チームで共有します。

チームワーク、相手の目線で仕事をする、最後まであきらめない、常に考えて工夫する、など仕事をする上で欠かせない価値観が浮かび上がりました。

チームワークや相手の目線で仕事をする、というのはまさしく、「関係の質」向上に通じます。

多くの人がこれを大切に思っていることを共感できたことで、最後のアクションで部門間で協力したアクションにつながりました。

3. 現状を映し出す

現状、「誇りに思えること」、「残念に思うこと」をポストイットに書き出し、チームで共有します。

最初は「残念に思うこと」が多く出てきましたが、一旦それを出してしまうことで、「誇れることもあるんじゃないの?」と視点が切り替わり、結果として「誇りに思えること」も多く出てきました。

4. 理想の状態を具体的に表現する

「理想の状態」を頭に思い描いてもらい、その状態を具体的にポストイットに書き出し、チームで共有します。

5. 共に前へ!一歩を踏み出す

現状の課題を解決し、理想の状態に近づけるためにできる複数部門で協力してできるアクションを決めます

やるべきをポストイットに書き出し、議論を収束させアクションを明確にするため、実現性、効果の2軸で優先順位をつけます。


ワークショップ実施の結果

実際にやってみた感想です。

思った以上にお互いのこと、お互いの業務のことを知らないなあ、というのが新鮮な驚きでした。

営業の人が、物流部門が何をやっているのか分かってとてもよかった、と感激していたり、資料をi-phoneで撮影したりしていたのが強く印象に残りました。

今回、製品の納入遅延など物流の問題がクローズアップされました。

物流部門は、課題解決のためあらゆる努力をしています。ところが、営業部門では、必要なものがない、といった結果だけしか見えません

そうすると営業から見ると「こっちはお客に謝って何とかしのいでいるのに物流部門は何やってんの?」、逆に物流部門から見ると「死にもの狂いで課題解決に向けて対応しているのに、営業は文句言うだけじゃないの?」という情況になってしまいます。

まさにバッドサイクルです!

今回のワークショップでは、お互いの業務を知ること、お互いの努力を知る事ができました

「物流部門は、グローバルと激しく交渉したり、都度状況確認しながら営業のニーズに合わせて優先度を調整してくれているんだ」「営業部門は、営業支店や代理店にある在庫などを融通して影響が出ないように努力してくれているんだ」、とまさにグッドサイクルの最初「関係の質」がよくなったのです。

その結果、グッドサイクルに入り、「思考の質」があがり、前向きなアクションを議論することができました

このように複数部門にまたがるワークショップというのはこれまであまり機会がありませんでしたが、「関係の質」を向上させる、非常によい取り組みだと実感しました。

今回のワークショップは4時間と長丁場だったので、短時間でフレキシブルにできる形式にすれば、より実践的で有効な手段となるな、と感じました。


参考資料

  • 戦略を実行する第2ステップ―組織の成功循環モデルを知り、リーダーシップを強化する

http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1112/05/news007.html

  • 必修!ダニエル・キム(MIT教授)の「組織の成功循環モデル」まとめ

http://164s.net/2279.html

  • 組織変革プロセスの見える化~生成的変革アプローチで組織を成功の好循環に乗せよう~

http://www.humanvalue.co.jp/hv2/insight_report/articles/post_80.html

  • 関係性の質はどうやって高める?

http://www.haruneki.com/?p=2114

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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!