ITシステムのサイロをなくし全体最適化することで業務効率を飛躍的に高めるオペレーショナル・エクセレンスの一つのモデル~ひとり情シス虎の巻~

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10人いたIT部門が消滅して一人でITシステムの面倒が見れるのか?

10人いたIT部門が消滅して一人で会社のITシステムを面倒見ることになった著者。

  • 250台のサーバーを一人で管理
  • 複数の業務システムを一人で開発
  • 定時で帰宅、長期休暇もOK!

と帯に書いてあり、こんなの一人でできるのか?スーパーマンなのか?と興味を引かれ読んでみました。

「ひとり情シス」虎の巻(成瀬 雅光[著])

ITシステムのサイロをなくし全体最適化することで業務効率を飛躍的に高めるオペレーショナル・エクセレンスの一つのモデル

著者の奮闘記なのかな?と思って読み進めましたが、非常に大きな学びがありました。

それは、実は多くの組織でかかえる

  • システム間の壁(サイロ)
  • システムが外注任せでブラックボックス化し、柔軟性がなくなる
  • それによりシステム同士が孤立化し、システム管理が複雑となる
  • システムに合わせて業務もサイロ化し、業務が部分最適となる
  • 組織全体の業務が分断、部分最適となり業務全体の効率が悪い

というような問題を、ひとり情シス(ひとりでITシステムの面倒を見る)へ移行しながら、「ITシステム間のサイロをなくし業務を全体最適化することで組織全体の業務効率を飛躍的に高めるオペレーショナル・エクセレンスの一つのモデルでした。

以下がそのエッセンスです

  • サーバーの仮想化
  • サーバー間のOS、ミドルウェアを統一し共通のプラットフォームを共通化
  • 基幹システムのデータベースを切り離し内製化
  • 業務システムを簡単に作成できるようにして業務システムを内製化

順に補足します。


ITシステムが独立している状態の課題

組織が大きくなって来ると、下図左のように、システムごとに物理サーバーが独立してきます。

実際、弊社でもそうなっています。

下図左は、3つの業務システムとデータベース(DB)が独立になっている様子を表しました。

システムごとにベンダーに外注するケースが多いので、システム1, 2, 3とDBで、物理サーバーも違う、OSも違う、その上で動くミドルウェアも違う、ということになり、それぞれのシステムが独立したプラットフォームの上で異なるアプリ(業務システム)が動く、という構図になります。

システム1, 2, 3とDBが完全に独立、すなわちサイロ化された状態です。

こういう状態だと

  • サーバー管理の手間が増える
  • サーバー数が増えるのでトラブルが増える
  • システム開発時に、既存システムのプラットフォームやプログラムを活用できないで開発工数が増える
  • システムやデータの連携がないので業務全体の最適化が図れず、業務効率が上がらない

ということになります。


システムの仮想化

下図のように独立した200以上の物理サーバーを仮想サーバーに移行します。

  • サーバー管理の手間が増える
  • サーバー数が増えるのでトラブルが増える

ことに対する直接的なソリューションで、仮想サーバーに移行することで、サーバー管理の手間やトラブルが圧倒的に削減されます。

引用元: http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/16/100400218/101800003/?P=4


サーバー間のOS、ミドルウェアを統一しプラットフォームを共通化

サーバーの仮想化に合わせ、OS(下図のLinux)やミドルウェア(下図のPHP, Aprache, Oracle Client)を統一しプラットフォームを共通化します。アプリケーションで共通で使える部分を基本ライブラリとしてアプリケーション同士で共通利用できるようにします。

これにより更にサーバー管理の手間やトラブルが削減することに加えて、次に業務システム(アプリケーション)を開発する時には最上位の機能部分だけを開発すればよいので、圧倒的に開発工数が削減できます。

引用元: http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/16/100400218/110800005/?P=1


基幹システムのデータベースを切り離し内製化

システムではデータベースが最も重要です。ビジネスのオペレーションはデータを処理、活用することだからです。そして欲しいデータやオペレーションプロセスは変化していきます。

  • こんなデータが欲しいんだけど
  • オペレーションを変更したいんだけど

というニーズが出てきた時に、データベースまで外注していると、簡単にニーズに対応できません

また業務システムを作る時にも、データベースが外注されていると、データベースとのインターフェースを作ることが容易ではありません

以前に勤めていた会社では、600人規模の工場でしたが、完全にデータベースが内製化されていて、データベースへアクセスしデータ抽出する権限ももらえていました。そのため、SQLでデータを抽出して加工したり、業務システムの開発も比較的容易でした。

今の会社はデータベースへのアクセスができず、またデータ抽出や業務システムの開発も厳しく制限されているので、ほとんどフレキシビリティがありません。非常にフラストレーションを感じています。

本書のケースでも、当初はデータベースは基幹システムと合わせて外注管理となっていました。

これを段階を踏んで内製化しました。

引用元: http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/16/100400218/102600004/?P=4


業務システムを簡単に作成できるようにして業務システムを内製化

  • サーバーの仮想化
  • サーバー間のOS、ミドルウェアを統一し共通のプラットフォームを共通化
  • 基幹システムのデータベースを切り離し内製化

ができると、サーバー管理の手間は劇的に減り、また複数のシステムのプラットフォームが共通となり、データベースも内製化されているのでその上に作る業務システムは少ない工数で容易に作ることができるようになっています

さらに、共通のプラットフォームの上でシステム同士がバーチャルで連携しているので、システム間の連携や業務プロセス間の連携が見えてきます。そうするとシステム全体を見て、効率的な業務システムが開発できるようになります

開発工数も少なく、業務効率向上という点では非常に質の高い業務システムが開発できます。

まさに究極の業務システム開発ができ、その結果、実際の業務効率も飛躍的に向上するのです。


まとめ

以上のように、この本の内容は「ITシステムのサイロをなくし全体最適化することで業務効率を飛躍的に高めるオペレーショナル・エクセレンスの一つのベストプラクティスモデル」でした。

著者は、一人だからできた、と言っていますが、これを一人でやってしまうところがすごいです。

  • サーバーの仮想化
  • サーバー間のOS、ミドルウェアを統一し共通のプラットフォームを共通化
  • 基幹システムのデータベースを切り離し内製化
  • 業務システムを簡単に作成できるようにして業務システムを内製化

というステップを、仮説検証を繰り返しながら、一つ一つクリアしています。その過程は是非、本書を読んでご理解下さい。

今思うと、前の会社は一人情シスではありませんでしたが、本書の形に近い状態でした。そのためITを活用したオペレーションの改善が非常にやりやすかったです。

それに対して今の会社は、サイロ状態です。

この2つの違いが、本書の内容を模式図に表すことで構造として理解できました。

これは私にとって非常に大きな学びです。

次のステップとして、今の会社のようにシステムがサイロ状況の中で、どのようにITを活用しながらオペレーションを改善していくか?ということを考えていきたいと思います。


参考資料

  • 10人のIT部門が消滅~ひとり情シス顛末記

<http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/16/100400218/100400001/?P=2>

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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!