【ヘルスケアビジネスモデル28】2017ジャパン・ビジネス・モデル・コンペティション優勝のメドケア~生活習慣病特化型診療サービス~

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メドケア~生活習慣病特化型診療サービス~

先週の日経新聞に出ていたので、ちょっと調べてみたら、驚きのビジネスモデルであることが分かりました。

~生活習慣病特化型診療サービス~メドケアです。

「生活習慣病患者の医療のあり方を再定義する予防医学総合プラットフォームサービス」

メドケアのホームページの記載です。

「生活習慣病患者の医療のあり方を再定義する予防医学総合プラットフォームサービス」

生活習慣病患者向けに、スマートフォンとウェアラブルデバイスを用い、減薬を目的とした遠隔診療・遠隔生活指導を行います。24時間情報を取得できるウェアラブルデバイスのデータに基づく効果的な生活指導サービスと、減薬を目的とした特徴的な遠隔医療サービスによって、生活習慣病患者の重症化予防、医療費の削減を実現します。

引用元: メドケアホームページ


JBMC2017(ジャパン・ビジネス・モデル・コンペティション)で優勝したメドケア

これだけだと、今はやりIoTを活用した遠隔診療で、何が他と違うのかな?という印象でした。

でも、下記の記事を見つけました。

生活習慣病患者の治療とコストを遠隔診療で解決するビジネスモデルによってJBMC2017で優勝した早稲田大学大学院チームのメドケア(http://www.medcare.jp)が、日本経済新聞社が実施した「NEXTユニコーン108社」に選出されました!

(日本経済新聞2017年11月20日付朝刊)。

デジタルヘルスケア市場における日本の有力ベンチャーとして今後の成長が大いに期待されます。

また、このビジネスモデルで特許も取得しているとのこと。

一体どんなビジネスモデルなんでしょうか?

更に調べてみました。


非合理的で高コストな医療の仕組みを解消

従来の医療環境には、以下の3つの問題がありました。

  • 費用の不明瞭さで、現在の請求制度は医師の裁量に依存しており、患者は支払窓口に行くまで費用が分からないことだ。
  • 費用の高さで、医療機関は患者にとって便利な、ワンストップで包括的なサービスを提供しているため、高コストになりやすい。
  • 医療機関は端的に言ってしまえば患者が病になることがマネタイズ源となるため、患者が増えたほうが儲かる仕組みとなってしまっている。

結果として、生活習慣病の事前予防よりも、患ってからの重症化予防治療が主となってしまっている点が大きな問題でした。

これらの問題に対し、Medically「メディカリー」(メドケアの提供するシステム)はより合理的で好循環をもたらすモデルを提案しています。

  • 疾病ごとの定額費用制とすることで分かりやすい料金体系を整えた。
  • 生活習慣病患者に対象を限定し、余計なコストがかからないようにしている
  • 定額制BtoBtoE (BtoE:企業と従業員の取引)ビジネスであるため、患者が増えれば増えるほど健康保険組合の負担が増えることとなり、自然と患者を減らす未然予防医療へと移行していく仕組みになっている

健康保険組合に向けたサービスで医療の無駄を削ぎ落とす

「メディカリーは健康保険組合に向けたサービス」、これがビジネスモデルのポイントなんですが、今一つ理解できないので、自分なりにビジネスモデルの特徴を模式図で表してみました。

上側が通常の遠隔医療です。メディカリーが遠隔医療のため、比較のため遠隔医療としましたが、これは遠隔かどうかに関わらず保険診療です。

患者さん(組合員)は、健康保険料を払います。

医療サービスを受けた場合は、自己負担分(通常は3割)を支払います。残りの7割は、保険から支払らわれます

医療機関は端的に言ってしまえば患者が病になることがマネタイズ源となるため、患者が増えたほうが儲かる仕組みとなっています。

これに対してメドケア(メディカリー)のビジネスモデルは下記となります。(あくまで私の理解でまとめたものです)

糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症の4種類の慢性疾患に特化した遠隔診療サービスです。

想定ユーザーは企業で働く“生活習慣病予備軍”

ユーザーは業務の隙間をぬって通院することなく、専用アプリ内のビデオ通話やチャットの機能を使い、食事指導や診療をスマートフォンで手軽に受けられます。

4つの疾患に領域を絞ったのは下記理由です。

遠隔診療は対面診療に比べ、提供できる医療行為が制限される。安全に提供するため、比較的、軽症の方を対象とした。また、あらゆる疾病に対応するためにはさまざまな設備が必要となる。対象とする疾病領域を戦略的に狭めることで、サービスを合理化でき、コストが大幅に下げられる

ホスピタリティを売りにした”プラス”の医療サービスだけでなく、無駄を削ぎ落としたミニマムな医療サービスです。

そして最大の特徴は、保健診療ではなく自由診療を対象とし、利用料は保険医療と同様に、健康保険組合がその7割相当額を支払う」点です。


サービスの具体的な内容とマネタイズの仕組み

サービスを導入すると、メディカリーは健康保険組合から組合員の検診データやレセプトデータの提供を受け、現在の状況から最低限行うべき治療内容を見立てて、組合員ごとにかかる医療費を計算します。

現在の健康状態から、想定されるコストを予測できるのは、スタッフに医師も抱える同社ならでは。

独自に設定した計算式で算出したミニマルコストを元に初期の医療費を設定します。その後、健康状態の改善状況に応じて、次月以降医療費を決めていきます。

組合員である患者は提携クリニックへ行くと初診時にウェアラブルデバイスを貸与されます。

ここから歩数や活動量などの健康状態を観察できるので、改善効果が見られた人に対しては、それに応じて医療費の水準を下げることができるのだ。

こうすれば、患者は医療費を下げるために熱心に治療に取り組みます。下図では、3万/月が、50%削減され1.5万/月になったと想定

結果的に、健康保険組合の支払う医療費も下がります。同じく、50%削減され、7万/月が3.5万/月になります

提携クリニックで行われる治療は自由診療行われた診療行為に対してではなく、改善効果に応じて金額が決まるため、効果的な治療へのモチベーションも上がります

「現状では、コストの決定に関わる医師、本質的な支払い者ではない患者ともにコストにシビアになりにくい。病院は軽症な人にも病名をつけがち、患者は”とりあえず”で受診しがちだ。インセンティブが症状改善や予防に努める方向とは逆に働いてしまっている。コストとサービスの合理化を図るため、点数稼ぎに陥らない仕組みをつくりたかった」

という発想から生まれたのがこのモデルです。

組合員は、サービス利用料として健康保険組合に定額支払います。(定額制BtoBtoEモデルという記載から推測したものです。)

患者(組合員)がメドケアのサービスと遠隔医療サービスを受けることで、症状を改善します。

月間最大で9回にも及ぶ治療介入もメドケアの強みです。

「初回は対面診療、2回目以降は対面診療と遠隔診療を月1回程度組み合わせる。その間に管理栄養士や保健師による栄養指導、生活指導を月に最大で8回実施する。糖尿病に関しては早期に指導を行うことで行動変容が現れるといったエビデンスもある。1回と9回の差は歴然だ」

その結果、患者の生活が改善され、患者自身が支払う医療費が下がり、合わせて、健康保険組合の支払う医療費も下がります

「生活改善によって、組合員の不要な医療を減らす。結果的に、健保組合に対する医療費削減ソリューション」です。

メドケアは、「健康保険組合の支払う医療費削減額(下図では3.5万/月)に応じて費用を受け取る」というマネタイズのスキームとなっています。


まとめ

このように模式図に整理しはじめて、このビジネスモデルのすごさが分かりました。

  • 自由診療を対象としている
  • 健康保険組合と組合員(患者)を対象としたB(メドケア) to B (健康保険組合)to E(組合員)のビジネスモデル
  • 健康状態を改善するインセンティブが働くマネタイズの仕組みとなっている

点がすごいですね。

なるほど、コンテストで優勝するのも理解できました。


参考資料

  • メドケア株式会社

http://morningpitch.com/startups/6994/

  • ヘルスケアスタートアップ10社、熱いピッチで競演(page 5)

<http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/327442/080900076/?ST=health&P=5>

  • 病気は「治療」から「予知」して防ぐ時代へ。メドケア株式会社・明石 英之のインタビュー <https://onlystory.co.jp/stories/medical/ages/362>
  • メドケア、特定健診の結果から「疾病リスクスコア」を算出 3年後までのスコア推移もAIで提示

https://medit.tech/medcare-launched-a-service-presenting-disease-risk-score/

  • 遠隔診療を活用した超合理的な医療サービス<メディカリー・前編>

<http://bizna.jp/2017/12/20/medically1/>

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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!