【ヘルスケアビジネスモデル29】メディライン~機微な医療情報をオンラインで安全にやりとりする医療者専用のLINE~

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医療者専用のLINE

昨年末の日経新聞に出ていた記事です。

「シェアメディカルの医療用チャットサービス「メディライン」が、カンボジアのサンライズジャパンホスピタルに正式採用された。2017年12月から150人の医師・看護師で利用を開始している。メディラインの初の海外展開事例となるという。」

メディラインについて同社代表の峯啓真氏は次のように語っています。

「お医者さん専用のLINEです、と説明すると若い方も年配の方もすぐ理解してもらえます」

その利便性とわかりやすさが最大の特徴で、2017年4月のリリースから半年足らずで、60施設、1000ユーザーまで活用が広がっています。


代表の峯啓真氏

峯氏は、口コミ病院検索サイトなどのサービスを手がける「QLife」の創業メンバーです。病院検索、お薬検索などの医療アプリを次々にリリースし、成功を収めています。

「医療ITの分野に関してはトップランナーを走っているという自負がありました。しかし、知れば知るほど医療のIT化が遅れていることがわかってきました。医療ICTを推進することは医療費の増大を抑制し、皆保険制度の崩壊を防ぐ特効薬だと信じていました」

彼の運命を変えたのは、東日本大震災である。◎◎の基地局はすべて押し流され、通信が途絶するというエリアが広域に発生した。院内の電子カルテのシステムは海水に浸かり、復元は叶わなかった。

ある時映像で、泥まみれの紙のカルテを見つけ出し、水で洗ってガラスに貼り付けて乾かして『これで治療が続けられます』と話す医師の姿を見ました。医療ITを推進してきた自分のキャリアが全否定されたようで、膝から崩れ落ちました」。

シェアメディカルを起業したのは2014年3月のこと。震災を機に多くの医療者と交流し、現場で真に求められている”もの”を見聞きしていた。「お医者さん自身は日々の臨床仕事が忙しく、ITによる医療改革の中心になるのは難しい。だったら僕が、静かなる改革者になって、一つひとつ小さな改善点を示していこうと考えたのです」。


忙しすぎる医師は誰でも当たり前に使えるシンプルなコミュニケーションツールを求めていた

メディライン開発の背景にあったのは、医療現場における情報齟齬の問題です。

多くの医師は忙しすぎ、またシフト勤務によっても情報のすれ違いが生じるため、同じ施設内にいながら直接コミュニケーションをとる時間が不足しています。

フェイスブックなど既存の無料SNSを使おうにも情報漏えいのリスクがつきまといます。

医療者はクローズドで情報交換できるコミュニケーションインフラを求めていました

本質的には医療者は高機能なツールを求めているのではなく『誰にでも当たり前に使えるツール』を求めている。だから使いやすさ、理解のしやすさが第一優先です」。

医療の現場には、医師以上にナースやヘルパーといった”コメディカル”の人数が多く、年齢層も幅広い。全体として捉えると、ITリテラシーはまちまちです。

しかしメディラインは単純なアプリですから『LINEぐらいなら使える』とすんなり理解してもらえますし、導入してすぐ、安心して誰でも使いこなせるのです。

逆に、ディラインに、技術的な大発明といえるものはありません。

患者情報をオンラインでやりとりする際のガイドラインに準拠していること、情報を暗号化していることなどは技術的なポイントですが、ユーザー目線で困り事の解決にフォーカスした点が最大の価値となっています。


シンプルなビジネスモデル

  • クローズドで情報交換できるコミュニケーションインフラ
  • 誰にでも当たり前に使えるシンプルなツール

を実現したメディラインです。

ソリューションもシンプルですが、マネタイズもシンプルです。下記表のように、ユーザー数に応じて利用料を徴収します。


また院内のコンプライアンスなどの理由で外部サーバに患者データを置けない施設には、ハードウェア版も提供しています。

フリー スモール ベーシック スタンダード プレミアム カスタム
年会費 ¥0 ¥3,000 ¥13,500 ¥24,000 ¥30,000 5%
月額料金(1組織当り) ¥0 ¥5,000 ¥22,500 ¥40,000 ¥50,000 お見積
ユーザー数 3 10 50 100 200 201以上
ストレージ容量 1GB 20GB 100GB 200GB 400GB 応相談
最大グループ数 1 100 500 1000 2000 応相談
最大部門数 1 10 50 100 200 応相談

医療専用スマホでプラットフォームを押さえる

「本当にやりたいのは、メディラインを核とした医療ソリューションです」と峯氏。

今、大手PCメーカーと組み、医療専用スマートフォンの開発を進めています。

「これがメディラインなど医療用アプリを配信するプラットフォームにもなります。我々にとってはハードからソフトまで垂直統合的なビジネスモデルを組む意味は大きい。医療者とのコネクションがさらに密になるという利点がありますし、ベンダー側も医療マーケットに参入する糸口をつかめるというわけです」

まとめ

これまで見てきたヘルスケアビジネスモデルの中で、このメディラインが一番シンプルです。

ソリューションもビジネスモデルも、すごい、という印象は全くなく、拍子抜けするくらいです。

なんだ、そんなことに困っていたのか?そんなニーズがあったのか?典型的な「顧客体験に基づくお困り事解決ソリューション」ですね。


参考情報

  • シェアメディカル ホームページ

https://www.sharemedical.jp/about/

  • 医療専用チャットツール「メディライン」が、 臨床現場のコミュニケーション齟齬を解決!

<https://www.dreamgate.gr.jp/contents/case/company/29149>

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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!