【治療イノベーション】近赤外線でがん細胞が1分で消滅、転移したがんも治す驚きの治療法「がん光免疫療法」

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「がん光免疫療法」とは?

「がん光免疫療法」とは近赤外光線を照射してがん細胞だけを死滅させる治療方法です。

  • がん細胞に結合する抗体に、近赤外光線の光で化学反応を起こす物質(IR700)を付け、注射で体内に入れる。
  • 抗体は血流に乗ってがん細胞に付着するので、そこにランプや内視鏡で近赤外光線を当てると、物質が熱を発してがんの細胞膜を破壊する。
  • 正常細胞に害を与えず、がん細胞だけを死滅させる選択性が極めて高い。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=rnc1FoLm2lg


発見したのは日本の研究者

「あまりにも簡単すぎて面白くないと言われます」と語るのは、この治療方法を発見した米国立がん研究所(NCI)の主任研究員・小林久隆医師です。

小林氏は、光によるIR700の化学反応を世界で初めて発見し、この「光免疫療法」にたどり着きました。

原理は下図の通りです。

図1:近赤外線を使った新しいがん治療法のイメージ

引用元:https://www.mugendai-web.jp/archives/8462

  • がん細胞にくっつく薬(IR700)を静脈注射により体内に注入する。
  • 体に全く害のない「近赤外光」を当てるだけ
  • 1分程度で、がん細胞が破裂して、がん細胞が消える。

たったこれだけ、驚きの治療法です。

しかも、がん細胞だけが壊れ、それ以外の細胞には影響がないため副作用もありません

例えば放射線治療では、がん細胞が死ぬ前に放射線があたった免疫細胞が先に死んでしまいますが、この「光免疫療法」ではがん細胞だけが壊れます

また、がんの種類により抗体を準備する必要がありますが、10種類程度準備すれば、理論的には8-9割のがんに適用可能とのことです。

詳しいことは、小林さん自身が語っている動画を参照ください。

スペシャルセッション:小林 久隆 -NEST2017-


日本での治験スタート

臨床試験のフェーズ1が、日本でも国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で3月から始まっています

先行する米国ではすでにフェーズ2が終わっており、今年中には米・日・その他地域でフェーズ3に進む予定です。

米国での治験は再発頭頸部がんで奏効率93%、完全奏効功率47%の好成績です。

米食品医薬品局(FDA)は承認審査を迅速に進める方針を発表しており、2年以内に実用化される見通しもあります。

現在の治験対象は、日米とも再発頭頸部がん(喉、口、耳、鼻、顎など)だが、いずれは肺がん、大腸がん、乳がん、すい臓がん、前立腺がんなどにも広げたいという。

頭頸部がんを対象としたのは、口の中、舌、歯茎、頰、咽頭部、鼻など食道より上に発生するがんで、内視鏡などを使わなくても身体の外から光を当てればよいというのが主な理由です。


光免疫療法のワクチン効果で転移や再発も防ぐ

光免疫療法には下記2種類の方法があります。

  • がん細胞を直接攻撃する方法
  • がん細胞を守る制御性T細胞をたたく方法

この二つを同時に併用することで、1カ所のがんを1回治療するだけで全身の転移がんも治療し、ワクチン効果によって再発もさせない、ことを目指しています。

図2:がん光免疫療法(NIR-PIT)が、がんを治療して再発や転移をなくすステップ

引用元:https://www.mugendai-web.jp/archives/8462

原理は図2の通りです。

  • がん細胞に直接光を当てる方法でがん細胞を壊すと、いろいろながんの抗原が一斉に露出する
  • すぐ近くにいる樹状細胞(免疫細胞の1種)がこの抗原を食べて成熟し、抗原情報をリンパ球(T細胞)に伝える
  • このリンパ球は活性化して分裂し、その抗原を持つ、他の場所にあるがん(転移がん)を攻撃しに行く

この一連の仕組みの中で、制御性T細胞は免疫細胞ががんを攻撃するのを邪魔するだけでなく、樹状細胞の活性化も妨げています。ですから制御性T細胞をたたけば、一連の仕組みがスムーズに機能するようになります。2つの方法を同時併用するのはそのためです。

リンパ球(T細胞)が活性化して分裂する際、がん細胞を攻撃するリンパ球とは別に、メモリーT細胞という抗原を記憶するリンパ球が作られます

これが体内で長く生き続け、がんが再発しようとすると、それを見つけて攻撃しに行くのです。つまり感染症におけるワクチン接種と同じ効果を示すのです。

マウスの動物実験では、すでに成果が得られています。光免疫療法で1カ所のがんを1回治療すると、転移がんも消失し、そのがんはどの部位も再発しないことが確かめられました

この治療でいったん治癒したマウスには、治療したがん細胞に対するワクチン効果が生じているので、500万個もの治療したものと同じがん細胞を打ち込んでもがんは再発しないのです。これはふつうのマウスであれば3週間で確実に死ぬ数のがん細胞です。


なぜイノベーティブだと思うのか?

本当にイノベーティブなものは、えっ本当にそうなの?と驚きを与えるものですが、この「光免疫療法」も「あまりにも簡単すぎて面白くないと言われます」というくらい衝撃を与えるものです。

誰もが想像しなかった下記を実現するイノベーティブな方法です。

  • がん細胞だけを破壊する
  • その他の細胞には影響を与えない近赤外線なので副作用がない
  • 化学反応ではなく物理的にがん細胞の細胞膜を破壊するのでわずか1分でがん細胞が死ぬ

人々の暮らしをどう変えるのか?

  • 副作用なし
  • 8~9割のがんに適用可能
  • ワクチン効果により転移や再発も防げる

まさに夢の治療法で、小林さんには世界中から問い合わせが殺到しているとのこと。

これが本当に実現すれば、がんは「治る病気」になります

現在、がんは最も怖い病気の一つですが、この治療法により多くの人が救われ、がんの恐怖から解放されます。世界を変える治療法です。


応用できる発想は?

「特定の細胞にくっつく抗体」×「近赤外線」の組み合わせで特定の細胞を破壊するのがこの手法です。

がん以外にも、アルツハイマーなど、特定の細胞を狙い打ちすることで様々な治療へ応用できるのかな?という気がします。


参考資料

  • 【続報】「がん光免疫療法」の開発者・小林久隆医師に聞く――転移がんも再発もなくなる究極の治療の実用化を目指して

https://www.mugendai-web.jp/archives/8462

  • 1分で「がん細胞」を破壊し、副作用もない「光免疫療法」。注目の世界的研究者に単独取材!

https://www.houdoukyoku.jp/posts/10637

  • 光免疫療法 日本人が開発した新しい癌治療法

https://golden-tamatama.com/blog-entry-amazing-cancer-cure-inovation-japan-start.html

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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!