【治療イノベーション】糖尿病に対するインスリンポンプ療法は自動運転の進化と似ている

Pocket

インスリンポンプ療法と自動運転、似ている進化

糖尿病に対するインスリンポンプ療法の進化を車の自動運転に例えた面白い記事がありましたのでご紹介します。

引用元:https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/327442/091800272/?ST=SP-health&n_cid=nbpnxt_mled_ndh

まとめると下記の表になります。引用元の情報に一部私が加筆したものです。

詳細は後述します。

インスリンポンプ療法 自動運転
当初 CSII カーナビなし
最初のパラダイムシフト CGM+SAP カーナビ搭載
Closed-loopシステム CGM+SAP

+自動中断、再開

カーナビ搭載

衝突防止機能

ハイブリッド型Closed-loopシステム CGM+SAP 同一車線自動運転

(レベル3)

Full Closed-loopシステム クラウド+AI+CGM+SAP 完全自動運転

(レベル4)


糖尿病患者数

そもそも糖尿病患者やインスリンポンプ治療を受けている人はどのくらいいるのでしょうか?

日本国内で「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000 万人と推計され、平成9年以降増加しています。また、「糖 尿病の可能性を否定できない者」も約1,000 万人と推計され、「強く疑われる者」と合わせると約2,000万人に上ります。

治療の状況

「糖尿病が強く疑われる者」のうち、現在治療を受けている者の割合は76.6%、およそ四分の三です。

引用元:糖尿病ネットワーク <http://www.dm-net.co.jp/calendar/chousa/population.php>


インスリンポンプの使用率

世界各国のインスリンポンプの使用率です。

強化インスリン療法を行う1型糖尿病患者のうち、インスリンポンプの使用者は世界中で急速に増えており、25万人以上とみられています。使用率は米国、イスラエル、ドイツで15%から20%に達し、オランダ、スウェーデン、フランス、スイスでも10%前後となっています。

日本では普及が遅れており、1-2%程度と推測されます。

ここ数年普及が進んできていますが、まだまだ普及率は低く、今後成長が期待できる市場です。

引用元: 糖尿病ネットワーク <http://www.dm-net.co.jp/calendar/2009/007766.php>


インスリンポンプ療法の進化

持続皮下インスリン投与(CSII)カーナビ搭載なし車

内因性インスリン分泌が枯渇している1型糖尿病では、1日4 ~5回のインスリン皮下投与による頻回注射( Multiple Daily Injection:MDI)を行っても血糖値の日内/日差変動が極めて大きくなることがあり、社会生活に高度の支障をきたす場合もあります

インスリンポンプ療法は、このような厳格な血糖コントロールを必要とする場合に、腹壁皮下に留置したカテーテルを通し、微量のインスリンを血糖値変化の傾向に合わせ持続的に自動投与する方法です。

最初に登場したのが持続皮下インスリン投与(Continuous Subcutaneous Insulin infusion:CSII)です。

CSIIは一定の注入部位から可変式の基礎インスリン注入プログラムによって、MDIよりも生理的でより安定したインスリン補償を実現できる特徴があります。

基礎注入量を30分刻みで設定できるプレプログラマブルインスリンポンプで、夜間低血糖のリスクを回避しながら暁現象(明け方から早朝に起こる急激な血糖値の上昇を示す現象)を抑制したり、日中も食事摂取や活動量などの個々の生活パターンに合わせたより細やかな基礎注入を行うことが可能です。

食事をする時は、インスリンポンプ上のボタンを用いてインスリンの追加注入量を増やします。これを「ボーラス」と呼びます。ボーラス量は、摂取する炭水化物の量や食前の血糖値に基づく算定値によって決めることができます(図2参照)。

引用元: http://www.nagasaki-mc.jp/cgiimg/1501725137233190.pdf


最初のパラダイムシフトはCGMの登場とSAP:カーナビ

インスリン療法における最初のパラダイムシフトは、CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続血糖測定)の登場です。

お腹などの皮下組織に専用のセンサを装着し、連続的に皮下のグルコース(ブドウ糖)濃度を記録する新しい検査方法です。今まで一般に用いられてきた1日に数回の自己血糖測定器による測定に比べ、測定回数が格段に多いことが特徴です。グルコース濃度の推移(変動)を見ることができるため、より適切で安全な糖尿病治療を行うための指標となることが期待されています。

米Abbott Laboratories社の「FreeStyleリブレ」などのCGMの登場によって、間質液中のグルコース濃度から血糖値を算出し、その血糖値データを見ながら患者自らインスリンポンプを調整できるようになりました。こうしたインスリンポンプ療法はSAP(Sensor Augmented Pump)療法と呼ばれます(図1参照)。

血糖値が一定の範囲を超えて上昇または低下した場合には、アラート機能が、患者の血糖コントロールをサポートします。車に例えるとカーナビです。

引用元: http://www.nagasaki-mc.jp/cgiimg/1501725137233190.pdf


Closed-loopシステム(インスリン注入中断と再開):衝突回避装置

次に登場したのが、CGMで管理するグルコース値が、低血糖の下限値に達するか、または近づくことが予測されると自動的にインスリン注入を中断グルコース値の回復が確認されるとインスリン注入を再開するシステムです。

2018年2月に薬事承認され、同年3月に発売されたMedtronic社の「ミニメド640Gシステム」がこの機能を備えています。これにより、低血糖の回避と、その低血糖からの回復時にリバウンドで起こる高血糖を抑えることができるようになりました

これは衝突回避装置が付いたクルマと同じですね。


ハイブリッド型Closed-loopシステム:同一車線自動運転

こうしたCGMとインスリンポンプが自動連動する、いわゆるclosed-loopシステムに血糖コントールを完全に任せ切るには、まだ限界があるという。

「最新のCGMは精度も高まってきているが、測定値が実際の血糖値の上昇よりも遅れるため、(血糖変化の)ピークを抑えきれない」という課題があります。

そこで考え出されたのが、CGMで管理した血糖値に対して、5分ごとにポンプが基礎注入を調整する「ハイブリッド型closed-loopシステム」です。既に米国でFDA承認を受け、使用が始まっている「ミニメド670Gシステム」などはこうした機能を備えています。日本では2020年頃に発売される可能性があります。

このハイブリッド型Closed-loopシステムは、同一車線自動運転に例えられます。


Full Closed-loopシステム:完全自動運転

完全自動運転に相当する、いわゆるFull Closed-loopともいうべきシステムの登場はあるのでしょうか?

AIとクラウドの活用がポイントになります。

現在開発が進んでいるMedtronic社の次世代システムでは、ボーラス注入のインスリン量を決める際に、前に注入したインスリンの効き方をフィードバックして調整しており、AIを活用しているといえます。

クラウドとの連携も重要です。

既にSMBGでは血糖値をBluetoothを通じてクラウドにアップロードする仕組みがあります。

CGMのデータも同様にアップロードでき、インスリン量に関してはスマートペンと呼ばれるものが開発されており、実際に注入したインスリン量をスマートフォンで自動計算して、Bluetooth経由でクラウドに上げる仕組みもあります。

また、食事内容は写真をアップロードすればAIがカロリーや栄養素を解析できるようになりつつありますウエアラブルデバイスによる活動量のクラウド管理も実用化している。

こうした進化を踏まえ、クラウド連携が拓くAIによるインスリン自動調整の時代がきっと訪れるだろうと期待されます

まさに完全自動運転ですね。


糖尿病関連の参考資料・参考記事

  • インスリンポンプ療法と自動運転、似ている進化

https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/327442/091800272/?ST=SP-health&n_cid=nbpnxt_mled_ndh

  • 1型糖尿病の治療(CSIIとSAP)

http://www.nagasaki-mc.jp/cgiimg/1501725137233190.pdf

  • 糖尿病ネットワーク

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/027369.php

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!