働き方改革(その17)何故女性の管理職が増えないのか?同じ履歴書で名前を男性、女性に変えただけで評価が変わる驚きのデータ

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何故、女性の管理職が増えないのか?

に引き続き、女性活躍について記載します。

「何故、女性の管理職が増えないのか?」について、下記書籍に面白い記載がありました。

「無意識バイアス」です。面白い調査データと合わせて紹介します。

女性が管理職になったら読む本 ―「キャリア」と「自分らしさ」を両立させる方法

同じ履歴書で名前を男性、女性に変えただけで評価が変わる

新卒採用の応募で、あるプロフィールをランダムに採用者に評価してもらいました。

2種類のプロフィールを用意し、違っているのは名前のみ。片方は「ジョン」、残りの半数は「ジェニファー」です。つまり、名前から分かる性別以外は全く同じプロフィールです。

評価項目は

  • (学生の)能力・適正
  • 採用可能性
  • (その学生を)指導したいかどうか
  • 年収提示額

の4項目です。

結果は下記表です。評価点数は1~7までの7段階評価で、7が最高評価になります。

ジョン ジェニファー
評価者数 63 64
学生の能力・適正 4.0 3.3
採用可能性 3.8 2.9
指導したいかどうか 4.7 4.0
年収提示額 $ 30,238 $ 26,508

全ての項目で、ジェニファーよりジョンが高い評価を得ました。

名前(性別)が違うだけでここまでの違いが生じるのは驚きの結果です。


社会的に好まれる特性と女性として好まれる特性のギャップ

人が持つ64個の特性をリスアップして、アンケート調査を行い、「男性にとっては望ましいが、女性にとってはそうでもない特性」「女性にとっては望ましいが、男性にとってはそうでもない特性」のトップ7を下表にまとめました。

効果量が大きいほど、より男性にとっては望ましいが、女性にとってはそうではない特性となります。

逆に効果量が小さいほど(マイナスが大きいほど)、より女性にとっては望ましいが、男性にとってはそうではない特性となります。

右端は、社会的・文化的に上位にある人が持っていると思われる特性の効果量です。この効果量が大きいほど、より社会的・文化的に上位にある人が持っていると思われる特性になります。

特性 効果量 社会的・文化的に上位にある人が持っていると思われる特性の効果量
男性にとっては望ましいが、女性にとってはそうでもない特性
キャリア志向 1.12 1.57
リーダーシップ能力 1.09 1.45
好戦的 1.03 0.43
積極的 1.01 1.39
自立している 0.98 1.23
ビジネスセンス 0.97 1.60
野心的 0.95 1.37
女性にとっては望ましいが、男性にとってはそうでもない特性
情動的 -1.12 -0.63
優しい -1.03 -0.47
子供への関心 -1.00 -0.46
周囲への気遣い -1.00 -0.23
よい聞き役 -0.89 0.07
明るく元気 -0.87 0.57
熱心 -0.83 0.91

この結果で注目すべき点は、男性にとって望ましいとされる特性の多くが、「社会的・文化的に上位にある人が共通して持っていると考えられる特性」と合致することです。

反対に、女性にとって望ましいとされる特性は、「社会的・文化的に下位にある人が共通して持っていると考えられる特性」と合致しています。

つまり、男性にとって望ましい特性は、社会的に成功する特性に合致するに対し、女性の望ましい姿は、社会的に成功すると考えられる特性に合致しないのです

これが、女性だから、ということで評価されない要因となっていると考えられます。


昇進を望まない女性が多いのは組織のせい

そもそも昇進意欲がない、というのは、社内で女性活躍の議論をした時にも出てきた意見です。それは何故でしょうか?自分自身の内的要因によるものなのか、それとも組織文化など外的要因によるものか?調査した面白い結果を紹介します。

  1. 昇進願望も自信もある女性
  2. 経営幹部に昇進したいという願望はあるが、自信を持てない女性

の二つのグループに対して、個人的要因に関する質問と、組織的要因に関する質問を投げかけ、同意した割合(*否定的な質問の場合は同意しなかった割合)を比較したものです。

自信のある女性(N=430) 自信のない女性(N=113)
個人的な要因 -8%
私は売上に対する責任を負っていきたい 78% 75% -3%
私は個人的な犠牲を払うことをいとわない 70% 68% -2%
自分の野心について語り、自己PRを行う 81% 69% -12%
昇進を要求したことがある 53% 38% -15%
組織的な要因 -17%
この組織では、上層部に自己PRするのが容易である 63% 42% -21%
女性のリーダーシップやコミュニケーション・スタイルは受け入れられやすい 62% 39% -23%
ジェンダー・ダイバーシティを大切にする組織文化がある 66% 48% -18%
ダイバーシティは、この組織の核となる価値のひとつである 60% 43% -17%
この組織では、女性に対しても平等に機会が与えられる 45% 12% -33%
成果を上げることは私生活を犠牲にすることを意味する(*) 26% 17% -9%
パートタイムで働くことは昇進の足かせとなる(*) 6% 0% -6%
出産・育児は昇進の足かせとなる(*) 29% 30% 1%
私はワークライフバランスが確保できている 74% 48% -26%

個人的な要因に関する質問では、自信のない女性が同意した割合は、自信のある女性が同意した割合より平均8%下回っています

一方、組織的な要因に関する説もでは、その割合が平均17%も下回っています。実に前者の2倍ですこのことは、個人的な要因よりも組織的な要因が、自信を持てない女性を生み出していることと示唆しています。

つまり「昇進したいという野心はあるが、実際にそれを成し遂げる自信があるかどうかは、個人レベルというより組織レベルで決まる」ということになります。


女性の方がリーダーに向いている

2つのリーダーシップスタイル

「交換型リーダーシップ」「変革型リーダーシップ」の二つがあると言われています。

交換型リーダーシップ

交換型と名付けられているように、「リーダーから与えられる報酬」と「フォロワーの服従」が文字どおり交換されることで両者の関係が成り立ちます

上司が部下に売上ノルマを課して、その達成を迫るなど、成果主義色の強い組織で見られます。

リーダーは、皆を働かせ続けるために、監視やコントロールに多くの時間を割く必要があります。

変革型リーダーシップ

リーダーが監視やコントロールをしなくても、内面から出てくる同期に導かれて皆が自律的に仕事に取り組む状態を作り出すのが、「変革型リーダーシップ」です。

2つのリーダーシップに求められる資質

当然、二つのリーダーシップに求められる資質は違います。

変革型リーダーシップでは下記4つの資質が重要です。

  • 信頼

その人らしさにあふれた魅力的で尊敬される。その振る舞いは、人々からロールモデルとして見なされる。

  • モチベーション

ビジョンを示し、皆に活力を与える。さらには、その仕事に意義があるという実感を与え、人々を巻き込む。

  • 刺激

聖域を設けずにあらゆる前提を疑い、意見の相違を認める雰囲気を醸成する。問題解決の場面では、人々の創意工夫を引き出す

  • コーチング

人々の幸福と能力開発に高い関心を持っている。皆を気遣うとともに受け入れ、サポートする。

一方、交換型リーダーシップでは、下記2つの資質が重要です。

  • 報酬

適切な報酬を与えるために、人々に何を期待しているかを告げる。そして、目標を達成できたかどうかを判断する。

  • 誤り・逸脱

ある人のパフォーマンスが期待をし溜まっていると判断したとき、それを是正するための何らかの手段を講じる。


男性よりも女性のほうが変革型リーダーシップの資質をもっている

性別による得意なリーダーシップ・スタイルの違いを検証した結果です。

結果は一目瞭然。変革型リーダーシップを構成する4つの資質、「信頼」「モチベーション」「刺激」「コーチング」の全てにおいて女性の方が得意である、という結果が出ています。

中でも「コーチング」は女性のほうが際立って得意です。

引用元:女性が管理職になったら読む本

下記でも紹介したように、「女性の脳はプロセス指向共感型」で共感が得意です。この共感力が、悩んでいる人や落ち込んでいる人に手を差し伸べたり、コーチングに生かされます。


まとめ

「同じ履歴書で名前を男性、女性に変えただけで評価が変わる」というのはショッキングな事実です。

その要因として「無意識バイアス」があるという事実も驚きです。

無意識バイアスとは、

  • 女性にとって望ましい特性「情動的」、「優しい」、「子供への関心」、「周囲への気遣い」などは、社会的に成功すると考えられる特性に合致しない

というように、無意識のうちに、女性は社会的に成功しない、というバイアスができてしますことです。その結果、女性は評価されないということになってしまいます。

まずはこの「無意識バイアス」があるという事実を理解することが重要です。

一方で、女性の方が共感力があり、コーチングを活用した変革型リーダーに向いているという調査結果も注目です。

無意識バイアスを理解した上で、逆に、男性とは違う良さを理解して女性を評価することが重要になります。

例えば、下記のような見方です。

  • 「優しい」=「リーダーシップに欠ける」ではなく、「共感することで力を引き出すリーダーシップに優れている」
  • 「子供への関心」=「仕事よりも家庭を大事にする」のではなく、「仕事も家庭も大事にし、効率的に仕事ができる」

そうすることで女性に対する評価が変わり、評価されることで女性が自信を持てるような環境が整ってくるような気がします。


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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!