【ヘルスケアイノベーション】内視鏡の「オエッ」を軽減する 新型マウスピース

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内視鏡の「オエッ」を軽減する新型マウスピース

年末に参加したセミナーで聞いたヘルスケアイノベーションの話題です。

食道や胃などを内視鏡(胃カメラ)で検査する際、内視鏡がのどを通るのは苦痛ですよね。

この苦痛や嫌な吐き気を軽減するマウスピースを、鳥取大医学部付属病院とゴム製品メーカーが共同で開発しました。

このマウスピースが凄い点は下記です。

  • マウスピースを噛む時の舌やのどの動きから自然にのどの奥が開くような形状にしている
  • 内視鏡を使用する消化器内科からの相談で、耳鼻咽喉科の専門家がこの形状に気づいた
  • 大がかりな機械ではなく、本当にマウスピースの形状を少し変更しただけ

ユーザーの困りごとを幅広い視点から検討し、ちょっとした改善で大きな効果を得る、イノベーションのお手本のような事例です。


マウスピースを噛むと自然にのどの奥が開く形状

消化器内科医から「検査が楽にならないか」と耳鼻咽喉科へ相談したことが開発のきっかけになりました。

開発に関わった耳鼻咽喉科医で、のどの動きに詳しい藤原和典准教授によると、不快感は内視鏡が舌やのどの壁に触れることで反射的に起きるもの。さらに従来の筒形マウスピースでは前歯だけで噛むため、不安定で自然に舌が持ち上がり喉が狭くなる構造になっていました。

実は従来のマウスピースは、赤ちゃんのおしゃぶりの構造だそうです。

あかちゃんの場合は奥歯で噛む力がないので、前歯でかむ筒形が適していて、その形状をそのまま内視鏡のマウスピースに踏襲したものです。

ところが大人と赤ちゃんでは、喉の作りや筋力も異なるため、もっと適した構造が考えられます。

その構造は馬蹄形です(下の写真参照)。

奥歯でもかむ馬蹄形にしたことで、前歯だけでかむ従来の筒型マウスと比べて安定し舌の位置が下がり、のどの奥が自然に広がりますその結果、不快感が減らせるのです。

引用元: https://www.asahi.com/articles/ASLC56FVDLC5PUUB00D.html?ref=newspick

10人を対象にした実験では、挿入時の吐き気の回数は筒型よりも8割以上減り、検査を受ける際の苦痛や内視鏡医のストレスも改善される結果が出ています。凄い効果です。

楽に検査を受けられそうです!


鳥取大学の医農工連携イノベーションの取り組み

このマウスピースを紹介頂いたのは、鳥取大学医学部付属病院新規医療研究推進センターの植木賢教授です。

この鳥取大学医学部、医農工連携でイノベーションに積極的に取り組んでいます

すでに製品化された製品もあります。

引用元: http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/center/amirt/23282.html

鳥取大学の取り組みが凄いのは、病院を一般企業にも開放している点です。

例えば手術室などの医療現場を解放してワークショップを開催し、医療現場での困りごとを、医師、メーカー、その他参加者の多様な視点で検討、解決策を探します

製品開発の過程では、医師も一緒に参加します。

こうして生まれたのが、上記製品です。

また医師だけでなく、看護師や栄養サポートスタッフなど、病院全体で課題を見つけ、アイデアを出すカルチャーが生まれている点も素晴らしいです。

医工連携が叫ばれていますが、参考になる成功事例です。


人材教育~発明楽~

また人材教育に力を入れているのも特徴です。

医療現場の困りごと解決ワークショップや製品開発にも、臨床医、大学院生も積極的に参画させることで、人材育成につながります

さらに、イノベーションプロセスをまとめた「発明楽」という書籍やホームページを作成し、イノベーション人材の育成に力を入れています

引用元: https://www.med.tottori-u.ac.jp/hatsumeigaku/


参考資料

  • 内視鏡の「オエッ」を軽減する 新型マウスピースを企業と共同開発しました

http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/news/release/25097.html

  • 内視鏡検査「オエッ」軽減 吐き気8割減の新器具開発

https://www.asahi.com/articles/ASLC56FVDLC5PUUB00D.html?ref=newspicks

  • 鳥取大学医学部付属病院 研究実用化支援部門

http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/center/amirt/23282.html

  • 発明楽

https://www.med.tottori-u.ac.jp/hatsumeigaku/

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1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!