【ヘルスケアビジネスモデル33】医師の働き方改革の切り札?~CT, MRI画像などを共有できる医療版Line「Join」~

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命を守る現場が危ない!働きすぎ…医者を救え!

2019/2/26の「ガイアの夜明け」で放映されました。

暮らしの中に「働き方改革」という言葉が浸透しつつあるなか、残業が「年2000時間」に上る職場。病院で働く「勤務医」だ。

特例として、厚生労働省が期限付きで容認する考えを打ち出した。

一般企業に勤める人の残業は、休日労働を含めて年間最大で960時間。その2倍働いている勤務医が、少なくないというのだ。いったい、医療現場で何が起こっているのか

イメージ図

残業が多い理由として以下が挙げられます。

そもそも医師の絶対数が少ない

日本で最も人口あたりの医師数が多い京都府でも、人口千人あたり2.7人で、OECD加盟国平均の3.3人に達していません。日本平均では更に低く2.0人です。

人口1000人
あたり医師数
1000病床
あたり医師数
日本 2.0 14.9
OECD平均 3.3 65.6
上位国 4.9 109.6
下位国 1.5 14.9

引用元:OECD 2009, p. 105.

医師がやる仕事が広範囲で医師以外にできる仕事もやっている

ちょっとした事務仕事や、予防接種、軽い病気の外来&問診、など必ずしも医師がやらなくてもよい仕事もやっている状況です。

例えば分業制が進んでいるアメリカの簡易診断所では、医師が常駐せず、ナース・プラクティショナー (特定看護師;NP)が診察して薬を処方してくれます。日本では風邪気味、というだけで医師の診断を受け、薬を処方してもらう必要があります。

オンコール対応

夜間などは当直医が担当しますが、当直の医師が専門外の場合、専門医は必要に応じて出勤して対応する必要があります。TV番組では、この部分がクローズアップされていました。 


CT, MRI画像などを共有できる医療版Line「Join」

番組の中で、働き方改革のツールとして紹介されていたアプリです。

https://www.allm.net/join/

「Join」は、チャットアプリ形式のコミュニケーションアプです。医療機関のシステムと直結しているため、院内で撮影したCTやMRI、X線や心電図などのデータを全てモバイル端末で確認することができます

どの病院にも専門医が24時間365日体制で常駐しているわけではありません。そうした際に、専門医に診てもらうまで待っていたら、患者さんは命を落としてしまいます。しかし「Join」があれば、瞬時にデータを共有し、専門医の指示を受けながら医師が診療することができるんです。

Joinを使ったコミュニケーションの例が下図です。

引用元: アルム ホームページ

院内で撮影したCTやMRI、X線や心電図などのデータを、瞬時にモバイル端末で確認できる、というのが画期的です。

実際に番組では、救急搬送された患者の対応をした当直医が、自宅にいる脳神経外科の専門医にデータを送って自分の診断結果についてアドバイスを求めました。当直医の判断は「経過観察」で、脳神経外科の専門医の判断も同じく「経過観察」でした。

当直医も自信をもってその後の処置に当たることができ、自宅にいる専門医も、わざわざ病院に出勤して対応する必要がなくなりました。「Join」がなければ、出勤していた状況です

このように「Join」によりオンコール対応での緊急出勤、残業が減らせます。まさに、働き方改革ですね。


日本初の保険適用アプリ「Join」

「Join」は、日本初の保険適用アプリとして有名です。

開発したのは株式会社アルム、代表取締役の板野哲平さんのインタビュー記事に、その想いがまとめらているので引用します。

テクノロジーで医師をつなぎ、刻一刻と迫る死と戦うソフトウェア「Join」(引用)

引用元:https://healthtechplus.medpeer.co.jp/people/1653

坂野:私たちが培ってきたIT技術は、医療業界に求められるミッションをクリアする一因になるだろうと思ったんです。私たちが定めた領域は脳卒中と心臓急性疾患。WHOのデータによれば、年間およそ1,500万が亡くなる病気です。

この二つの病気は「時間との戦い」が大きな課題として挙げられていました。心臓が止まっているなら早く動かしてあげなければいけませんし、脳内の血管が詰まっているのなら一刻も早く溶かす必要があります

症状を発症してから、実際に治療を受けるまでのタイムロスを削減することが必須なんです。そうした課題感から開発したソフトウェアが「Join」です。

PACS(医療用画像管理システム)などと連携し、必要な医療情報を共有する、医師のためのコミュニケーションアプリ。モバイル端末を介し、医療関係者がリアルタイムにコミュニケーションを取ることが可能。

坂野:「Join」は、チャットアプリ形式のコミュニケーションアプリです。医療機関のシステムと直結しているため、院内で撮影したCTやMRI、X線や心電図などのデータを全てモバイル端末で確認することができます

どの病院にも専門医が24時間365日体制で常駐しているわけではありません。そうした際に、専門医に診てもらうまで待っていたら、患者さんは命を落としてしまいます。しかし「Join」があれば、瞬時にデータを共有し、専門医の指示を受けながら医師が診療することができるんです。

さらに、「Join」があれば、院内に専門医がいない緊急時にも、専門医の遠隔支持で執刀できます

坂野:脳卒中は「時間との戦い」ですから、とにかく治療を早く行えるかが予後に大きな影響をもたらします。実証試験を実施した病院の先生方から「Join」がスムーズな治療に有用であるとエビデンスを提示していただきました

早期治療は、結果的に生存率や予後の回復に繋がる(臨床上の効果)と言われており、それにより入院日数やリハビリ期間が短縮されれば医療費の削減にも繋がる(医療経済の効果)と考えられます。

臨床上の効果と医療経済上の効果を客観的なデータとして示すのが通常困難なところですが、Joinは、エビデンスデータをもとに2種類の効果を示すことができ保険適用が決まりました


まとめ:「Join」のビジネスモデル

「Join」のビジネスモデルキャンバスを描きました。

特徴的な点を補足していきます。

価値提案

価値は大きく3つです。

  • アウトカム向上
  • 医療費削減
  • 残業減や緊急出社減による医師への負荷軽減

早期治療は、結果的に生存率や予後の回復に繋がり(アウトカム向上)、それにより入院日数やリハビリ期間が短縮される(医療費削減)ことが期待されます。

3点目は、今回の記事で着目したポイントです。

主なリソース

この価値提供を実現可能にしたのが、院内で撮影したCTやMRI、X線や心電図などのDICOMデータを全てモバイル端末で確認できる仕組みです。

さらにその仕組みを可能にしたのが、セキュリティ対策です。セキュリティ対策が十分であるため、院外へのデータ送信が可能となります。

またDICOMデータには患者個人情報が含まれるため、個人情報の匿名化も必要な要素です。

キーアクション

ネットワークが拡大し、多くの病院が連携できるようになると、更に効果が高まることが期待されます。

費用

  • 初期費用(接続工事) 90万
  • 基本料(施設単位) 8万/月
  • アプリ使用料(ユーザー単位) 900円/月

とリーズナブルな価格となっています。

引用元: https://www.promed.jp/join/


参考資料

  • ガイアの夜明け【命を守る現場が危ない!働きすぎ…医者を救え!】

https://www.tv-tokyo.co.jp/broad_tvtokyo/program/detail/201902/17105_201902262200.html

  • アルム ホームページ

https://www.allm.net/join/

  • 医療アプリ「Join」が保険適用できた理由とは?ーアルム坂野哲平

https://healthtechplus.medpeer.co.jp/people/1653

  • この度、医用画像の取り扱いに豊富な実績を持つ京都プロメドとの協業により、導入が容易で、安価な特別プランをご用意いたしました。

https://www.promed.jp/join/

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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの49歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!