【ヘルスケアビジネスモデル5】アトラ~針灸接骨業界に異業種参入を前提としたFCビジネスモデルを導入~

Pocket

image_pdfimage_print

アトラ~針灸接骨業界に異業種参入を前提としたFCビジネスモデルを導入~

ヘルスケアビジネスモデルの第5弾です。

アトラ~針灸接骨業界に異業種参入を前提としたFCビジネスモデルを導入~

今後のヘルスケアビジネスの狙いどころと成長戦略は?「ヘルスケアビジネス成長戦略:松室孝明(タナベ経営 ヘルスケアビジネスコンサルティングチームリーダー)」

に紹介されていた企業です。

すごい勢いで売上が伸びている(下図参照)カテゴリーキングです。

IR資料より引用


針灸接骨業界

鍼灸接骨院・整骨院と聞いて、私はすごく古いイメージを思い浮かべました。40代以上の人なら「ほねつぎ」を思い浮かべると言われていて、確かに古いイメージです。針灸という言葉のせいもあるかもしれません。

若い世代になると、スポーツによる捻挫、脱臼、骨折などのエキスパートとしてのイメージが強くなっているそうです。実際、アスリートのトレーナーを目指し、柔道整復師・鍼灸師の資格取得を目指す若者も多いとのこと。

こう聞くと私にとっては接骨院ではなく、整体師のイメージなります。整体師といえば、世の中では○○トレーナーのようなカリスマ的な人も増えていて人気のほどが分かりますね。また施術を受ける人の対象も全く変わりますね。

現在、鍼灸接骨院・整骨院は、日本人の約5人に一人が利用し、全国に約4万院あると言われてます。規制緩和により養成機関が増え、柔道整復師の資格取得者は毎年5000人ほどにのぼり、10年後には10万人にまで拡大すると見込まれています。市場規模は、1996年ごろに50〜60億円であったものが現在は200億円(2013年6月時点)と推定されており、今後高齢化が進行するほどに市場は拡大していくことが予想されます。

 


何故FC化なのか?

アトラの代表取締役の久世博之へのインタビュー記事からの抜粋です。

「わたしが資格を取って、独立開業を目指して鍼灸接骨院に勤めていた頃は、まだまだ徒弟制度のような仕組みが残っていた。技術の習得、経営ノウハウの取得と引き換えに”無料で働く修行”といった観が強い時代でした」

とそのような古い体質の業界が変化しはじめたのは、2000年前後に始まった規制緩和への動きからである。

「鍼灸接骨院・整骨院は医療機関と同様に、さまざまな規制が設けられていました。企業化を目指した背景には、企業法人化と養成機関である学校の規制緩和があります

アトラが掲げる経営理念は「世界中の人を健康にしたい」

多くの人を鍼灸術・柔道整復術で健康に導くためには、多くの鍼灸接骨院・整骨院が必要との想いから、FCをスタートさせたそうです。

「人の役に立つ仕事でありながら、それぞれが一国一城の主として企業化せず、社会的認知も低いのはいかがなものか。企業化し、新しいビジネスモデルを構築して企業規模の拡大を図ることが、業界全体の社会的存在価値をアピールすることにつながる」

という想いから、09年に直営店舗によるチェーン展開を推進していた株式会社トライニンと合併し、FCを本格化させたとのこと。

 


アトラのビジネスモデル

鍼灸接骨院業界は個人商店が多く、全国チェーンで展開する企業は数社しかないそうです(上場企業は同社のみ)。そんな旧態依然とした業界に各種の支援サービスを提供して差別化を図りチェーン展開していこうというのが同社になります。

FC展開している院の規模は50〜60坪。個人経営の鍼灸接骨院の2倍以上です。車での所要時間15分圏内で人口6万人以上を一次商圏とし、1日の来院患者数を80人として収益モデルを設定しています。

ほねつぎブランドのターゲット層は30~40代の女性だそうです。

これにはビックリしました。てっきり男性のシニア層がメインだと思っていました。

何故かというと下図が参考になります。ターゲットが、予防を目的としてこれまで針灸接骨院で施術経験のない人達だからです30~40代でおよそ40%、女性の割合は58%になります。

30~40代の女性がターゲットだとすると、個人でやっている職人気質なところよりも、少し広めで施術レベルが一定のFCの方が安心かもしれませんね。

ちなみに、施術レベルについては

  • 手でしか行なえない施術以外は徹底して機械で対応し、院ごとの施術レベルを一定化させる
  • 院のスタッフには短期間で機械・システムの技術が習得できるマニュアル教育を実施する

ことで、患者は施術者に付くというこれまでの常識を「患者は院に付く」へと覆している点もこのビジネスモデルの特徴です。

IR資料より引用

 

同社のビジネスモデルですが以下の図が参考になります。

異業種の参入を前提としたパッケージモデルでFC展開を図る「ほねつぎブランド」事業です。

IR資料より引用

大きく2つのことを行っています。「リアル院(ほねつぎチェーン)の展開」と「IT支援」です。


リアル院(ほねつぎチェーン)の展開

ほねつぎチェーンを開業する場合、まずはオーナーが資金を提供して、同社がノウハウの提供→開業の流れになっています。開業までに6か月掛かるそうなのですが、その間のイニシャルコストとして2,800万円が売上として計上されます。単純に6等分すると1店舗の開業までのイニシャルコストは月約465万円ですね。

開業後はランニングコストとしてロイヤリティ・システム使用料・備品購入まで含めると約30~40万円が懐に入ってくるようです。

IR資料より引用

 


IT支援

「IT支援」に関しては以下のサービスを提供しています。

  • 「A-COMS(院内管理システム)」
  • 「HONEY-STYLE(口コミ/予約システム)」

集客のサポートを行なう「ハニースタイル」事業

  • 「ほねつぎアカデミー(鍼灸院向けのセミナー開催)」
  • 「アトラ請求サービス(請求代行)」レセプトの効率化・スピード化を図る
  • 「ECサイト(消耗品販売)」

などのサービスを提供しています。

このあたりが業界的には遅れているそうで、他社との差別化に大きく貢献しているようです。

サービス別の売上は下図を参照ください。

IR資料より引用


ビジネスモデルキャンバス

ここまでまとめた内容をもとにビジネスモデルキャンバスを描きました。

ポイントは、「施術技術、準備、開業、運営、集客まで一気通貫のサービス提供により、素人でも成功できる!」という価値だと思います。

接骨院を開業したいな、と思ってもこれまでの針灸接骨業界では、このような一気通貫のサービスはありません。まさに新たにカテゴリーを創ったカテゴリーキングですね。

この価値によりFCのオーナーをがっちり囲い込み、IT支援やコンサルなどのアフターサービスで更に顧客との関係を強力にしています。

また器材・消耗品販売を含めたアフターサービスにより収益を確保しています。7割の収益はアフターサービスからです。

チャネルやFCオーナーとの関係がよく分かりませんでしたが、こちらは折を見て追加していこうと思います。

Income Statementからお金のブロックパズルも記載しておきました。キャンバスのコスト構造のところです。粗利益率40%というのがよいのか悪いのか分からないので、こちらも他のビジネスモデルを描いてみて比較したいと思います。


FCビジネスのビジネスモデルキャンバスと収益構造

FCビジネスのビジネスモデルキャンバスと収益構造についてまとめました。こちらもご参照下さい。

【ビジネスモデル5】これは面白い!2枚のキャンバスを合わせたフランチャイズFCのビジネスモデルキャンバス


参考記事

  • 鍼灸接骨院業界に新しいビジネスモデルを導入、伝統的な鍼灸術・柔道整復術を生かした企業展開を図る – 経営者インタビューサイト ダイアログ

https://dialog.ceo/interview/4190

http://maropiko.hatenablog.com/entry/2015/10/27/222039

  • アトラ ホームページ

http://www.artra-group.co.jp/corporate/vision.php


ヘルスケアビジネスモデルの事例

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!