【ヘルスケアイノベーション5】ヘルスケア産業の課題と今後のヘルスケアビジネスの狙いどころは?(その2)視点を広げることを目的にキーワードを整理してみました~「医療・ヘルスケア産業ビジネスモデル」「世界の健康・医療市場」

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医療・ヘルスケア産業のビジネスモデル

ヘルスケアビジネスに関して視野を広げることを目的に、東京大学 医学・工学・薬学系公開講座からヘルスケア関連の書籍を2つ、まとめて読んでみました。

視野を広げることが目的なので、キーワードをランダムに書き出し、グルーピングしながら、日本のヘルスケア産業における課題や今後の狙いどころを整理しました。

グルーピングしたアウトプットは下の写真です。

ストーリーとしてはあまりまとまっていませんが、気になったキーワードを中心に内容を整理してみます。

今後、ヘルスケアビジネスについて考える上で、何かきっかけになればよいな、と思っています。


日本のヘルスケア産業の課題

デス・バレー

日本は少子高齢化が進み最先端の疾病構造をもっているため、ヘルスケア産業は、最先端の医療技術を受け入れる宝の山です。

それにもかかわらず、医療機器は輸入超過の状態であり、日本発の医薬品や医療機器を提供できていない、という状況となっています。

日本は基礎研究やシーズの蓄積はあります。ところが、なかなか製品化に結び付かない「デス・バレー問題(下図参照)」があります。

これは企業の中で、リスクをとって「デス・バレー」を乗り越えるチャレンジがしにくかったり、ベンチャーを支援するような仕組みが不十分であることが要因となっています。

引用元↓

規制

また規制の対応が遅れていることも要因として考えられます。例えば下記が例として挙げられています。

  • 医薬品の適正な使用のための情報提供は対面が原則ということを省令で定めているため、医薬品のネット販売は事実上禁止状態、となっている。
  • サージカル・トレーニングは、医療技術習得のために必要なトレーニングですが、日本では法整備が遅れているため、多くの医師が海外のトレーニングに参加している。

課題解決のために必要なこと

上にあげた課題を解決するためには以下の2つが必要です。

イノベーションエコシステム

イノベーションエコシステムという言葉は初めて聞きましたが、イノベーションが持続的に起こるようなシステムです。

2つの要素が必要だと思います。

医療現場から出てくるニーズを製品開発につなげる連携の仕組み

医療現場のニーズが一番大切ですが、これまで医療現場は病院、製品やサービスの開発は企業と、連携があまりませんでした

バイオデザイン、など医療現場にエンジニアが入り、ニーズを直接吸い上げるという試みもでてきています。

また病院側も自分たちで掴んだニーズを製品化したり、企業へ発信したりという取り組みが増えてきています。

このように医療現場と企業との連携が重要なポイントです。

資金や人材など製品化に必要なインフラ・環境の整備

せっかく、よいニーズやシーズを見つけても資金や人材がないと製品化できません

ベンチャーを支援する仕組みや、大企業の中でも、従来の評価軸ではなく社内ベンチャーとしてチャレンジを支援するような仕組みが必要となります。

医療政策・制度の変更

規制当局も、医薬品や医療機器の承認を早めるような制度変更を行っています(下記例)。

  • 先駆け審査指定制度
  • 再生医療等製品の期限条件付き承認

今後も環境やニーズに合わせた制度変更が望まれます。

新しい言葉が2つ出てきたのでまとめておきます。

レギュラトリーサイエンスイニシアティブ

PMDAがこれから始める取り組みの一つ。

レギュラトリーサイエンスとは「科学技術の成果を、人と社会が調和する上でもっとも望ましい姿に調整する科学」と定義されます。

医薬品や医療機器を評価するために最新の科学的アプローチを先んじて取り込み、審査の高度化を図り、新たな評価指標や手法を開発し、安全性や有効性を適切に評価することを狙った取り組みです。

クリニカルイノベーションネットワーク

医薬品・医療機器等の研究開発における疾患登録システム(患者レジストリ)は、治験・臨床研究に利用されている。

しかし、利用目的に応じた情報の収集がなされていないことや、様々な組織により独自に運用されていることなどから、患者レジストリの整備状況等について、情報の一元的な集約・可視化ができておらず、必ずしも研究者や企業が患者レジストリを活用しやすい環境ではありません。

このため、国内のレジストリ情報収集、利用目的毎の整理、それらの一元的把握・検索を可能にするシステム構築を目指すのが、クリニカルイノベーションネットワーク(CINです。


ヘルスケアビジネスの狙いどころ

患者さんが辿るプロセス全体を考えた価値を考える

下記記事にもまとめましたが、患者さんが辿るプロセス全体を考え、どのように患者さんの価値を高めるのかを考えることが最も重要だと考えます。

  • 【ヘルスケアイノベーション1】イノベーションによる患者価値創造のロードマップの作り方~ヘルスケア産業のデジタル経営革命~

先制医療

患者さんが辿るプロセス全体を考える上で、「先制医療」が注目されています。

先制医療とは、病気にかかるリスクや合併症のリスクを個人のデータを用いて予測し、その予測に基づいた予防的介入を行うことで、病気の発症遅延や防止を目指した新しいコンセプトの医療です。

糖尿病分野では、「遺伝子診断」や「ウエアラブル型の血糖値測定器・投薬機器」などさまざまな介入方法の研究開発が進んでいます。

引用元↓

デジタルヘルス

今後はますます、「物質の価値」<「情報の持つ価値」となる。

薬を例にとると、薬の効果よりも、患者さんにどういう薬が合うのか?どういう時に飲めばよいのか?という情報の方が価値が高くなります。

そのたビッグデータの活用や、デジタルヘルスが狙いどことになります。

ビッグデータに関して、2点気づきがありました。

日本には、世界がうらやむ医療情報データベースがある

下記2つは世界がうらやむ量と質を備えたデータベースであるとのこと。あとはどう活用するか?です。

  • DPCDiagnosis Procedure Combination)診断群分類 患者の入院および治療に関する詳細記録
  • NCDNational Clinical Database)一般外科医が行っている手術の95%以上をカバーする症例登録

こちらも参照下さい。

  • 医療ビッグデータを活用することで、治療の効果をあげたり、リスクを低減したり、予防に役立てたりと、我々のQOLが向上する~そのために必要な要素~

データの入力の仕方

電子カルテが普及してきていますが、自然文で単に状況を記述しているため、分析評価には不向きということです。

症状をコード化(BOM: Basic Outcome Master)することで、後の分析評価の精度が上がります。

つまり、あとでデータを活用しやすいようにインプット方法を設計することが重要です。

プレシジョンメディシン

個別化医療という言葉もありますが、究極は一人一人に合わせて最適な医療を提供することが理想となります。

ところが、一人一人に最適化することは、あまりにも複雑で困難だということが分かってきました。

そのため、一人一人ではなく、ある分類に基づくグループ単位で最適な医療を提供するという考えがプレシジョンメディシンです。

物流

薬のネット販売や、医療機器のローナー物流(貸出し→回収→洗浄→在庫→貸出し)など、物流はまだまだ付加価値を高める要素が残っています。

地域連携

医療の地域格差がよく話題になっています。

地域で連携して、医師を確保したり、急性期から慢性期まで無駄なく効果的にケアする取り組みなど、地域連携にチャンスがあります。

まちづくり・インフラづくり

スマートシティなどのまちづくり、インフラ作りもヘルスケアを重要な要素として考えていく必要があります。

病院の改革

救命救急医療の高度化、ユニバーサル外来など、病院の運営も付加価値を高める要素があります。


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1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!