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最強の優先順位(美崎栄一郎著)
帯に書いてある「12時出社・5時退社」という文字に興味をそそられ、手にとりました。
「スピードと成果が劇的に上がる戦略 最強の優先順位(美崎 栄一郎著)」
効率良く仕事を進める!緊急度・重要度の把握
仕事を効率よく進める上で王道となっているのが時間管理フレームワーク(下図)です。
重要度と緊急度の2軸でやるべき事を4つに分け、仕事の優先順位を考えるフレームワークです。

引用元↓
それでは、実際にどういう順番で仕事を進めるのでしょうか?
下記のカルビーCEO松本さんの例が非常に分かりやすいです。
「当然、緊急度、重要度が共に高い仕事が最優先です。次が緊急度は高いものの、重要度は低い業務。重要度が高い一方、緊急度が低いものが3番目。そして最後が緊急度、重要度共に低い仕事となります。その上で、各ゾーンの中でも優先順位を付け、実行に移すのです。」
つまり、A→C→B→Dの順序です。
私も、この順序に賛成です。
以下の仕事の例を見てみましょう。
- 仕事例1:今後、自分の新規顧客を増やしていきたいので新規開拓を行う
「今後、自分の新規顧客を増やしていきたい」ので、緊急度は低いですが、自分の将来のキャリアアップのためにはとても重要な仕事です。よって「緊急度 低」「重要度 高」と考えることができます。
- 仕事例2:さほど重要ではないが急ぎの内容のメールを返信しなければならない
「さほど重要ではない内容」なので、あなたにとって重要な仕事ではないですが、「今日中に返信する必要がある」緊急な要件であるため、「緊急度 高」「重要度 低」と考えることができます。
皆さん、この2つの仕事があったらどちらからやりますか?
仕事例2からやりますよね。
何故ならば、緊急な仕事は、期限が今日や明日で切羽詰まっているからです。
ところが、このやり方だと問題が生じます。
それは、優先順位をつけてもAやCの仕事が多く、自分にとってもっとも価値を生む仕事、「パターンB:緊急ではないが、重要である仕事」の時間がなくなってしまうことです。
上の例では仕事例1の時間がなくなってしまいます。
限られた時間に全てをの仕事をどう割り振るか?という発想へ転換
この本で一番の学びは、「限られた時間に全ての仕事をどう割り振るか?」という発想です。
時間管理マトリクスでは、仕事全体を把握して優先順位をつけます。その結果自分にとって最も価値を生む仕事、「パターンB:緊急ではないが、重要である仕事」に意識を向けることができます。
しかしながら、実際は、パターンA, C, Dの仕事もやらなくてはいけない仕事で、それをやっているとパターンBの時間がなくなってしまうのです。
先日、会社で仕事の棚卸をして時間管理マトリクスに書き出してみました。
この時も、確かに現状の時間の使い方がよくわかり、A, Cを減らしてBを増やさないといけない、という議論になり、A,Cを減らすアクションを検討しました。
一方で、「でも、結局全部やらないといけないんです。」という声も多くあがりました。これが実態です。
優先順位をつけることは非常に重要、でもそれで優先順位が低く後回しになった仕事は、結局あとからやらなければならなくなります。
例えば、緊急ではないが重要であるパターンBの仕事は、後回しにしても、いずれ納期が迫ってパターンAの仕事になります。
パターンDの仕事も後回しにすればパターンCになり、結局やらなければいけません。
そこで、「限られた時間に全ての仕事をどう割り振るか?」という発想の転換が必要になります。
本文中からの抜粋です。
「よく、「緊急かつ重要」な仕事から処理していくことが大切と言われますが、これだけでは仕事がうまくまわるようにはなりません。
ビジネスの現場では、突然の割り込み仕事が入ることが日常茶飯事ですし、事務作業や、電話対応、メールの返信、社内のコミュニケーションなど、些末仕事も多数存在します。
これらを含めたすべての仕事をやり遂げなければ、いつまでたっても仕事は完結しないのです。
自分が仕事に使える“時間”というリソースはかぎられています。そのかぎられた時間に、抱えているすべての仕事をどう割り振るのか。
これが、究極的な優先順位のつけ方なのです。
そう考えると、
「すべての時間になんらかの仕事を振り分けること、そして些末な作業も含めたすべての仕事をいつやるのか決めることが、優先順位を考えるうえで大切なことなのです。」
なるほどな、とすごく腹落ちしました。
時間管理のセミナーや書籍では、あらかじめBのやるべき事をスケジュール帳に入れてブロックしてしまう、ということがよく言われます。
これはAやCの仕事が多いので、その順でやるとBの時間がなくなってしまうからです。
そのため、あらかじめBを決めて、残った時間をAやCの他の仕事に割り振る。かぎられた時間に抱えているすべての仕事をどう割り振るのか?と同じ発想だと思います。
朝のゴールデンタイムにBをやる(2018/2/1追記)
先日の働き方改革の読書会(下記参照)に参加した人からのフィードバックです。
- 【Read For Actionその9】23名5チームでのRead For Action成功事例~働き方改革・自分の仕事のやり方について視点を広げよう~
「読書会のあと、いつもより朝30分早く出社するようにして朝のゴールデンタイムを作りました。そして時間を決めて、まずパターンB(緊急ではないが、重要である仕事)をやります。
そして自分で決めた時間になったらBの仕事をやめて、A→Cの順で仕事を進めることにしました。」
つまり、A→C→B→Dではなく、B→A→C→Dのリズムを作ってしまった、ということになります。
「朝は頭も冴えているし、電話や依頼など突発が少ないので本当にBの仕事に集中できます。」
ということで素晴らしいですね。これは誰にでも使える簡単な方法ではないでしょうか?
実際にどうやって、限られた時間に全ての仕事を割り振るのか?
「限られた時間に全ての仕事をどう割り振るか?」
それができないから困っている、と皆さん思うのではないでしょうか?それでは実際にどのようにやればよいのでしょうか?
3つの方法が参考になりました。
仕事の分割と集合
仕事は小さな工程に分割することができます。
別の仕事の工程のなかから同じ作業を集合させることで、仕事の効率を上げることができます。
メールが来た度に一つ一つ確認して返信するより、ある程度まとめて確認、返信した方が時間が少なく済みますよね。
資料の作成、調査、会議なども同じです。
関連のあるものをまとめる。例えばまとめて作成、調査、会議することで時間も短縮できるだけでなく、アウトプットの質も上がります。
また特にDにあたるような仕事は、まとめてスキマ時間に割り振ると効率的です。
このように、Dも含めてマトリクスの4つの種類の仕事を全て見たうえで優先順位をつけることがポイントになります。
発生日基準で仕事を進める
例えば、緊急ではないが重要であるパターンBの仕事は、後回しにしても、いずれ納期が迫ってパターンAの仕事になります。
パターンDの仕事も後回しにすればパターンCになり、結局やらなければいけません。
納期が先だからといって先伸ばしにすると、このような状況に陥ります。
それを防ぐのが発生日基準で仕事を進める、という考えです。仕事の依頼を受けたら、すぐにできる範囲のことをやる、ということです。
これをやると、どんなメリットがあるでしょうか?
- 記憶が鮮明なうちにやるとポイントがずれず、時間も短時間ですむ。依頼された仕事をあとからやろうとすると、ポイントは何だったか思い出すのに時間かかったり、依頼者のポイントからずれたりしますよね?
- 大枠を考えることで、早めに最終ゴールの確認をすることができる。これは会議資料や企画書などでは大変効果的です。早い段階で概要をまとめ依頼者と確認することで、無駄な調査や資料作りを防ぐことができます。
- 大枠を考えていれば最終ゴールまでかかる時間が予測できるので、スケジュールが立てられる。
割り込み仕事を予測してスケジュールに組み込む
これは面白かったです。
仕事には割り込みが入る、というのを前提にして、割り込んだ仕事をリストアップして残します。
割り込み仕事とはいっても、あらかじめ予測できるものと、本当に予測できないものがあり、あらかじめ予測できるものはあらかじめ予測してスケジュールに入れるというものです。
大きな会議がある場合は、その前の急な準備、終わったあとの宿題片付けなどは予測できる割り込み仕事です。
感想
重要度と緊急度の2軸でやるべき事を4つに分け、仕事の優先順位を考えるフレームワークではうまくいかない、とこの本では言っていますが、基本は重要度-緊急度マトリクスと同じだと思いました。
ただ、重要度-緊急度マトリクスでは、Dの仕事は時間の無駄になるためできるだけ削減する、として削減、やめる、ということに重点が置かれています。
そうすると、リーダーやマネージャーはそれを人に振ったり、やめるという判断ができるけど、現場レベルでは、結局やらざるを得ないことが多いんだよね、となってしまいます。
この本が決定的に違うのは、Dも含めて仕事として結局すべてをやる必要がある。
したがって「限られた時間に全ての仕事をどう割り振るか?」という視点で考えることが重要、という点だと思いました。
この目線で再度、仕事のやり方を見直してみようと思います。
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