何故、人工透析の診療報酬を引き下げるのか?鍵は透析に至らないようにする予防!

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人工透析、診療報酬減額へ

患者30万人・医療費1.6兆円 厚労省、コスト抑制 

次回2018年度の診療報酬改定に関するニュースです。

人工透析は機能が低下した腎臓の代わりに機械などで体内の老廃物を人工的に取り除く治療法です。

一般的には週3回受ける患者が多く、医療費は1人当たり年間約500万円かかります。

高齢者が増えるのに伴って患者数も増えており、2016年末は約33万人と00年末に比べ約6割増えました

医療費は年間1兆6千億円に膨らみ、同40兆円規模の日本の総医療費の4%程度を占めている

これだけ医療費が高いと当然、診療報酬を減額する圧力が大きくなります。

でも生きるために必要な治療なのに何故減額なのでしょうか自分なりに考えてみました。


何故日本の透析患者が多いのか?

まず最初に、何故日本の透析患者が多いのでしょうか?

日本は人口100万人当たりの患者数は2,600人(2016年度統計)で世界最多です。

グラフを見ても一目瞭然ですが、年々その数は増え続けています。

引用元:http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2017/p005.pdf

日本の透析患者が多い理由を列挙してみました。

  • 腎移植が極めて少ない

日本:1,000件/年、米国:15,000件/年

移植そのものの精度、倫理が今も壁になっている

  • 血液透析技術の高さ

年間死亡率(1,000人あたり)

日本:6.6人、米国:23.5人

医療の質、医薬品&デバイスの質の高さ

  • 予防対策を実施する施設が少ない

栄養指導の手間(透析療法の方が楽)

患者さん1人あたりの年間収入

透析治療:500万、予防医療:60万

予防対策の手間や透析療法の成績から、透析療法を選択している

  • 透析治療には手厚い公的医療費助成がある。自己負担は原則として月1万円が上限。患者さんの負担がほとんどないため、予防のインセンティブが働かない。

腎機能低下の原因

透析は機能が低下した腎臓の代わりに機械などで体内の老廃物を人工的に取り除く治療法です。

そのため腎機能の低下の原因について調べてみました。

引用元::家族と考える慢性腎臓病サイト~腎援隊(じんえんたい) https://jinentai.com/ckd/columns/3

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)とは、腎臓の障害が慢性的に続いている状態のことをいいます。

現在、患者さんは国内に1,330万人(成人の8人に1人)いるとされ、新たな国民病といわれています。

性腎臓病(CKD)の発症と進行には、生活習慣病やメタボリックシンドロームが深く関わっています。わが国の研究でも、腹部肥満や高血圧、高血糖、脂質異常がある患者さんで、CKDの発症・進行のリスクが高くなることが報告されています。

それらの疾患の根底にあるのは、生活習慣の乱れです。バランスを欠いた食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足、ストレスはもちろん、治療中であれば、通院や服薬を怠るといったことも、病気の進行を大きく左右します

逆にいえば、患者さんの悪い生活習慣を改める、治療中であれば通院、医師の指示を守ることができれば、CKDの発症や重症化を予防できる、治療できるということです。

理想を言えば、若い頃から悪い生活習慣を改めることが大切です。悪い生活習慣の改善はCKDが軽症であるほど改善効果は高く、重症であっても、末期腎不全への進行を遅らせることが可能です。

また機能が低下した腎臓をもとに戻すことは困難なので、なおさら生活習慣の改善が重要になります。

透析患者のうち、約4割が糖尿病による腎機能の低下が原因

また透析患者のうち、約4割が糖尿病による腎機能の低下が原因です。

引用元:http://www.dm-net.co.jp/seminar/14/

それでは何故、糖尿病が腎機能の低下を引き起こすのでしょうか?

腎臓は、糸球体と呼ばれる細小血管の塊が集まった組織で、この糸球体が、左右の腎臓のなかに100万個ずつもあります。この糸球体の一つひとつで、血液中の老廃物がろ過される仕組みになっているのです。

しかし高血糖が続くと、この糸球体の血管が硬化し血管が狭くなると同時にろ過作用が低下します。これが糖尿病性が腎機能を引き起こすメカニズムです。

引用元:http://www.dm-net.co.jp/seminar/14/

糖尿病も生活習慣と大きく関わっていて、下記のような生活習慣、食習慣により血糖値をコントールすることが重要です。


何故、透析治療の診療報酬を引き下げるのか?

透析治療は、原因となる腎機能を改善したり、腎機能低下を予防したりするのではなく、透析治療に入ると一生涯続けることになります。

低下した腎機能を元に戻すことは難しいので、腎機能低下を予防することが非常に重要になります。

ところが、今の状況では、治療側も透析により安定的な収入が見込め、患者側も負担がほとんどないため、予防のインセンティブが働かないというのが最大の問題だと考えます。

そのため透析治療の医療費が雪だるま式に増加しているのです。

また、透析治療の実施率には大きな地域差があるのも問題と言われています。透析治療の人口あたりの実施率は最高の大分県と最低の秋田県との間で4.5倍の差があった。民間議員は厚労省に対して「透析医療の実態に応じて診療報酬の適正化」をするように強く求めています。

このような状況を踏まえて、透析治療の診療報酬見直しが検討されています。

引用元  <https://www.nikkei.com/article/DGKKZO24102010Q7A131C1EE8000/>

骨子は下記です。

厚労省はこうした状況を踏まえ、透析治療の医療費の適正化に乗り出す。現在、原則1万円の患者の自己負担は維持し、例えば透析治療による医療費が特に多い病院など、一定の基準を設けて引き下げの対象とする方針だ。具体的な基準は今後詰め、18年度の診療報酬改定から実施する。

同時に透析に至らないよう患者の病状の悪化を防ぐ対策もとる厚労省は来年度の診療報酬改定で生活習慣病の管理に有効とされる遠隔診療の報酬を手厚くする方針だ。

予防の取り組みが進んでいる自治体では、透析の実施率も低い傾向にある。対面での診療を基本に病状が安定している患者には遠隔診療をうまく使うように医療機関に促す。

やはり透析に至らないよう病状の悪化を防ぐ対策に力を入れるようです。

これは非常によい方向だと思います。

診療報酬改定の内容は、別途まとめさせて頂きます。

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1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!