イノベーション対話ツールを活用したワークショップデザインの具体例~目的を明確にして、発散と収束を組み合わせることで結論に導く~ポイントと実例を紹介

Pocket

image_pdfimage_print

ワークショップのデザインの方法論「イノベーション対話ツール」

私は慶應大学SDM(下記リンク参照)でイノベーションを考えるためのワークショップのデザインのやり方を学びました。

詳細は「イノベーション対話ツール」(下記リンク参照)にまとめられています。

この「イノベーション対話ツール」は、イノベーションに限らず、議論を活発に行い、何か結果を出したい全てのワークショップに活用できる万能な方法論です。

私がワークショップをデザインする時には、これをベースにしています。

本日は、簡単なポイントと実際の例をご紹介します。


新製品導入により大幅シェアアップを目指すための営業戦略を考えるワークショップ

実際の例は、先日マーケティング部門から依頼を受けた「新製品導入によりシェアアップを目指すための営業戦略を考えるワークショップ」です。

ワークショップデザインで考えるべき3つのレイヤー

それでは、この実例のワークショップを方法論に沿ってデザインしていきます。

目的、方法、手法3つレイヤーで考えます

目的

「何のためにやるか?」を明確にすることが一番最初です。

言われてみると当たり前の話なんですが、皆さん、意外に目的が曖昧なまま具体的な手法を考えてしまっていませんか?

今回のケースでは、当初の目的は「新製品導入によりシェアアップを目指すための営業戦略を考える」ことでした。

私は、この製品や目的について、依頼された時に初めて聞くような状況だったので、状況や狙いなどを確認していきました。

GW明けに新製品が市場に出ます。機能的には競合に勝てる製品で、その優位性で2~3割程度のシェア獲得が期待できる製品とのこと。

ところがマーケティング部門では、製品機能だけではなく、疾患全体をマネジメントするような価値を訴求することができれば、2~3割のシェアではなく、大幅なシェアアップを獲得できると考えていました。

ただ、実際に顧客である病院(施設)にアプローチするのは営業部隊です。

マーケ部門の懸念は、機能で2~3割売れるので、そこばかりにフォーカスして、期待の大幅シェアアップまで思考や行動が発展しないのでは?ということでした。

そこで本ワークショップでは、依頼元のマーケ部門は営業部隊に「製品機能だけではなく、疾患全体をマネジメントする価値を訴求することで大幅なシェアアップを獲得を狙う具体的な営業戦略を考えてもらいたい」と考えていました

というような意図が分かり目的がだんだん具体的になってきました。

  • それだったらシェアは何%ぐらいを狙いますか?

「60%は狙いたいですね」

  • 疾患全体のマネジメントってどういうことですか?

「【〇〇 アドバンテージ】という戦略を大分前から事業部内では戦略の柱としていたんですけど、戦略に製品機能が追い付かず、なかなか展開できていなかったんです。今回の製品は、まさに欠けていた機能を補うもので、これにより【〇〇 アドバンテージ】の価値が訴求できるはずなんです」

と更に、シェアや疾患全体のマネジメントを具体的な数値や言葉にしていきます。

この具体化のステップが非常に重要です。

出てきた具体的な数値や言葉を使って目的を明確にしました。

「新製品〇〇の導入により、【〇〇アドバンテージ】を生かしシェア6割を獲得する具体的な営業戦略を考える」

いかがでしょうか?当初の目的に比べて、より具体的な目的となり、参加者にとっては狙いが明確になりますね。

実際に、メンバーにこの目的を提示した時には、

  • シェア2-3割ならともかく、6割なんて、この製品だけじゃ無理ですよ。
  • 何かと組みわせて合わせ技1本の作戦を考えないと。
  • やはり【〇〇アドバンテージ】がポイントなのかな?

と必然的に、シェア6割への挑戦、とそのためには【〇〇アドバンテージ】まで考えないとダメだね、という雰囲気になりました。

今回は、目的により議論のベクトルを一気に合わせることができた、すごくよい事例となりました。

方法

2つ目のレイヤーは方法論を考えることです。具体的には、議論をどう発散、収束させるかを考えることです。

  • 【ファシリテーション3】たったこれだけ?ファシリテーションの実践ポイント!発散、収束、見える化

で、ファシリテーションのポイントも発散、収束と紹介しました。

ワークショップも同じです。一旦、多様な意見を出してもらい発散し、そこから議論を収束させて結論を導きます。

これを組み合わせることで効果的な議論を演出します。自分達が思いもつかなかったアイデアが出て、おおっという結論が出ことを目指してデザインします。

今回の方法論のデザインです。

以下のステップです。簡単にいうと

インプット → 発散・収束 → 発散・収束

と、発散と収束を2回繰り返すデザインです。

チームでの議論の前に、マーケティングからインプットの時間を設けて、マーケ戦略や製品機能などの情報を整理します。

議論のスタートにあたり、前提条件としてターゲットのセグメント施設の具体的なプロファイルを与えます。これはセグメント毎に課題や戦略が変わるためです。

最初の議論はブレストです。ブレストでシェア6割獲得のための課題をたくさん出し(発散)2軸に整理して3つの課題に絞り込みます(収束)

次に、抽出した課題に対して、新製品が提供できる価値と具体的なアクションをブレスト(発散)し、出てきたアクションをメンバーの対話により、これから具体的に実行していくアクションとして明確化(収束)します。

手法

方法論で決めたステップに、具体的なツールややり方をはめていきます。この時、具体的なツールややり方を考えることで、方法論のデザインを変えることもあります。方法論⇔手法を互いに行ったりきたりしながら、具体化していきます。

手法の具体的な例として2回目の発散・収束の説明スライドを紹介します。

発散の時は、多くの意見を出すことが重要です。

グループで話をし始めると、1人の人の発言を聞き、それに対して突っ込みが入るため、多くの意見は望めません

そのため、最初に個人で考える時間を設けました。1回目の課題出しのブレストも同じく個人で考える時間を設けました。

個人とグループによるアイデア出しの違いは下記を参照下さい。

  • 意見、アイデア出しにおける、個人とグループの違い ~量を求めるときは個人、発展させるときはグループ~ 両者のいいとこどりが「ブレインライティング」

またこのスライドが最終アウトプットのイメージになります。ここに目的の2つのポイント

  • シェア6割
  • 〇〇アドバンテージ

を明記している点が重要です。

これにより、最後まで「〇〇アドバンテージを活用してシェア6割を獲得する」ということを、常に参加者が意識するようになります。


実際の結果

それでは実際の結果はどうだったでしょうか?

下記が、あるチームの最終アウトプットになります。

一番大事なのは、「各チームが、このアクションでシェア6割を獲得できる自信があるかどうか?」です。

確認してみると、「結構いけると思います。5割はいけるかな。」という印象でした。

6割というのは、ものすごく高いハードルなので、「はい、大丈夫です」と確信まで行くのはなかなか難しいですが、「これなからいけそうだ」と皆さん感じてくれたようです。

またマーケティングの人からも、「大変参考になるアクションが出てきた」というコメントを頂きました。

結構うまくいったワークショップだったと思います。


参考資料

  • イノベーション対話ツール 文部科学省

ワークショップデザインのやり方、具体例、秘訣・ヒントをまとめます

下記にワークショップデザインのやり方をまとめています。

  • 一気に大勢の人の共感を醸成、相互理解を得られるワークショップを活用しよう~ワークショップデザインのやり方、具体例、秘訣・ヒントをまとめます~
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!