まるでテーマパークのような病院!日本の医療を変える医師の挑戦その2~医療の自由化で日本を医療崩壊から救い、医療を基幹産業に育てる~

Pocket

image_pdfimage_print

日本の医療を変える医師

医療法人社団KNI(Kitahara Neurosurgical Institute)の理事長の北原茂美さんは、脳外科医です。

日本の医療を変える取り組みを次々と打ち出している有名人です。

では病院内の取組みをまとました。

本日は、医療システムを変えるような取り組みについてまとめます。


あなたの仕事は「誰を」幸せにするか?

日本の医療システムの問題点と具体的な対策について、北原さんの考えが凝縮された一冊です。

問題点を論じるだけであれば誰でもできます。

北原さんは「具体的な医療改革案」をもち、それを実際に実行し結果を証明しながら、更に次の策を次々に実行している点が凄いです。

あなたの仕事は「誰を」幸せにするか?~社会を良くする唯一の方法は「ビジネス」である~(北原茂美[著])

日本の医療崩壊は「医療費崩壊」

日本の医療崩壊の根幹の原因は「医療費崩壊」。これが北原さんの主張です。

様々な要因が関連するので、因果関係が分かるようシステム図を描きました。


国民医療費の財源不足

国民医療費は年間で42兆円。健康保険料だけでは賄いきれず4割は税金負担。

すでに半分破綻している状態

そのため国は医療費高騰の抑制のため、診療報酬改定で医療の値段を抑制するようコントロールしています。

高額な薬剤費がターゲットとなり大幅に引き下げられているのは、その典型例です。

そうすると医療を提供する病院にしわ寄せがきます。

診療報酬が抑えられれば、人件費も削られます。医師はよりよい治療を提供したいので、設備投資もしないわけにはいきません。そうするとますます人件費にしわ寄せがきます。医師の長時間労働のニュースはよく聞きます。現在の診療報酬価格を維持できているのは、医師や医療従事者の献身的な貢献による部分が大きいです。

介護にも介護報酬制度がありますが、サービスの価値に対して介護報酬が低く設定されているため、仕事の内容に対して得られる対価が少ないです。そのため資格をもっていても介護職につかなかったり、低賃金・重労働のワーキングプアの状況となったりします。

システム図に表したように、ワーキングプアの状況になると、子供を産み育てる余裕がなくなり少子化に拍車がかかります。そうすると更に医療費の財源が不足するという悪循環(システム図の上側の赤い矢印のループ)に陥ります。


いつでも自由に病院が選べるフリーアクセス性による弊害

国民皆保険&フリーアクセスにより誰でも少ない診療費負担で、自由に病院を選べます。

最新の診断機器や治療機器を揃えて治療成績がよい病院でも、旧式の機器で並み以下の治療成績の病院でも、診療報酬により決められた診療費、治療費は同一です。

競争の原理が働かないどころか、設備更新など投資をしない病院の方が儲かる仕組みになっています。何故なら病院の収入は診療報酬で決められているので、設備投資を抑えて支出を抑えればより儲かるからです。

そのため医療の質を高めようとするインセンティブが働きません

またフリーアクセスで誰でも病院が選べるので、本来ならば高度な治療を行うべき大学病院に、ちょっとした病気での外来がやってきます。高度な医療を提供できる機器や医師が揃っていても、高度な医療が必要ない患者の対応に時間をとられてしまう、という現実があります。相対的に低い価値の医療に時間をとられることで、医療の質も上がらず、ワーキングプアを助長します。

また国民皆保険で負担が少ないので、病気になっても安心。逆に予防のインセンティブが働かないため医療費増大につながる、という問題もあります。


課題の整理

日本の医療崩壊の根幹の原因は「医療費崩壊」=「高齢化や医療の高度化に伴い医療費増大を賄うための財源が不足」と一貫して主張しています。その結果、以下のような問題が生じます。

  • 診療報酬が抑制されるため、設備投資など医療の質を高めようとするインセンティブが働かない。
  • 診療報酬が抑制されるため、医療の現場にしわ寄せが行きワーキングプアの状況を作っている。
  • 予防のインセンティブが働かない

医療システム破綻を避ける具体策

それでは医療システム破綻を避ける具体策とは何でしょうか?

北原さんの対応策は大胆ですが、明快です。


医療の自由化(医療を産業に)

国民皆保険を全廃し自由診療とします

質の高いサービスを望む人は、対価としてよく多くのお金を支払います。

そうすると高齢者や弱者いじめ、と捉える人もいるかもしれません。それに対しても北原さんは明確に反論しています。

まず高齢者。高齢者は医療を必要としており、医療費負担も大きくなります。ところが日本の個人金融資産1,500兆円のうち、何と50代以上の世代で8割を保有しています。つまり高齢者はお金を持っているのです。現在の医療システムでは、一番お金を持っている高齢者が、支えられる側になっているのです。この高齢者のお金を数%医療費として使うだけで、数兆円の医療費を賄うことができます。


新たな医療セーフティネットの整備

次に収入が少ない弱者です。これに対しては、2つの方策が考えられます。

一つ目は、新たな医療セーフティネットの整備です。

実は現在の国民皆保険制度でも、収入に応じて健康保険料率や税率が異なり、低所得者は負担が少なくて済みます。これを保険料や税金ではなく、医療費そのものに適用するという考え方です。高所得で高額医療費を払える人は、たくさん払い、その分質の高いサービスを受けることができます。

一方で医療費を払えない低所得者は、基準を決めて、その基準を超える医療費は免除される、という考え方です。


ボランティアシステム

もう一つの対策は、地域住民や患者さんの家族によるボランティアシステムです。

ボランティアとして働いてもらった分をポイントとして蓄積し、そのポイントを使って、病気になった時には医療費やその他の費用を減額するという仕組みです。

家族が入院した時には、お見舞いも兼ねてボランティアとして働いてもらい、入院費やその他の費用を減額します。

下記のように様々なボランティアがあり、それぞれの特技や事情に応じて、自分のできる範囲で働くことが可能です。

  • 体力に自信のある人は介護スタッフや病院内清掃
  • 剪定の技術のある人は植木の管理
  • 理容師さんは患者さんの散髪
  • 自宅で清掃用のぞうきん作り

実際に入院費の負担が月に7~8万減額されるケースもあります。

このようにボランティアシステムを導入することで、少ない支払いで高度な医療をうけることが可能となります。


治療から予防へのシフト~簡易診断ワンコインドック~

病院とは何か?

「病院でしかできない医療を提供する場所」。突き詰めると「手術室とICU」というのが北原さんの考えです。

現状はフリーアクセスのため、高度医療提供が可能な大学病院にもちょっとしたことで外来に押し寄せる状況となっています。「病院でしかできない医療を提供する場所」とは真逆です。

「病院を病院でしかできない医療を提供する場所にする」ために、北原さんはワンコイン500円か ら受診できる簡易人間ドックを始めました。

専用シートに気に なる点をチェックした上で採血。検査時間は5分結果は携帯やスマートフォンにメールで届く。医療費削減を目指した予防医療です。これは医療区分での医療行為には該当しないため保険証も不要です。

これにより、受診者は予防のインセンティブが働くだけでなく、ちょっとしたことで病院の外来に行く患者を減らし、病院は高度な医療行為に集中することができるようになります

ワンコインドックについては下記解説動画も参照下さい。


セルフメディケーションへ

医療費削減を目指したもう一つの取組みが、セルフメディケーションです。

セルフメディケーションという患者自身が治していくという手法です。少子高齢化の中で治療法の1つであり、医療費削減につながります。

北原病院では、うつ病を抱える患者が畑を耕したり、羊を世話するなど患者同士で協力して農作業に勤しんでいます

こうした取り組みは農業リハビリと呼ばれ、他ならぬ患者自身も効果を感じています。収穫した野菜は価格を決めて病院内で販売しているそうです。


低コストで高度なサービスを提供する病院作り

自由診療に向けたチャレンジの一つが、低コストで高度なサービスを提供する病院作りです。

自由診療になった時に、患者さんに選ばれる病院を目指して作ったのが「北原リハビリテーション病院」です。

どんな病院かは下記記事を参照下さい。

カンボジアに進出しているのも、規制が少なく環境も整っていない海外で、ICTなど活用した先進的な医療にチャレンジするためです。海外で成功事例を作り、日本に逆輸入する。そのためにカンボジアで救命救急センターを開設しています。


まとめ

私も「医療費崩壊」については全く同意です。

私自身は、「支える側」と「支えられる側」とのバランスが崩れているので、定年を70歳まで延長し、高齢者の医療費負担を引き上げる、ことが有力な対策だと考えていました

診療報酬の必要以上の引き下げ、特に医療従事者や介護従事者の人件費にかかわる診療報酬費の引き下げには反対です。

北原さんが主張する「医療の自由化」は大胆な意見ですが確かに理にかなっています。

理想を主張するだけならば単なる評論家ですが、北原さんはそれを自分自身で実行し、有効性を証明し、そこから本当に医療制度を変えようとしています。その志の高さと実行力に感銘を受けました。

私自身も「少子高齢化」や「医療費崩壊」には大変興味を持っています。自分自身で何ができるのか?何をすべきなのか?もっとよく考え、行動に変えていきたいと思います。

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!