【治療イノベーション】寝ながら認知症予防できる「メモリアップスリーパー」早期実現できるかも?

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寝ながら認知症予防できる「メモリアップスリーパー」

「異業種共創ヘルスケアデザイン」異業種の人たちが集まってヘルスケアに関する製品やサービスを考えようという活動に参加しています。

活動の詳細は別途記事にする予定ですが、その中で出てきたアイデアの一つがこれ「メモリアップリーパー」です。

最近、人の名前が出てこなかったり、と切実に認知症が気になっています。

「メモリアップスリーパー」寝ながら記憶力維持ができ、認知症予防になる、まさに夢のような製品です!

あくまでアイデアですが、これあったら絶対に買いです。

でも、これって実現できるもの何でしょうか?

気になって、睡眠と記憶との関係を調べてみました。


睡眠不足は認知症リスクが最大で36%上昇

スペインのマドリード大学が行った調査によって、平均睡眠時間が6時間以下の人は36%もMCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)および認知症の発症リスクが高い、ということが分かりました。

一方、平均睡眠時間が8時間以上である人は、27%もMCIおよび認知症の発症リスクが高いことも示されました。睡眠不足は認知症発症のリスクを確実に高めますが、かといって、寝れば寝るほど良い というわけでもないのです。

引用元: https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no498/


睡眠により脳細胞を死滅させるアミロイドβが排出される

2015年には学術誌の「ネイチャー・ニューロサイエンス」では、睡眠不足が続くと脳内にアミロイドβの蓄積が進み、睡眠の質を悪化させ、それによってさらにアミロイドβが溜まりやすく悪循環を引き起こすことを示唆する論文が発表され話題を呼んでいます。

認知症の中で最も発症割合が多いアルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβと呼ばれるタンパク質が蓄積し、それが脳細胞を圧迫・死滅させてしまうことで発症します(下記参照)。

アミロイドβは、脳が活動したときに生まれる老廃物で”脳のゴミ”とも呼ばれています。

ノンレム睡眠中に脳内からの排出が活発に行われるという性質を持っており、もし睡眠不足でノンレム睡眠の時間を確保できないと、アミロイドβの蓄積がどんどん進むのです。

そうなると当然、アルツハイマー型認知症の発症リスクは高まることになります。


睡眠パターン

睡眠が認知機能に影響を与えることが理解できてきました。

そこで、睡眠について少しまとめてみます。

人の眠りには、2種類があります。

  • 脳は起きている一方で、体が眠っている「レム睡眠」
  • 脳も体も眠っている「ノンレム睡眠」

眠りについた当初は浅いノンレム睡眠が現れ、時間の経過とともに次第に眠りが深くなっていき、ノンレム睡眠の状態へと移行。その後、レム睡眠へと移るのです。

眠りに落ちてから最初のレム睡眠が現れるまでの時間は平均で約90分ですが、朝までの就寝中の間で、この初めの90分が最も深い睡眠となることから、「黄金の90分」とも呼ばれています。

最初のレム睡眠が現れたあとは、再びノンレム睡眠に入り、それからはレム睡眠、ノンレム睡眠を4~5回ほど繰り返しながら、明け方を迎えるわけです。

このノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルの中で睡眠の質」を高めるには、最初の「黄金の90分」におけるノンレム睡眠をどれだけ深くできるか、という点がポイントになると言われています。

自分の睡眠パターン

Fitbitでとった自分の睡眠パターン(下記)を見てみました。

黄色の文字や矢印、線は私が後から追加した解説です。

  • 浅い睡眠=浅いノンレム睡眠
  • 深い睡眠=深いノンレム睡眠

になります。

最初の「黄金の90分」における「深い睡眠(深いノンレム睡眠)」の時間が重要です。

深いノンレム睡眠は1晩のトータルで50分、約10%でした。

私の同年齢の男性の範囲は12~18%なので、少し少な目です。

このデータは昨晩のものですが、平均でも10%程度なので、同年齢の男性と比較して、深いノンレム睡眠の割合が少ないようです

ただ、しっかりと睡眠時間は確保できていますし、睡眠パターンも悪くなく、何より目覚めはスッキリしているので現状問題はなさそうです。

今回、自分の睡眠パターンをじっくり観察するのは初めてでしたが、今後も「黄金の90分」には気をつけて睡眠パターンを見ていこうと思います。


脳の記憶力の低下は睡眠中の脳波のリズムのわずかな「ズレ」によって生じている可能性が判明

睡眠と記憶力について、もう一つ面白い研究結果がありました。

人は誰でも年齢を重ねると記憶力が低下するものですが、そのメカニズムには脳波の「ズレ」が関連しているという研究結果です。

  • Older Adults’ Forgetfulness Tied To Faulty Brain Rhythms In Sleep : Shots – Health News : NPR

https://www.npr.org/sections/health-shots/2017/12/18/571120472/older-adults-forgetfulness-tied-to-faulty-brain-rhythms-in-sleep

この研究を行ったのは、カリフォルニア大学バークレー校のマット・ウォーカー教授らによる研究チームです。

人間の脳が短期記憶を長期記憶として定着させるプロセスには、脳の中で生みだされている複数の「脳波」のリズムが重要な鍵となっていることが示されています。

そして、複数の脳波のリズムに「ズレ」があるとその機能が満足に動作せず、短期記憶が長期記憶にうまく移動されず、そのまま失われてしまっていることを示す結果が判明しています。

研究チームは2度の実験を行って脳波と記憶力の関連について調査しています。

20人の若者を被験者とした最初の実験ではまず、被験者に単語のペアを120個覚えさせました。次に、頭部に脳波センサーを取り付けた状態で一晩眠りにつかせ、睡眠中の脳波を記録しました。そして翌朝、被験者に対して昨日覚えさせた単語のペアをいくつ覚えているかをテスト。

そしてその結果を、一晩記録した脳波のデータと照らし合わせることで、記憶力と脳波の関連を調査しました。

その結果、脳波と記憶の間には一定の関連があることが判明したとのこと。

特に研究チームが注目したのが、深い睡眠の時に現れるデルタ波睡眠紡錘波という2つの脳波です。

  • デルタ波は周波数が1Hz~4Hzほどのゆっくりとしたもの
  • 睡眠紡錘波は14Hz程度の比較的速い波

この2つの脳波が同期する「リズム」が脳の記憶力に関連があるということを研究チームは浮き彫りにしています。

ウォーカー氏によると、この2つの脳波がきれいに同期している人は記憶力が高かったとのこと。また逆に、脳波のリズムにズレが生じている人は、翌朝の記憶力テストで良い結果を出せていなかったことが判明しています。

次に研究チームは、同じ調査を60歳から70歳の32人の被験者に対して実施。

すると同様に、脳波と記憶力の間には関連があることがわかりました。

論文執筆者であるランドルフ・ヘルドリック氏は、「脳波のタイミングが50ミリ秒早かったり、50ミリ秒遅かったりするだけで、脳の記憶保存メカニズムは機能しなくなります」と語っています。

研究チームはまた、加齢による記憶力の衰えが生じる原因についても発見しています。

脳の中には深い睡眠を作り出す部位があり、この部位が加齢によって老化することで、脳波の同期がうまく取れない状態につながっていることが明らかになっています。

また、この部位の老化が進んでいるほど、脳波にも悪い影響が及んでおり、さらにこの変化はアルツハイマー病を患っている人ほど顕著に見られるとのことです。

この結果はつまり、程度の差こそあれ人間は加齢による記憶力の減退からは逃れられないことを示しています。

しかし一方で、人為的に脳波を整えることで、記憶力を復活させる可能性があるということもできます。

ここが大事なポイントです。

複数の脳波のリズムの「ズレ」が問題だとすると、そのズレを人為的にコントロールしてその「ズレ」を解消する、という発想です。まるでペースメーカーと同じですね。

ウォーカー氏のチームでは今後、脳に電極を取り付けて脳波のリズムをコントロールすることで、記憶力にどのような変化が現れるのかを調査する予定とのことです。

非常に楽しみです。


まとめ

今回まとめたように記憶/認知機能の維持・向上に睡眠の質が重要であることが分かりました。

さらに、深い睡眠中の2つの脳波が同期する「リズム」のズレにより、記憶/認知機能が低下するメカニズムも明らかになってきました。

これにより、2つの脳波の同期リズムを人為的にコントロールすることで、記憶/認知機能の維持・向上が期待できます。

脳波を計測するという点では、すでに携帯型の脳波センサというのも製品化されています

http://www.proassist.co.jp/nouha/index.html

これって、まさにメモリアップスリーパーのイメージです。

この脳波センサに、2つの脳波を同期コントロール仕組みを付加すれば、原理的にはメモリアップスリーパーになります

アイデア考えた時には、そんなのできるのかな?という感じでしたが、なんか、すぐにでも実現できそうな印象を持ちました。

製品が出たら、絶対に買いです!楽しみです。


参考資料

  • 睡眠不足は認知症リスクが最大で36%上昇!高齢者がとるべき適切な睡眠時間は?

<https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no498/>

  • 脳の記憶力の低下は脳波のリズムのわずかな「ズレ」によって生じている可能性が判明

https://gigazine.net/news/20171219-forgetfulness-tied-to-faulty-brain-rhythm/

  • なぜ認知症と睡眠は関係がある? 理由は”老人斑”を作らないため

<https://dot.asahi.com/wa/2018072700008.html?page=1>

  • これが世界最先端!”認知症”予防SP

<http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20170517/index.html>

  • 脳波センサZA

http://www.proassist.co.jp/nouha/index.html


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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!