【成長する人・組織7】匠の技をどう学び継承するのか?~暗黙知を形式知に変え獲得するSECIモデル~

Pocket

image_pdfimage_print

匠の技をどう学び継承するのか?

今、自分の仕事に関連して

医師の「ゴッドハンド」の匠の技をどのように次世代に伝えるのか?

は、大きな課題です。

では「学びの6つのステップ」「フィードバックの重要性」をまとめました。

下記の「経験学習モデル」も参考になります。

引用元:経験学習モデル ~組織行動学者のコルブが経験からの学びを体系化

さらに、ファシリテーションやプロマネトレーニングでも強調している「見える化」も重要な要素です。

キーワードを抜き出してみます。

  • 経験
  • 見える化
  • フィードバック(振り返り)
  • 概念化
  • 実践

どう匠の技を学び継承するのか?は、「経験→見える化→フィードバック→概念化→実践」このサイクルの繰り返しが重要だと、自分なりに考えていました。

それがぴたっと当てはまるモデルがありました。

本日はそれをご紹介します。下記図書に出てくるSECIモデル(セキモデルと読む)です。

知識創造企業(野中郁二郎、竹内弘高 著)


SECIモデル

一橋大学名誉教授の野中郁二郎先生が提唱する組織的知識創造モデルです。

個人の暗黙知を形式知に変換し組織として新しい知識を獲得・創造していくモデルです。

4つの知識変換モードがあり、これをループ状に継続することで組織として新しい知識を創造することができる、というものです。

4つのモードの頭文字をとってSECIモデル、と名付けられています。

順に見ていきます。

Socialization「共同化」

個人の暗黙知を五感を使って体験することで組織として暗黙知を共有・共感する。

Externalization「表出化」

対話と内省を通じて暗黙知を言語や図像といった形式知・概念に変換する。

Combination「連結化」

個別の形式知を連結し、関連する概念をモデルや物語といった体系的な知識・理論モデルを構築する。

Internalization「内面化」

体系的な知識・理論モデルを実践し、形式知を新しい暗黙知として創造、獲得する。


匠の技の継承とSECIモデル

4つのステップをまとめたものが下図です。

どう匠の技を学び継承するのか?は「経験→見える化→フィードバック→概念化→実践」このサイクルの繰り返しが重要、と考えていました。

SECIモデルは、まさにぴったり当てはまりますね。

さらに、匠の技は個人の暗黙知で、それを組織の形式知として習得する必要があり、個人から組織、暗黙知から形式知へという概念が表現されている点が非常に優れており、より分かりやすいモデルとなっています。

医師の匠の技を継承する具体的なステップをイメージしてみます。

  • Socialization「共同化」

匠の技を持つ講師と一緒にトレーニングを受けることで、工夫している点や注意すべき点といった暗黙知を体験・共感する。

  • Externalization「表出化」

講師や他参加者との対話を通じて、工夫している点や注意すべき点を言語や図像といった形式知・概念に変換する。

  • Combination「連結化」

そのトレーニングで得た形式知だけでなく、すでに知られている形式知や他社からの形式知を連結し、ある手技全体のプロセスが向上するような体系的な手技モデルを構築する。

  • Internalization「内面化」

体系化された手技モデルを繰り返し実践し、形式知を新しい暗黙知として創造、獲得する。


効率的に短期間で匠の技を学び継承するにはどうしたらよいのか?

SECIモデルが、匠の技を学び継承する学習モデルにぴったり当てはまることは理解できました。

そこでさらに、「効率的に短期間で匠の技を学び継承するのにはどうしたらよいのか?実は、これが私の最大の関心事です。

SECIモデルに当てはめて考えたのが下図です。順にみていきます。

Socialization「共同化」

匠の技を持つ講師と一緒にトレーニングを受けることで、工夫している点や注意すべき点といった暗黙知を体験・共感することですが、それに加えて「空間認知」を重要な要素として加えました。

何故なら、臓器を立体的に空間認知することで圧倒的に手技の理解が深まる、と考えられるからです。

実はこれも暗黙知で、医師は経験を積み重ねて空間認知能力を高めていきます

で紹介したようにVR/AR/MRを活用することで、この空間認知能力を効率的に高めることが可能になってきています。

これをトレーニングと組み合わせることで、匠の技を持つ講師の工夫している点や注意すべき点といった暗黙知をよく深く共感できる、と思っています。

Externalization「表出化」

対話と内省を通じて暗黙知を言語や図像といった形式知・概念に変換するフェーズです。

これにはスキルの可視化が有効です。

手技中の手やツールの動きをモーショントラッキングを使い、どの位、どのように動いたのか?を可視化することが可能になっています。

さらに熟練者とビギナーの動きの違いも分かります。

このように「スキルを可視化」することで、単に言語化するよりも定量的で誰もが理解できる形式知に変換することが可能です。

Combination「連結化」

個別の形式知を連結し、関連する概念をモデルや物語といった体系的な知識・理論モデルを構築するフェーズです。

スキルの可視化から得られた形式知を連結し、ある手技全体の最適プロセスや動作を体系化したモデルとして構築することができます。

この体系化したモデルで、手技全体のスキルを評価したり、そのモデルをシミュレータとして構築することで、このフェーズをより効果的に行えるようになります。

Internalization「内面化」

体系的な知識・理論モデルを実践し、形式知を新しい暗黙知として創造、獲得するフェーズです。

連結化で構築された「評価機能付きのシミュレータ」を使うことで、効果的な訓練とフィードバックが可能となります。

単発的なトレーニングの繰り返しや、評価機能なしのシミュレータと比較して、格段に新しい暗黙知として定着させることができるようになるはずです。


まとめ

匠の技をどう学び継承するのか?について、SECIモデルが非常にしっくり腹落ちしました

さらにSECIモデルをベースに考えることで、

「効率的に短期間で匠の技を学び継承するのにはどうしたらよいのか?」を整理することができました。

最後の図の実現に向けて一歩づつ進めていこうと思います。


関連記事

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!