【ヘルスケアビジネスモデル34】不眠症アプリから発展!アプリで得た情報から新たな価値を創造する医療情報処理のプラットフォーマー~サスメド~

Pocket

image_pdfimage_print

サスメド

3/18のMedtecでサスメドCEOの上野太郎さんの講演を聞く機会がありました。

サスメドが、不眠症治療のアプリを開発していることは知っていましたが、単なるアプリ開発だけでなく、アプリで収集できるデータを活用するためのプラットフォームを提供するすごいビジネスモデルだということが分かりました。

そのすごさをまとめます。

簡単にまとめると下記3段構えのビジネスモデルとなっています。

  • 不眠症治療用アプリの開発
  • 効率的な診療・臨床試験のためのシステム
  • デジタルエンドポイントとデータ分析システム

アプリ医療機器は治験データや市販後調査データ取得が容易なので、これを活用するためのプラットフォームシステムが2, 3になります。

2の診察・臨床試験データはデータセキュリティが重要となるためブロックチェーンの技術を使っていますブロックチェーンの医療応用のための技術開発・実証・特許取得までやっているハイレベルな技術がポイントです。

3のデータ分析システムでも、AIを使った独自の自動分析システムを開発し、レポート作成まで自動化されています。これも高い技術です。

そこまでできてしまうのか?と思わず唸ってしまうような内容でした。

3段構えのビジネスモデルを順に整理します。


不眠症治療用アプリ

日本人の5人に1人が不眠症で、「睡眠障害による日本の経済損失は年間3.5兆円」という恐ろしい損失額が報告されています。

さらに興味深いのは、不眠症の治療には認知行動療法が有効であることが示されていますが、多くは睡眠薬処方で済まされている、という事実です。

認知行動療法は処置に時間がかかるため、3分で処置が終わる睡眠薬に流れてしまいます

さらに悪いことに睡眠薬は治療ではなく対処療法で、かつ睡眠薬依存となり、うつ病、休職、最悪自殺というルートを辿ってしまいます

自殺/うつによる日本の経済損失は年間2.7兆円と報告されています。

そこでサスメドが提供する解決策が、「不眠症に効果がある認知行動療法を簡単にできるアプリ」です。

実際のアプリ画面は下記で、2020年を目処にアプリケーションなどの承認取得を目指して

現在治験を行っている最中です。


効率的な診療・臨床試験のためのシステム

日本初のソフトウェア医療機器の臨床開発を行う過程で、規制当局との対話を経て臨床試験のためのシステムを自前で構築したのがサスメドです。

CEOの上野氏の話です。

医療データは重要なデータだが、過去に医薬品開発などで改ざんが行われたケースもあり、厚生労働省による規制が厳しくなった。ブロックチェーンを活用することで、データの信頼性を低コストで担保することができる。これは医療費の低減にもつながると考える

現状では治験データ収集、処理の多くがCROに委託されていて、CROのモニターが全国の病院に赴き臨床データを確認する、といった非常に工数のかかるプロセスとなっています。

サスメドの試算では、システムの導入コストは大きいものの、運用面でコスト削減が期待できるので、合計で50%以上の削減を見込める可能性があるそうです。


データ分析システム

3つ目がデータ分析システムです。収集した治験データや臨床データを分析し、その効果を立証してはじめて医療機器としての承認取得が可能となります。

そのために非常に重要になるのがデータ分析ですが多くの課題があります

  • 優秀なデータ分析者は見つけるのが難しく、見つけたとしても高コスト
  • データ分析を学ぶのは非常に難しい
  • レポート作成が負担
  • パラメータと結果の関連性が見えない

サスメドは、AIを活用した独自のデータ分析システムを開発しました。

レポート作成まで自動化、結果に与える因子の影響度まで一目で分かる、という画期的なシステムです。


ビジネスモデル

3段構えのビジネスモデルでそれぞれ要素が異なるため、ビジネスモデルキャンバスの9要素のうち、特徴的な3要素を整理しました。

不眠症アプリでは患者がメインの顧客セグメントでB to Cビジネスですが、臨床試験システムやAIデータ分析システムではB to Bになります。またAIデータ分析では、治験領域にとどまらず、複雑なデータ分析を行う企業・アカデミアなどより広い範囲が顧客となります。

こうやって整理してみると、アプリ医療機器はデータを容易に収集することができるので、

  • そのデータをどう活用して新しい価値を生むのか?
  • データを活用するためのシステム

という2つの観点で新たなビジネスモデルを生む可能性があることが理解できました。

アプリ医療機器、恐ろしい発展性ですね。

なかなか面白い気づきでした。


ビジネスモデルキャンバス


参考資料

  • サスメドホームページ
  • 医学的エビデンスに基づき、スマートフォンアプリで不眠症治療を実現 ―サスメド株式会社 上野太郎
  • サスメド株式会社事業紹介
  • ブロックチェーンで臨床データをモニタリング―サスメド、ITで変える臨床試験の未来【インタビュー】
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!