【ヘルスケアビジネスモデル40】世界初の遠隔心臓リハビリのリモハブ~心不全後の心臓リハビリの継続率を上げ再入院率を下げることで、患者さんのQOLを上げ、医療コストを下げる~

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世界初の遠隔心臓リハビリのリモハブ

世界初の遠隔管理型心臓リハビリシステムは、クラウドを活用して患者の自宅と医療機関をつなぎ、自宅にいながら心臓リハビリテーションを受けられるシステムです。

株式会社リモハブ 代表取締役社長 谷口達典氏


リモハブが解決する課題~心不全の再入院率を減らす~

日本における国民死亡原因の第2位である心疾患の中でも、心臓の機能が低下して生じる心不全は患者数が120万人以上存在すると推定され、今後も増加が見込まれる。

心不全は高齢者に多い疾患であり,社会の少子高齢化が進めば進むほど,全人口に対する心不全患者の割合が増加します。

心不全における最大の問題は,再入院率が非常に高い(約35%/年)点です。再入院は患者のQOLを低下させるだけでなく,入院1回につき約120万円の医療費を要すると言われ,医療経済的にも大きな課題となっています。

そのため,再入院率を下げるためにさまざまな取り組みがなされているが,そのうち心臓リハビリテーション(以下,心臓リハビリ)の施行は再入院率を約40%低下させることが報告されています。

頻回なリハビリの必要性,課題は患者のアクセス

心臓リハビリは運動療法を核としながら,患者教育,栄養指導,服薬指導などを多職種で構成されたチームで行うことで,予後やQOLの改善に取り組む包括的なアプローチです。

「慢性心不全患者に対する多職種介入を伴う外来・在宅心臓リハビリテーションの臨床的効果と医療経済的効果を調べる研究」(研究開発代表者=東医歯大・磯部光章氏)によれば,心不全に対する入院心臓リハビリを行っている施設が217施設(80%)外来心臓リハビリを行っている施設が153施設(54%)であり,これは従来に比べると増加しています。

しかし,入院患者に対する退院後の,外来での心臓リハビリの実施率は7%にとどまっています

その主な原因に,病院へのアクセスの問題です。日米欧いずれのガイドラインにおいても,心臓リハビリは1回30~40分,週3~5回の有酸素運動を行うことが推されており,病院と自宅の間を頻回に行き来する必がある。そのことが,患者に大きな負担となります。

また,医療サービスの多くが都市部に集中しており,都市部から離れた医療過疎地域では,医療サービスへのアクセスが非常に悪い状況です。

アクセスを改善する世界初の遠隔心臓リハビリ

リモハブは遠隔でも実施できる心臓リハビリテーションを通じて、運動を続けてもらいたい医療サイドの思いと、医療者に診てもらいながら自宅ですぐに心臓リハビリを実施したい患者の思いをつなげています。

引用元:

具体的なシステムは、ウェアラブル心電計,IoTを実装したエアロバイクシステム(図2),そしてこれらを統合するアプリをコンポーネントとしています。

患者は自宅でウェアラブル心電計を装着してアプリを起動し,医療機関にいる運動管理者に連絡を行う。そして,リアルタイム双方向通信を用いて,その日の体調やバイタルサインを確認し,運動療法を行います

図1 遠隔心臓リハビリテーションシステム「リモハブ」
図2 在宅心臓リハビリで用いるエアロバイク

遠隔で行える心臓リハビリシステムにより,医療機関で行っているのと同様に適切な負荷,適切な頻度で心臓リハビリを在宅で行うことが可能となります。2018年9月現在,既に10例の心不全患者を対象としてフィージビリティ試験を開始しています。病院と自宅をクラウド経由でつなげることで,通院の負荷がなく,在宅で無理なく心臓リハビリを続けられます

本システムを用いた遠隔心臓リハビリの検証を行っており,高い実施継続率やそれに伴った運動耐容能の向上などの結果が期待されます。

普及のための課題

第一に重要となるのが,エビデンスの構築です。

わが国における心臓リハビリのエビデンスはまだまだ少なく,遠隔医療に関しても同様の状況です。言わずもがな,薬事申請や保険適用はエビデンスを元に決定されるため,しっかりとデザインされた臨床研究を行う必要があります。遠隔医療につきまとう個人情報管理等サイバーセキュリティに関する課題もあり,関連した法整備も必要になります。

また,在宅心臓リハビリを行う上で忘れてはならないのが,安全性の問題です。医療機関内で行う心臓リハビリについては,万が一に備えた万全の準備をしているが,在宅において同レベルの安全性を担保することは困難です。一方で,われわれは非監視型の在宅運動療法を患者に処方しています。心臓リハビリは適応と実施方法さえ間違えなければ基本的に安全な治療であり,むしろ死亡率が低下する治療だともいえます。


まとめ:リモハブのビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスを描いてみました。

顧客は「心不全患者」です。

価値は、在宅でリハビリを継続することで、再入院率を下げ、その結果QOLを上げ、医療コストが低下することです。

赤字の再入院率低下、QOL改善、医療コストの低減は、医師にとっての価値にもなります

CureAppのビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスを書いてみて、CureAppと共通点が多いと感じました。

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CureAppのビジネスモデルキャンバスを描いてみました。

「リモハブ」との共通点は2点です。

  • メインの顧客は患者で、医師にも価値が提供される
  • 提供されるサービスにより、自宅では継続が難しいリハビリや行動変容を促し、その結果QOLを改善し、医療コストを下げる

比較してみると、なかなか面白いですね。


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参考資料

  • 「遠隔心臓リハビリ」、リモハブが事業化加速へ
  • リモハブ ホームページ
  • 薬局をイノベートするカケハシがグランプリ、介護テックのウェルモがダブル特別賞など、ヘルスケアの未来照らす経産省主催ビジコン
  • ICT活用で変わる在宅心臓リハビリ
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1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!