【HITO病院】全国から医師が集まる改革で有名な愛媛の病院~脱PHSで加速する病院の働き方改革、スマホに話してカルテ入力、魅力のある病院理念とトップの人柄&行動力~

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「未来創出HITOプロジェクト」脱PHSで加速する病院の働き方改革、スマホに話してカルテ入力

以前から注目していたHITO病院の理事長、石川賀代氏の講演を聞く機会がありました。

iphoneを活用した病院の働き方改革についての講演です。

ポイントは下記です。

  • 300台のiphoneを病院内に導入
  • 日本初の音声入力可能なiphoneカルテを導入
  • iphoneのみでQRコードを活用し三点認証(医療過誤防止のため対象者、実施者、対象物の三点を実施前に確認すること)
  • 業務用SNSの活用(CT, MRI画像も見れる)
  • マニュアルをサーバーに集約し、音声でいつでもどこでも取り出すことができる
  • 病院内にICT部門を置き、ユーザーニーズに応じてタイムリーにシステム開発

このような施策により業務を効率化し、患者へのサービス向上と働きやすい環境作りを両立している点がポイントです。

情報共有→対話→協働→変革

というステップが変革につながっているとのことです。

講演の中で印象的だった言葉は下記です。

  • 医療関係者は新しいものの導入を好まない傾向がある。
  • 小さく始めてメリットを感じることが大切。
  • 特に人数が多い看護師さんに理解を得ることが大事。

病院内の現場をよく見て、働く人の気持ちを大事にしているなあ、という印象を強く受けました。

iphoneの活用の具体例は下記引用記事を参照ください。


スマホに話してカルテ入力、動き出す病院の働き方改革(引用記事)

引用元↓

医療従事者の働き方改革や人手不足が叫ばれる今、その対応策についてさまざまな取り組みや議論が進んでいる。こうした中で愛媛県四国中央市の石川記念会HITO病院では、ICTを活用した業務効率化によって患者へのサービス向上と働きやすい環境作りを両立している。

その1つがスマートフォン(スマホ)を活用した音声認識による電子カルテの入力システムだ。リハビリテーション科の理学療法士などのカルテ入力時間を、約70%削減する大きな成果をあげた。

スマホを活用して音声認識で電子カルテに入力する

四国旅客鉄道(JR四国)予讃線の川之江駅から車で15分ほどの場所に、病床数が257床の石川記念会HITO病院はある。前進である「石川病院」は1976年の開院以来、地域の救急医療を担ってきた。

2013年に地域医療再生計画にて地域の中規模中核病院として「HITO病院」にリニューアル。「いきるを支える」をモットーに「HITO(人)を中心に考え、社会に貢献する」という経営理念の下で、救急医療に加え、高度急性期から在宅までの一貫したケアを提供し、地域の医療・介護を支えている。

理事長で病院長の石川賀代氏は、業務の効率化のためにICTを活用した「未来創出HITOプロジェクト」に取り組んできた。これまでに医師へのタブレット端末の配布や業務用SNSの導入などを実施している。

理事長で病院長の石川賀代氏

プロジェクトの一環として電子カルテの入力時間短縮に取り組んだのは、他の業務に比べて明らかに時間がかかっていたからだ。リハビリテーション科全体の1日の業務量を調べると、カルテ入力時間が15時間56分で最も多かった。

理学療法士などは、1日の業務が終わった後にパソコンに向かって7~8人分の患者のカルテを入力していた。パソコンの数は限られており、「若手職員が先輩職員の入力が終わるのを待つこともあった」(リハビリテーション科の科長の山田太一氏)という。

システム導入で一気に変化

2018年6月ごろにスマホによる音声認識システムを本格導入して以来、その光景はがらりと変わった。パソコンのある場所に移動しなくても、移動時間や空き時間にいつでもどこでも入力できるようになったのだ。

約60人のリハビリテーション科の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がリハビリの結果などを音声でスマホに入力するとテキストに変換され、入力ミスなどを事務員が修正した後に電子カルテにコピーする。理学療法士などは業務の終わりに入力内容を短時間で確認・修正すればよくなった。

効果は明らかだった。患者1人当たりの入力時間がパソコンのキーボードを使った場合の174秒から約70%減の55秒になった1日当たり全体で15時間56分だったカルテ入力時間は、一気に4時間45分まで減少した。

削減した時間は患者のリハビリ時間の増加につながりサービスが向上した。リハビリテーション科の理学療法士らの全体の時間外業務時間も月70時間程度だったのが、同20時間程度に減った

カルテ入力時間を約70%削減できた

リハビリテーション科の主任の村上雅之氏によると「できるだけ滑舌良く話し、文節の区切りや抑揚を意識すると変換精度が高まる」という。普段の会話と同じような速度でリハビリの内容を話していくと、スマホの画面に次々と文字が表示されていく。

実際に試してもらったところ、認識ミスは「立位」を「いつい」、「杖歩行(監視)」を「杖歩行可股関節」、「高次脳機能障害を合併」を「高次脳機能障害後合併」と変換した3カ所のみだった。認識ミスは事務員が修正するが、患者1人当たりの修正は0~3カ所程度という。

病院目線で使い勝手を改善

開発当初は、ここまで使い勝手の良いシステムではなかった。当初は音声認識技術を手掛けるアドバンスト・メディアの既存のシステムを活用して、パソコンと外付けマイクの組み合わせで音声入力を実現しようとした。

2017年6月に導入を果たしたが、音声入力はできるものの「なかなか普及しなかった」(リハビリテーション部の部長の篠原直樹氏)と振り返る。理学療法士などに聞いてみると「皆の前でマイクに話すのが恥ずかしい」「パソコンの数が限られていて使いにくい」という意見が多かった。

パソコンとマイクの組み合わせを半年ほど試したものの、いつまでも使ってもらえない状況が続いた。転機となったのは、サービス終了が近づくPHS(簡易型携帯電話)に代わって、スマホの「iPhone」を職員に支給することが決まったことだった。

高機能のスマホであればパソコンのように音声入力端末として使えるのではないかと考え、2018年1月ごろにアドバンスト・メディアにシステム開発を依頼した。

ただし2018年春ごろに出来上がった最初の試作版では、スマホに音声で入力した内容がテキストに変換されてサーバに送られるだけで、入力者が自ら電子カルテにコピーする仕様だった。現場の声を聞きながら、実際の業務に合うように少しずつ改良していった。

まずは理学療法士などの手間を減らすために、事務員が認識ミスを修正して電子カルテにコピーできる仕様に変更してもらった。事務員を新たに雇う費用はリハビリ時間の増加による増収分などで賄えるという。

その他にも「穴埋めテンプレート機能」を提案した。実施時間や患者ID、実施内容などの必要な項目を作り、該当部分を埋めていく形式にした。こうすることで、電子カルテの作成に必要な内容の入力忘れを防げるようになった。

次の項目に移る際に画面に触れて操作する手間を省けるように、項目の間に無言の部分を設ければ自動で次の項目に移動するようにした。認識率を高めるために、専門用語の辞書の充実も図った。こうして2018年6月ごろに現在のシステムが完成した。

病院を続けていくために

病院長の石川氏がICTを積極的に活用するのは「この地域で継続して安定的に病院を続けていくため」と話す。地方では人口減が急速に進んでおり、職員の確保が難しくなっている。ICTによる業務効率化は、患者へのサービス向上と職員の働きやすさの両立のために避けて通れない

ICTを活用したサービスを導入するだけでなく、誰もが使える環境の整備にも乗り出している。例えば患者が診断内容を閲覧できるスマホアプリを導入したが、高齢者などで使い方が分からない人も多かった。

そのため、アプリや健康管理機器の使い方を教えるカウンター「HITO Bar」を病院内に設置した。携帯電話会社はスマホの使い方を教えてくれるが、特定のアプリの使い方は教えてくれない。「我々が教えるしかない」(石川氏)として、カウンターの設置を決断した。ICT担当の職員などが患者の相談に応じている。

今後もHITO病院に適したICTを導入していくとともに、導入したシステムの改良も続けていく。電子カルテの入力時間の削減に寄与したスマホによる音声認識システムも、さらなる進化を目指している。電子カルテと連携することで、事務員を介さなくても「電子カルテに直接入力できるようにしていきたい」(リハビリテーション部の篠原氏)という。


HITO病院の理念(引用記事)

HITO病院がなぜ注目を浴びるのか?私も共感した記事を紹介します。

愛媛県四国中央市の社会医療法人石川記念会 HITO病院には、ここ数年、東京都、大阪府、三重県、岐阜県、佐賀県など全国各地から医師が転職してきている。診療機能拡充に伴う専門医招へいに応じた医師たちが参集しているのだ。

改革を進める2代目経営者、石川賀代氏の姿勢に共鳴した――。入職した医師たちからはそんな声が聞こえてくる。(文中敬称略)

内装に和紙や木を取り入れた外来フロア。医療機関では敬遠されがちな黒色をあえて配し、落ち着いた空間をつくり出している。(提供:HITO病院、以下同)

「とても病院とは思えませんね」。HITO(ひと)病院を訪れた見学者は、異口同音にそんな感想を漏らすという。そう感じるのも無理はない。病院名からして、一風変わったローマ字表記で独特だが、院内も和紙や木製家具、暖色の照明を使った美術館のようなつくりで、およそ病院らしくない

同病院が、旧・石川病院(153床)から改組し、ハード・ソフトともに大きく向上させた地域の中核病院として生まれ変わったのは、2013年4月のこと。地元県立病院の病床の民間移譲で104床の増床が認められたことに伴い、病院を新築移転し、体制を一新した。

病院名の「HITO」には、患者の生活を含めその人全体を支えるという思いが込められている。そして、この4文字は、行動規範を表す4つの言葉の頭文字でもある。

  • Humanity 患者さまを家族のように想い、温かく接します。
  • Interaction 患者さまとの対話を尊重し、相互理解に努めます。
  • Trust 技術と知識の研鑽に努め、信頼される医療を目指します。
  • Openness 心を開き、患者さまと公平に向き合います。

石川には「こんな病院にしたい」という、はっきりしたイメージがあった。それは、患者にもスタッフにも「選ばれる病院」だ。

父親の病院で働いていたとき、「院長の娘でなかったとして、この病院で働きたいか」と自分に問うてみた。残念ながら答えは「ノー」。「家族が病気になったとき、ここに連れてくるか」。これも「イエス」とはっきり言い切れなかった。

それは、旧病院では「スタッフが何を重視して働くか」という根幹の部分があいまいであるように感じられたからだ。確かに24時間365日、救急車をたくさん受け入れており、急病時に断らずに受け入れる「便利な病院」ではあった。だが、多くの人に「あの病院で普段から診てもらいたい」「あの病院で長く働きたい」と思ってもらえる域までは達していなかった

脳神経内科部長と総合診療科部長を務める京楽格は、「松山市や岡山市など、どこに出るのにも便利だし、子どもの教育の環境もある程度整っている。大企業がいくつも立地していて町に活気がある。機器や設備も整っていて良かった。でも、最後は何だかんだいって人。院長の人柄が一番大きく、『脳神経内科をお任せします』などと頼まれて意気に感じるところがあったと振り返る。


まとめ

HITO病院の事例は、単なるICT導入による働き方改革の話ではなく、組織変革の好事例です。

組織変革のためには、魅力のある理念とトップの人柄&行動力が重要だということを実感しました。

小さなことからやってみて効果を実感する、というのもよい教訓です。


参考資料

  • 「四国の真ん中」の病院に医師が続々集まる理由 石川 賀代 氏(HITO病院 理事長・院長)
  • 500名の職員を率いる姉御肌院長の 「病院らしくない病院」への挑戦~HITO(ひと)病院・石川賀代先生を突き動かす情熱の源とは~
  • 医療、街づくりと一体 HITO病院病院長 石川賀代氏
  • スマホに話してカルテ入力、動き出す病院の働き方改革
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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!