水で癌だけを選択的に切除、血管や神経は傷つけない~ウォータージェットメス~

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水で癌だけを選択的に切除、血管や神経は傷つけないウォータージェットメス

昨日の日経新聞の記事です。先週から癌に関して何件か記事をアップしましたが、これもすごい技術なのでちょっと調べてみました。

東京電機大学の荒船龍彦准教授らは手術の際に神経や血管など周囲の組織を傷つけにくいメスを開発した。

レーザー光で刺激して飛び出した水の力でがんなどを取り除く脳腫瘍患者を対象にした臨床研究では直径0.2ミリメートルの血管を傷つけずに手術ができた。協力企業を探し、医療機器として実用化を目指す。

水を勢いよく飛ばして腫瘍や脂肪を切除できる。

脳腫瘍の手術では、がんなどの除去とともに神経や血管を傷つけないことが求められる。

既存の器具(電気メス、超音波切開装置)は切ったりつかんだりする際に傷つけてしまう場合があった。
ウォータージェットメスは、熱損傷がなく高い組織選択性のため、血管や神経を傷つけにくい。

従来装置とウォータージェットメスの組織温存性の比較

  • 電気メス:血管など熱で損傷させてしまう
  • 超音波切開装置:一定以上の径を有する血管を温存可能(組織選択性)
  • ウォータージェットメス:熱損傷がなく、高い組織選択性(血管温存機能)がある。

高い組織選択性の理由は、臓器内の各組織によって破断応力値に差があること。簡単にいうと臓器によって切れる力が違うので、ウォータージェットの条件を変えることで、血管や神経を傷つけることなく必要な臓器だけを切開することができる。

100例を越す臨床試験で、血管温存性に関する有効性、安全性、操作性も確認されている。

新しい技術なのかと思ったら、1980年代から注目されていた技術でした。ウォータージェットの射出量が多く装置が大型化、微調整が容易でない、術野が悪い、などの課題があり、ウォータージェットの発生機構の改良など技術開発が進められていました。何と既に製品化されてました
引用元: https://amco.co.jp/medical/6f08be699a5645326966ec56c551a467.pdf

いずれにしてもQOL向上の観点からは優れたテクノロジーなので今後に注目です。

なぜイノベーティブだと思うのか?

やはり、水で臓器を切る、という発想です。水洗浄や水カッターなど水流で物を切断したり、剥離したり技術は既に世の中にありますが、それらは見ての通り、すごい圧力です。

臓器は柔らかく、かつ周囲に血管や神経など入り組んでいて、しかも命にかかわる。

手術に使うには、ウォータージェットの出力や条件の制御が相当難しいんだろうと推測します。この技術課題の克服を目指す技術的イノベーションです。

人々の暮らしをどう変えるのか?

この技術が実用に耐えられるレベルになると、手術時間の短縮、血管・神経・臓器の温存、出血量の軽減、といったQOLの向上につながり、患者さんにとってはすごくハッピーです。

応用できる発想は?

水で何かを切るという発想ですが、こちらは既にいろんな分野で実用化されていますね。


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1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!