【ヘルスケアビジネスモデル1】医療界の怪物「エムスリー」のビジネスモデル(その1)日本国内の医師の80%が会員として利用する圧倒的な囲い込みサービス

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医療界の怪物「エムスリー」とは?

2017年フォーブス誌の「Most Innovative Growth Companies(最も革新的な成長企業)」の第5位にランクされた、というエムスリー。

今後のヘルスケアビジネスの狙いどころと成長戦略は?「ヘルスケアビジネス成長戦略:松室孝明(タナベ経営 ヘルスケアビジネスコンサルティングチームリーダー)」

に紹介されていた企業です。恥ずかしながら全く知りませんでした。

彼らは自分達のビジネスモデルを特許申請をしており認可を受けていますが、インターネットを使ったビジネスモデルに特許が認められたのは日本ではエムスリーが初の事例です。

「医療界の怪物」とも称されている、すごい企業のようです。何がすごいのか?自分なりに整理してみました。参考情報は、記事の一番下にまとめています。

売上、純利益

下記グラフを見ると一目瞭然です。直近の2017年3月期では売上781億、純利益169億円です。2000年創業からわずか17年です。

エムスリーIR資料より引用

エムスリーIR資料より引用


ビジネスモデル

インターネットを使ったビジネスモデルに特許が認められたのは日本ではエムスリーが初の事例というくらい、ビジネスモデルが優れています。

一言でいうと「ネットを利用した医療関連サービスを提供する事業」で、最大の強みは医師の会員数です。同社が運営する医師向けの医学・医療情報サイト「m3.com」の会員数は約25万人で、実に日本国内の医師の80%が会員として利用しています。

まさに囲いこみですね。それを可能にしたのが、「MR君」というサービスです。

実は、MR君に代表されるインターネットサービスは、同社の成長の最初の柱ですが、そこで囲いこんだ医師とのつながりを基盤として、第2の成長エンジンである、リアルオペレーションへと進化し、現在は、先端医療分野を第3の成長エンジンとして立上げ中です。

このように、次々に新しいビジネスを創造し、変化し続けている点も秀逸です。このあたりはまた別の機会に触れてみたいと思います。

エムスリーIR資料より引用

ビジネスモデルキャンバス


MR君のビジネスモデル

ここでは、同社の基盤となる「MR君」のビジネスモデルにフォーカスしてまとめます。

MR君は、その名の通り、医薬品情報を医師や薬剤師に提供するMRの仕事に着目したサービスです。基本MRは、施設を回り、医師や薬剤師を訪問して、対面で情報を提供します。移動時間も多く、多忙な医師との面会では、待ち時間も多く発生します。

このため下図のように、製薬会社での営業コストはMR関連費用が90%を超え、この中には移動時間や待ち時間など、多くの無駄が含まれます。

一方で、情報を受け取る医師の立場から見ると、医療情報を収集するのは、学術会議やインタネットもあり、多大な労力をかけているMRからはわずか17%の時間しか使っていないという事実が分かりました。

引用:エムスリー2012年説明会資料

ここのギャップに目をつけたのがMR君です。

「製薬企業はMRの業務を効率化したい」「医師は有益な情報を得たい」、という双方のニーズを満たすたすのが、MR君という医療情報提供サイトです。製薬メーカーは医師に対して自社の伝えたい情報を掲載費を支払うことで、医師に対して直接情報発信することができます。

一方医師は、従来、雑誌や学会、または訪問した多くのMRからのいろんなソースから時間をかけて収集していた最新情報を、このサイトから手軽に入手できるようになります。その利便性の高さが圧倒的な指示を受けて医師の80%以上が利用するようなサービスが構築されました。

費用対効果などは、下記サイトに詳しくまとめられているのでご参照下さい。

日本にも世界にも無かった唯一無二のビジネスモデル エムスリービジネスモデル研究

MR君のビジネスモデルキャンバスを描いてみましたので、参照下さい。

  • 医療界の怪物「エムスリー」のビジネスモデル(その2)日本国内の医師の80%が会員として利用する圧倒的な囲い込みサービス「MR君」のビジネスモデルキャンバス

参考情報

  • 日本にも世界にも無かった唯一無二のビジネスモデル エムスリービジネスモデル研究
  • 医療界の怪物:エムスリーの巧妙なビジネスモデル
  • エムスリー爆速成長の15年史
  • エムスリー稼ぎ頭部門長に聞く「最強の戦略」【MR君編】
  • エムスリーの3次元経営~ビジネスモデルの変容 | 株予報コラム

ヘルスケアビジネスモデルの事例

  • 【ヘルスケアビジネスモデル1】医療界の怪物「エムスリー」(その1)日本国内の医師の80%が会員として利用する圧倒的な囲い込みサービス
  • 【ヘルスケアビジネスモデル2】医療界の怪物「エムスリー」(その2)日本国内の医師の80%が会員として利用する圧倒的な囲い込みサービス「MR君」のビジネスモデルキャンバス
  • 【ヘルスケアビジネスモデル3】医療界の怪物「エムスリー」(その3)第2の成長エンジン 治験オペレーションの治験ビジネスモデル
  • 【ヘルスケアビジネスモデル11】「集合知により医療を再発明するメドピア」徹底的に医師の目線にこだわる医療専門”食べログ型”SNS vs エムスリーのMR君は”ぐるなび型”
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ABOUTこの記事をかいた人

1969年生まれの50歳、会社員。自称「お困りごと解決士」。会社では多くの人がいろんな事に困っています。プロジェクトが進まない、トラブル対応で早急に対策をとらないといけない、業務効率をあげたい、新しいシステムを入れたい、売上をあげたい、コストダウンしたい、など。そんな時、必ず頼りになるのが私です(笑) 元々は核燃料のエンジニア。30歳を過ぎてから社内で様々なプロジェクトをリード、コーチングするプロジェクト屋になる。多くの人を巻き込みながらプロジェクトをリードすることが得意です。オペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence、略してOpEx)、プロジェクト・マネジメント(Project Management)、チェンジマネジメント(Change Management)のエキスパート。どうすれば皆さんのお困りごとを解決できるのか?日々学んでいることをまとめています!