【ヘルスケアビジネスモデル32】日本での調剤薬局の新たな取り組み~「オンライン服薬指導+宅配」

日本での調剤薬局の新たな取り組み

  • 【ヘルスケアビジネスモデル31】経済性を追求したワンストップショップ型調剤薬局「CVS Health 」 vs 自宅での服薬の困りごとの解決を狙う「PillPack」

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では2つのアメリカの調剤薬局ビジネスモデルを比較しました。

本日は日本での調剤薬局の新たな取り組みについて考えます。

着目点は、「服薬指導」「宅配」の2点です。

調べてみると、似たようなビジネスがありました。3つのビジネスモデルを比較します。

「服薬指導」と「宅配」に関する規制

処方薬を受け取るためには以下のステップを踏む必要があります。

  1. 患者が病院(医師の診断により)から処方せんを受け取る
  2. 患者が処方せんを調剤薬局に渡す
  3. 患者が調剤薬局から薬の飲み方について指導を受ける
  4. 患者が調剤薬局から薬を受け取る

これらのステップのうち、①と②は「処方せんの電子化」と「電子化された処方せんのオンラインでの送信」という2つの規制緩和(の可能性)に関連します。

今回着目している「服薬指導」と「宅配」は③、④に関連します。

「服薬指導」があれば「宅配」は可能http://www.meti.go.jp/press/2017/09/20170915001/20170915001.htmlなので、「服薬指導」の規制が重要となります。

「服薬指導」は薬剤師法25条の2に規定されており、

  • [対面での服薬指導]

薬剤師法 第25条の2 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

薬剤師が調剤した薬を患者に渡す際に、「対面で」薬剤に関する情報提供・服薬指導を実施することが義務づけられています

現在の法規制上、「服薬指導」は、薬剤師と患者が対面で実施しなければならないことになっています。

この「服薬指導は対面でなければならない」という原則は現在、国家戦略特区として認定された地方自治体のみという限定つきですが、「テレビ電話で行っても構わない」という形で規制緩和されてきています。

つまり許可された特区では「オンライン服薬指導」が可能となっており、このビジネスモデルもご紹介します。


アインHD:オンライン服薬指導+処方薬の宅配

1つ目のビジネスモデルは、許可された特区で可能となった「オンライン服薬指導」と「処方薬の宅配」を組み合わせたビジネスモデルです。

調剤薬局最大手のアインホールディングス(HD)が愛知県の特区で実施しています。

患者さんは「特定処方箋」を郵送で薬局に送付します。

特定処方箋を受け取った薬局は患者と電子メールや電話で服薬指導の日時を決め、予約日に患者と薬局の薬剤師がログインし、映像や音声を確認してから服薬指導を実施する(オンライン服薬指導)というものです。

調剤した薬は原則、当日中に配送手配を行い、患者が受け取ったかどうか伝票番号等で確認します(処方薬の宅配)。銀行振込など予め取り決めた方法で会計を終える。

このビジネスモデルキャンバスです。

価値提案は2つです。

  • 店舗に出向かずに処方薬を受け取ることができる(患者さんへの価値)
  • 薬剤師の負担軽減(他の2つのビジネスモデルと比べて訪問する必要がない)

メディカルシステムネットワーク社:日本郵便と連携し処方薬宅配

2つ目のビジネスモデルは、メディカルシステムネットワーク社が日本郵便と連携して実施している処方薬の宅配です。

このビジネスモデルは、薬剤師による訪問服薬指導をベースにしています。

薬剤師が在宅処方を行う際、服薬指導を終えた後の処方薬を調剤薬局から郵便局が集荷し、在宅患者の自宅や居住施設へゆうパックで配達する流れです。

訪問して服薬指導するので、「訪問薬剤師と違って、どんなメリット(価値提案)があるのか?」

という点が気になります。

価値提案は2つです。

  • 重量物の運搬に係る薬剤師の負担軽減
  • 薬剤師の負担軽減の結果、服薬指導に集中することで服薬指導のサービス向上

訪問薬剤師は、重量のある輸液・栄養剤等も持っていくので、この負担に着目したサービスです。ただ、2点目の服薬指導のサービス向上につながるのか?というのは個人的には疑問です。

ビジネスモデルキャンバスは下記になります。


ミナカラ薬局:スマホで処方箋撮影して注文すると薬が宅配で届く

3つ目のビジネスモデルは、ベンチャーのミナカラ薬局が提供する宅配サービスです。

「スマホで処方箋撮影して注文すると薬が宅配で届く」というサービスで、一番シンプルな宅配の形です。

あれっ、薬剤師による服薬指導はどうしているの?と疑問に思いませんか?

このサービスの面白い点は、薬剤師が宅配し、薬の配達と一緒に対面で服薬指導を行う」点です。

利用者はまず「おくすり宅配アプリ」で処方箋を写した画像を送信します。注文を受けた提携薬局の薬剤師が調剤の上、30分~3時間でバイクなどを使って宅配し、患者らと対面して薬の説明など服薬指導を行う、という流れです。

ビジネスモデルキャンバスは下記です。

価値提案は2つです。

  • 店舗に出向かずに処方薬を受け取ることができる(患者さんへの価値)
  • 対面での服薬指導(安心感)

まとめ

3つのビジネスモデルを比較・整理しました。

  • 処方箋発行
  • 服薬指導
  • 宅配

の3つの要素を比較しています。あわせて、規制と、訪問薬剤師、アメリカの例を比較します。

①処方箋発行 ②服薬指導 ③宅配
規制 ×医師 〇薬剤師(対面、特区でオンライン可 〇薬剤師の服薬指導があれば
アインHD ×医師 オンライン服薬指導 〇宅配業者
メディカルシステムNW ×医師 訪問薬剤師 〇宅配業者
ミナカラ薬局 ×医師 〇薬剤師が宅配時に服薬指導 〇薬剤師が宅配
訪問薬剤師 ×医師 訪問薬剤師 〇訪問薬剤師
アメリカ 〇簡易診断所 オンライン可

訪問薬剤師を含めて日本の4つのビジネスモデルは、全て「自宅にいながら服薬指導を受け、処方薬を受け取ることができる」という点で、患者さんが受ける価値としては大きな差はないように感じます。

そこでアメリカと比較してみます。

違いが大きく2点です。

  • 処方箋発行と合わせてワンストップのサービスが可能

アメリカの調剤薬局は簡易診断所を備えているところもあり、処方箋の発行から宅配までワンストップのサービスが可能です。

日本でもオンライン診療と組み合わせてワンストップサービスになると大きな価値が提供されますが、残念ながら現時点ではまだ実現できていません。

  • 薬を安く提供する(自由競争)

日本の4つのビジネスモデルでは、アインHDのモデルが、薬剤師の訪問がないため、一番コストがかからないと考えられます。ところが患者が支払う費用は、4つのビジネスともに、薬剤費+調剤費のみで、ほぼ変わりません

そのため、患者さんが受ける価値として大きな差がなくなり、特に薬剤師の負担を軽くするような新しいサービスの普及が進まなくなってしまうと感じました

アメリカと比べると、まだまだ遅れているな、という改めて感じました。


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参考資料

法規制

  • 遠隔診療の法的整理 〜連載第3回 遠隔診療における医薬品の処方〜

メドレーの法務統括責任者の田丸です。遠隔診療の法的整理ブログの第3回は、予定通り「遠隔診療における医薬品の処方」です。第1回の「遠隔診療にかかわる法的規制」の記事と、第2回の「遠隔診療と遠隔医療相談」の記事についても、併せてお読み頂ければ嬉しいです。
遠隔診療の法的整理 〜連載第3回 遠隔診療における医薬品の処方〜 - MEDLEYオフ... - MEDLEYオフィシャルブログ

  • 薬局の配達は違法じゃない?|薬局業務NOTE

服薬指導を終えていれば誰が配達しても問題なし
薬局の配達は違法じゃない? - www.phamnote.com

  • 薬局における待ち時間を短縮する薬剤の販売方法の導入に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の取り扱いが明確になりました~産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用~

薬局における待ち時間を短縮する薬剤の販売方法の導入に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の取り扱いが明確になりました~産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用~
薬局における待ち時間を短縮する薬剤の販売方法の導入に係る医薬品、医療機器等の... - www.meti.go.jp

  • 処方薬、自宅で入手可能に 在宅医療を後押し 20年度めど、スマホで服薬指導: 日本経済新聞

厚生労働省は患者が自宅にいながら処方薬を入手できる仕組みをつくる方針を固めた。テレビ電話での診察は4月に解禁されたが、今は薬を受け取るには薬局に出向き、薬剤師の対面指導を受けねばならない。スマートフ
処方薬、自宅で入手可能に 在宅医療を後押し - 日本経済新聞 電子版

遠隔服薬指導

  • 遠隔服薬指導、調剤報酬確定し初の実施へ:DI Online

国家戦略特区での遠隔服薬指導に関する調剤報酬が、中央社会保険医療協議会(中医協)総会で了承されて初めてとなる遠隔服薬指導を、きらり薬局名島店(福岡市東区)が2018年7月18日午後に実施した。同薬局は、既に6月28日にオンラインによる遠隔服薬指導を行ったが...
遠隔服薬指導、調剤報酬確定し初の実施へ - DI Online

  • 【アイン薬局/愛知県特区】遠隔服薬指導のデモ公開‐離れた場所から患者に説明 : 薬事日報ウェブサイト

  • 処方薬、ネットで指導: 日本経済新聞

薬局に出向かず処方薬を購入する仕組みの整備が進もうとしている。愛知県の国家戦略特区で調剤薬局最大手のアインホールディングス(HD)が10日、インターネットで薬剤師が飲み方を教える「オンライン服薬指導
処方薬、ネットで指導 - 日本経済新聞 電子版

処方薬の宅配

  • 日本メディカルシステムネットワークと日本郵便

  • 日本郵便、メディカルシステム社と連携し処方薬宅配 – Logistics Today|国内最大の物流ニュースサイト

  • ミナカラ薬局

ミナカラ薬局では調剤薬局の運営、薬剤師オンライン医療相談、薬局マガジン、おくすり宅配などの事業を通じて皆様にオンライン薬局という新しい仕組みや価値を提供することに取り組んでいます。
ミナカラ薬局 - ミナカラ

  • スマホで処方箋撮影・注文→30分で薬を宅配 ベンチャー開発「おくすり宅配アプリ」 ミナカラ薬局- 産経ニュース

ITベンチャー「ミナカラ」(東京)は、患者がスマートフォンの専用アプリを使い薬の処方箋(せん)を撮影・送信するだけで最短30分で薬の宅配を受けられるサービスを展…
スマホで処方箋撮影・注文→30分で薬を宅配 ベンチャー開発「おくすり宅配アプリ」 - 産経ニュース




【ヘルスケアビジネスモデル31】経済性を追求したワンストップショップ型調剤薬局「CVS Health 」 vs 自宅での服薬の困りごとの解決を狙う「PillPack」

米国における調剤薬局のビジネスモデル

久しぶりのビジネスモデルキャンバスです。

アメリカの調剤薬局関連の2社を比較します。


CVS Health~経済性を追求したワンストップショップ型調剤薬局~

最初は、アメリカ最大のドラッグストアチェーン CVS Healthです。私もアメリカに行った時に利用したことがありますが、至るところにあります。日本にも車で走っていると〇〇ドラッグが至るところにありますが、まさにそんな感じです。

ビジネスモデルも日本のドラッグストアだと思っていましたが、かなり違うことが分かりました

CVS Healthのビジネスモデルキャンバスです。

特徴的な点を補足していきます。

価値提案

価値は大きく二つです。

  • 薬を安く提供すること
  • 「コンビニ+簡易診断(ミニッツクリニック)+調剤」のワンストップショッピングスタイル

薬を安く提供すること

日本の調剤薬局では割引きなど考えられませんが、世界では、調剤薬局は大量購買による規模の力を強化することで薬を安く調達し、割引販売することが常識だそうです。

この薬を安く調達するために一役買っているのが、PBMと呼ばれる組織です。

CVS Healthはこれを買収して自社に取り込むことで、薬を安く提供することを実現しています。

PBMについては、後述します。

「コンビニ+簡易診断(ミニッツクリニック)+調剤」のワンストップショッピングスタイル

これもアメリカの特徴ですが、CVSの店舗では簡易診療所を併設しています。この簡易診断所では、医師が常駐せず、ナース・プラクティショナー (特定看護師;NP)が診察して処方します。

患者さんは、軽症の病気であればここを気軽に受診し、処置を受け、薬を受け取れます

その人気の理由は、休日なしで予約不要であ ることと値段の安さです。

診療費は、無保険者 で一回60ドル程度、被保険者は20ドル程度で、 全ての医療保険と、メディケア、メディケイド などを利用できるのが普通です。従来の医療機 関で医師の診療を受けた場合は、無保険者で 100ドル以上はかかっていたことから、患者側 にとってその安さは非常に魅力的です。

このように、CVSに行けば、診断が受けられ、処方薬ももらえるだけでなく、日用品も買うことができます。まさにワンストップショッピングです。日本では考えられないほど便利ですね。

事業構造と収益

CVSヘルスの事業としては,ドラッグストアだけではなく薬剤給付管理(PBM; Pharmacy Benefits Management)や簡易クリニックのMinuteClinicなどヘルスケアに関わることを多岐に事業展開しています。ヘルスケアの総合企業です。

主に2つのビジネスセグメントがあります。

  • 薬局サービス(Pharmacy Services)

PBM全般の事業です。例えば,処方管理,メディケアパートDサービス、通販薬局,専門薬局,小売薬局ネットワーク管理,病気管理,医療費管理などです。

  • 小売/長期ケア(Retail/LTC)

医薬品や化粧品など,いわゆるドラッグストアで売っている物の小売事業です。その他に,処方薬や関連する薬剤コンサルティングや簡易クリニックなどが含まれます。

セグメント別の売上高、営業利益は下図の通りです。

医薬品を大量購買するPBM、小売業があるので、CVS Health全体の売上は約200 M$(20兆円超)と、とてつもない金額になっています。

それに対して営業利益の対売上比は~5%程度となっています。

収益の柱は、「薬の売上」と「ドラッグストア小売りの売上で、それ以外に「企業向け保険」や「健康管理アプリ」でも収益を上げているようです。

引用元: 簡単にCVSヘルスの企業分析をしてみた


PBM

PBM(Phamaceutical Benefit Management)という薬剤給付管理会社で、医薬品を安く仕入れ広くさばく中間業者・仲介業者です。

下図のように、PBMは、保険会社、製薬会社、薬局、医療機関、患者といった様々な利害関係者の間に立って、臨床的(疾病管理)および経済的(医薬品コストの適正化)に最高の利益をもたらすように、薬剤給付の適正マネジメントを行う組織です。

このように複雑なことをやっていますが、一番のポイントである、医薬品を安く仕入れる仕組みについて補足します。

引用元: ニューヨーク オムニチャネル視察

医薬品を安く仕入れる仕組み

医薬品メーカーとの価格交渉で重要なのが、推奨医薬品リスト(Formulary)の作成です。

リストは、まずPBM会社の中で文献調査、治験データ、臨床データ、ガイドラインの資料から作成されます。その後、社外の医師、薬剤師から構成される第三者機関によってリストが評価され、採用されます。採用されると、保険が適用されます。

重要な点は、PBMの処方箋取扱い量に応じて薬の売り上げに大きな差が出る点です。

そのため製薬メーカーはPBMの取り扱う処方箋ボリュームが多ければば多いほどその値下げインセンティブが大きくなり、大幅な値引き交渉に応じざるを得ない、という状況になっています。

このような状況であるため規模のメリットを得るため寡占が進んでいます。

上位3社だけで70%のシェアをもち、CVS HealthはPBM事業者としても第2位です。そのため医薬品を安く仕入れることができるのです。

引用元: https://www.americabu.com/pharmacy-benefit-manager


PillPack~複数の処方薬を1回分毎に個別包装してデリバリー~

PillPackはCVS Healthとは対照的に2013年に立ち上がったベンチャーです。2018年にアマゾンが買収したことでも有名な会社です。

そのビジネスモデルキャンバスです。

特徴的な点を補足していきます。

価値提案

価値は大きく二つです。

  • 複数の処方薬を1回分毎、個別包装してデリバリー
  • 服薬管理アプリ+オンラインで24hrいつでも相談

複数の薬を服用している人は、その時間になると、それぞれの袋を取り出し、例えば薬Aは1錠、薬Bは2錠、薬Cは1袋、というように必要な分量を取り出し服用しますよね。

薬Aは朝食後のみ、薬BとCは毎食後、というように薬ごとに飲むタイミングも異なります。薬の数が多くなると本当に正しい薬を正しいタイミングで服薬しているのか分からなくなりますよね。

実際、シニアの方にはこの薬のとりわけと、服薬管理は大変な労力で、家族がサポートしたりする現状があります。また飲み残しや飲み忘れも大きな課題となっています。

そんな家庭での服薬に関する悩みを解決するのが、この二つの価値です。

複数の処方薬が1回分毎必要な分量がとりわけされ、それが1回分まとめられて個別包装してデリバリーされます。一袋づつ服用する日にちと時間も記載されており、服薬する人は、その1回分だけ服薬すれば間違えることはありません。さらに薬の飲み忘れを防いでくれるアプリや、24時間オンライン相談サービスも提供しています

まさに家庭での服薬に関する悩みを解決するビジネスモデルです。

テクノロジーを使った効率的なオペレーション

薬の小分けを効率的に間違いなく実施するためのオペレーションが重要な活動になります。

具体的にはオペレーションをセンター化して、個包装分配ロボを導入し、正しく小分けされているかどうかAIを活用して確認しています。AIが間違いと判定すれば、別のオペレーター(薬剤師)が手作業で袋を詰め替えます

この独自のオペレーションシステムは「Pharmacy OS」と呼ばれ、これにより手間のかかる「複数の処方薬を1回分毎、個別包装してデリバリー」が、追加費用なしで通常の調剤料金の範囲内で実現可能となったのです。


まとめ

経済性を追求したワンストップショップ型調剤薬局「CVS Health 」 vs 自宅での服薬の困りごとの解決を狙う「PillPack」

非常に面白い比較でした。

また、アメリカの調剤薬局は、日本と比べると相当進んでいるな、という印象を持ちました。

処方薬のディスカウントや、自宅での服薬の困りごとを解決するソリューションなど、ユーザー目線でのサービスが進んでいますね。


参考資料

CVS Health

  • CVSヘルス(CVS)- 薬局とPBMの垂直統合とヘルスケア事業の多角化

https://www.americabu.com/cvs

  • ドラッグストアCVSの保険大手買収、アナリティクスやデジタル変革の行方は

https://japan.zdnet.com/article/35111870/2/

https://www.spmed.jp/14_kankei/opinion_pdf/22_op/opi_H2210.pdf

  • 簡単にCVSヘルスの企業分析をしてみた

https://hass104.blog/brief-analysis-cvs/

PBM

https://ucc.or.jp/2015/04/2397

PillPack

  • PillPack: the new kid on the block in the world of pharmacy – Technology and Operations Management

https://rctom.hbs.org/submission/pillpack-the-new-kid-on-the-block-in-the-world-of-pharmacy/

  • 「服薬の常識」と流通を変える次世代型「オンライン調剤薬局」がやってきた

https://wired.jp/2017/07/24/pillpack-pharmacy-of-the-future/

  • 剤薬局のあり方を変えるーー複数の処方薬を摂取時間に応じて個別梱包して自宅に届けてくれる「PillPack」

https://thebridge.jp/2015/09/manage-your-prescription-drugs-easier-with-pillpack


調剤薬局に関する記事




【ヘルスケアビジネスモデル30】医師監修の医療情報提供サービス比較:治療を知る「メディカルノート」 vs 病気を知る「メドレー」

医師監修の医療情報提供サービス

医師が監修して疾患や医薬品、医療機関の情報など、下記のように様々な医療情報を提供するサービスがあります。

本日は、その中でも有名な2つのサービスを比較します。


MEDLEY~オンライン医療辞典~

メドレーについては、下記記事にまとめました。

ホームページの記載です。

「MEDLEYは、1,400以上の病気情報のほか、3万医薬品、16万医療機関の情報など、さまざまな情報を集約するオンライン医療事典です。500人を超える医師の協力のもと、最新の情報への改訂を日々行っています。さらに、専門の編集チームが最新の医学ニュースや病気、薬に関するコラムを執筆するなど、医療に関する最新情報を多方面から提供しています。

充実した医療情報に誰もがアクセスできるサービスとして、正しい情報を知りたい患者さんやそのご家族と、知ってほしい医師・医療機関の双方にとって “納得できる医療” の実現を目指しています。」


MedicalNoteメディカルノート

引用元: http://medicalnote.co.jp/


取締役の井上祥氏のコメント(インタビュー記事より抜粋)

メディカルノートの強みは、「記事と医師が結びついていること」です。

医療に関わる情報は、内容の誤りが文字通り命に関わる可能性だってあるため、正確さを求めるのは重要です。

メディカルノートでは、記事掲載のスピードを落としてでも医師によるチェックを徹底しています。

さらに、チェックを行った医師の実名も記事に結び付けて掲載することで、記事の品質を高めようとしています。

創業時からのコンセプトは、下記3点です。

  • 医療や病気に関して信頼できる情報を伝えること
  • 第一線で活躍するスペシャリスト(専門家)の監修や執筆、インタビューを通じた情報発信をすること
  • 親しみやすいデザインなど、情報をきちんと読者に伝えるための工夫をすること

「想定している中心読者は、病気の診断を受けた後の人で、病名をインターネット検索してたどり着いた人たちです。病気だと診断されたら、その病気についてもっと詳しく知りたいと思うもの。その領域の専門の医師が懇切丁寧に説明してくれる情報は、多少難解な内容でも必要とされているはずです


Medley vs MedicalNote

ここまでMedleyとMedicalNoteの特徴をまとめましたが、今一つ違いが分かりません

そこで、両方のサイトで同じキーワードを検索し、どんな情報が得られるのか?試してみました。

キーワードは、「脳梗塞」、「下肢静脈瘤」、「胃がん」、「治療」の4つで、それぞれの記事の件数を表にしました。

Medley MedicalNote
脳梗塞 101 30
下肢静脈瘤 0 9
胃がん 28 37
治療 1872 1550

この数値だけだと、両者の違いがよく分かりませんが、記事を読んでみると大きな違いがありました。

「治療」についての記事の事例です。「治療」に関する記事で、記事掲載日時が新しい順に、数件記事のタイトルだけをリストアップします。

Medleyの「治療」に関する最新記事

  • 糖尿病のほか、新薬6製品はどんな薬?
  • インフルエンザの新薬承認、ほか2製品に効能・効果を追加
  • ダニの減感作療法を子供にも、効能など追加の5製品はどんな薬?
  • 子宮筋腫の治療にはどの方法が有効か
  • 慢性便秘症の薬ほか、新薬4製品はどんな
  • 既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスにベリムマブが有効
  • 喘息の診断と治療に、呼気一酸化窒素検査はどう役立つか?
  • アトピー性皮膚炎の注射薬ほか、新薬5製品はどんな薬?

MedicalNoteの「治療」に関する最新記事

  • 食道がんの治療手術-合併症を予防する方法とは?
  • かねしろ内科クリニックが取り組む「たのしい糖尿病治療」とは
  • 狭心症の治療方法の1種であるTRIとは
  • 狭心症の治療方法は3種類存在する
  • 乾癬の治療方法 ピラミッド型で進めていく
  • 不整脈のカテーテルアブレーション治療-治療の効果やリスクは?

Medley と MedicalNoteの違い

同じ「治療」というキーワードでも、記事の内容が全然違いますね。

Medleyは薬に関する記事が多く、こんな効能が確認された、といった学術論文に記載されるような内容が多いです。

サイトにも「MEDLEYニュース」として、「有名学術誌新刊の論文ニュース、病気や薬の知識をわかりやすく解説したコラムをお届けします」と記載されています。

またサイトでは、症状からどんな病気なのか特定できるような「症状から病気を調べる」といったコンテンツもあり、病気そのものに対する情報に比重が置かれています

このことから、Medleyの想定読者は、症状があるけど病気なのか分からない、心配だけどどうしたらよいのか分からない、といった確定診断を受ける前の患者さんだったり、確定診断を受けた後にその病気について詳しく知りたい、といった患者さんだと考えられます。

一方でMedicalNoteが想定している中心読者は、病気の診断を受けた後の人で、その病気について知るだけでなく、具体的な治療方法を知りたい、という患者さんです。

そのため、治療について、具体的な内容が充実しています。内科的治療よりも、外科的治療のコンテンツが充実しています。

これらの違いを表にまとめました。

Medley MedicalNote
解説医師数 601人 1385人
想定読者 症状があるけど病気なのか分からない、心配だけどどうしたらよいのか分からない、といった確定診断を受ける前の患者さんや、確定診断を受けた後にその病気について詳しく知りたい患者さん 病気の診断を受けた後の人で、その病気について知るだけでなく、具体的な治療法を知りたい患者さん
記事の内容 有名学術誌新刊の論文ニュース、病気や薬の知識をわかりやすく解説。「疾患や薬の事典」というイメージ。 疾患に対する具体的な治療方法を解説。外科的治療の解説が多い。「治療の具体的事例集」というイメージ。
読者への影響 患者さんの受診行動を促す。 患者さんに治療行動を促す。

一口に、「医師が監修して疾患や医薬品、医療機関の情報など、下記のように様々な医療情報を提供するサービス」といっても、大きな違いがあることが分かりました。

私は、医療機器メーカーに勤務していますが、仮にこのようなサービスと協力して何かやろうとしたら、具体的な治療方法を紹介しているMedicalNoteの方が接点がありますね。

どんな可能性があるのか、少し考えてみようと思います。


参考資料

  • 「信頼できる医療情報とは何か」に向き合い続ける

<http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/interview/15/122600106/?ST=health>

  • メディア「Medical Note」は始まりに過ぎない。メディカルノートが挑む、日本医療の改革の日々

https://www.find-job.net/connect/medicalnote/

  • 「品質重視」の医療情報サイトを運営するメディカルノート、ジャフコから2.5億円の資金調達

https://jp.techcrunch.com/2015/07/20/medical-note/

  • 医師がつくった信頼できる医療情報メディア『MedicalNote』

<https://www.excite.co.jp/News/it_lf/20170503/Lifehacker_201705_170503_lifehacker_job.html?_p=7>




【ヘルスケアビジネスモデル29】メディライン~機微な医療情報をオンラインで安全にやりとりする医療者専用のLINE~

医療者専用のLINE

昨年末の日経新聞に出ていた記事です。

「シェアメディカルの医療用チャットサービス「メディライン」が、カンボジアのサンライズジャパンホスピタルに正式採用された。2017年12月から150人の医師・看護師で利用を開始している。メディラインの初の海外展開事例となるという。」

メディラインについて同社代表の峯啓真氏は次のように語っています。

「お医者さん専用のLINEです、と説明すると若い方も年配の方もすぐ理解してもらえます」

その利便性とわかりやすさが最大の特徴で、2017年4月のリリースから半年足らずで、60施設、1000ユーザーまで活用が広がっています。


代表の峯啓真氏

峯氏は、口コミ病院検索サイトなどのサービスを手がける「QLife」の創業メンバーです。病院検索、お薬検索などの医療アプリを次々にリリースし、成功を収めています。

「医療ITの分野に関してはトップランナーを走っているという自負がありました。しかし、知れば知るほど医療のIT化が遅れていることがわかってきました。医療ICTを推進することは医療費の増大を抑制し、皆保険制度の崩壊を防ぐ特効薬だと信じていました」

彼の運命を変えたのは、東日本大震災である。◎◎の基地局はすべて押し流され、通信が途絶するというエリアが広域に発生した。院内の電子カルテのシステムは海水に浸かり、復元は叶わなかった。

ある時映像で、泥まみれの紙のカルテを見つけ出し、水で洗ってガラスに貼り付けて乾かして『これで治療が続けられます』と話す医師の姿を見ました。医療ITを推進してきた自分のキャリアが全否定されたようで、膝から崩れ落ちました」。

シェアメディカルを起業したのは2014年3月のこと。震災を機に多くの医療者と交流し、現場で真に求められている”もの”を見聞きしていた。「お医者さん自身は日々の臨床仕事が忙しく、ITによる医療改革の中心になるのは難しい。だったら僕が、静かなる改革者になって、一つひとつ小さな改善点を示していこうと考えたのです」。


忙しすぎる医師は誰でも当たり前に使えるシンプルなコミュニケーションツールを求めていた

メディライン開発の背景にあったのは、医療現場における情報齟齬の問題です。

多くの医師は忙しすぎ、またシフト勤務によっても情報のすれ違いが生じるため、同じ施設内にいながら直接コミュニケーションをとる時間が不足しています。

フェイスブックなど既存の無料SNSを使おうにも情報漏えいのリスクがつきまといます。

医療者はクローズドで情報交換できるコミュニケーションインフラを求めていました

本質的には医療者は高機能なツールを求めているのではなく『誰にでも当たり前に使えるツール』を求めている。だから使いやすさ、理解のしやすさが第一優先です」。

医療の現場には、医師以上にナースやヘルパーといった”コメディカル”の人数が多く、年齢層も幅広い。全体として捉えると、ITリテラシーはまちまちです。

しかしメディラインは単純なアプリですから『LINEぐらいなら使える』とすんなり理解してもらえますし、導入してすぐ、安心して誰でも使いこなせるのです。

逆に、ディラインに、技術的な大発明といえるものはありません。

患者情報をオンラインでやりとりする際のガイドラインに準拠していること、情報を暗号化していることなどは技術的なポイントですが、ユーザー目線で困り事の解決にフォーカスした点が最大の価値となっています。


シンプルなビジネスモデル

  • クローズドで情報交換できるコミュニケーションインフラ
  • 誰にでも当たり前に使えるシンプルなツール

を実現したメディラインです。

ソリューションもシンプルですが、マネタイズもシンプルです。下記表のように、ユーザー数に応じて利用料を徴収します。


また院内のコンプライアンスなどの理由で外部サーバに患者データを置けない施設には、ハードウェア版も提供しています。

フリー スモール ベーシック スタンダード プレミアム カスタム
年会費 ¥0 ¥3,000 ¥13,500 ¥24,000 ¥30,000 5%
月額料金(1組織当り) ¥0 ¥5,000 ¥22,500 ¥40,000 ¥50,000 お見積
ユーザー数 3 10 50 100 200 201以上
ストレージ容量 1GB 20GB 100GB 200GB 400GB 応相談
最大グループ数 1 100 500 1000 2000 応相談
最大部門数 1 10 50 100 200 応相談

医療専用スマホでプラットフォームを押さえる

「本当にやりたいのは、メディラインを核とした医療ソリューションです」と峯氏。

今、大手PCメーカーと組み、医療専用スマートフォンの開発を進めています。

「これがメディラインなど医療用アプリを配信するプラットフォームにもなります。我々にとってはハードからソフトまで垂直統合的なビジネスモデルを組む意味は大きい。医療者とのコネクションがさらに密になるという利点がありますし、ベンダー側も医療マーケットに参入する糸口をつかめるというわけです」

まとめ

これまで見てきたヘルスケアビジネスモデルの中で、このメディラインが一番シンプルです。

ソリューションもビジネスモデルも、すごい、という印象は全くなく、拍子抜けするくらいです。

なんだ、そんなことに困っていたのか?そんなニーズがあったのか?典型的な「顧客体験に基づくお困り事解決ソリューション」ですね。


参考情報

  • シェアメディカル ホームページ

https://www.sharemedical.jp/about/

  • 医療専用チャットツール「メディライン」が、 臨床現場のコミュニケーション齟齬を解決!

<https://www.dreamgate.gr.jp/contents/case/company/29149>




【ヘルスケアビジネスモデル28】2017ジャパン・ビジネス・モデル・コンペティション優勝のメドケア~生活習慣病特化型診療サービス~

メドケア~生活習慣病特化型診療サービス~

先週の日経新聞に出ていたので、ちょっと調べてみたら、驚きのビジネスモデルであることが分かりました。

~生活習慣病特化型診療サービス~メドケアです。

「生活習慣病患者の医療のあり方を再定義する予防医学総合プラットフォームサービス」

メドケアのホームページの記載です。

「生活習慣病患者の医療のあり方を再定義する予防医学総合プラットフォームサービス」

生活習慣病患者向けに、スマートフォンとウェアラブルデバイスを用い、減薬を目的とした遠隔診療・遠隔生活指導を行います。24時間情報を取得できるウェアラブルデバイスのデータに基づく効果的な生活指導サービスと、減薬を目的とした特徴的な遠隔医療サービスによって、生活習慣病患者の重症化予防、医療費の削減を実現します。

引用元: メドケアホームページ


JBMC2017(ジャパン・ビジネス・モデル・コンペティション)で優勝したメドケア

これだけだと、今はやりIoTを活用した遠隔診療で、何が他と違うのかな?という印象でした。

でも、下記の記事を見つけました。

生活習慣病患者の治療とコストを遠隔診療で解決するビジネスモデルによってJBMC2017で優勝した早稲田大学大学院チームのメドケア(http://www.medcare.jp)が、日本経済新聞社が実施した「NEXTユニコーン108社」に選出されました!

(日本経済新聞2017年11月20日付朝刊)。

デジタルヘルスケア市場における日本の有力ベンチャーとして今後の成長が大いに期待されます。

また、このビジネスモデルで特許も取得しているとのこと。

一体どんなビジネスモデルなんでしょうか?

更に調べてみました。


非合理的で高コストな医療の仕組みを解消

従来の医療環境には、以下の3つの問題がありました。

  • 費用の不明瞭さで、現在の請求制度は医師の裁量に依存しており、患者は支払窓口に行くまで費用が分からないことだ。
  • 費用の高さで、医療機関は患者にとって便利な、ワンストップで包括的なサービスを提供しているため、高コストになりやすい。
  • 医療機関は端的に言ってしまえば患者が病になることがマネタイズ源となるため、患者が増えたほうが儲かる仕組みとなってしまっている。

結果として、生活習慣病の事前予防よりも、患ってからの重症化予防治療が主となってしまっている点が大きな問題でした。

これらの問題に対し、Medically「メディカリー」(メドケアの提供するシステム)はより合理的で好循環をもたらすモデルを提案しています。

  • 疾病ごとの定額費用制とすることで分かりやすい料金体系を整えた。
  • 生活習慣病患者に対象を限定し、余計なコストがかからないようにしている
  • 定額制BtoBtoE (BtoE:企業と従業員の取引)ビジネスであるため、患者が増えれば増えるほど健康保険組合の負担が増えることとなり、自然と患者を減らす未然予防医療へと移行していく仕組みになっている

健康保険組合に向けたサービスで医療の無駄を削ぎ落とす

「メディカリーは健康保険組合に向けたサービス」、これがビジネスモデルのポイントなんですが、今一つ理解できないので、自分なりにビジネスモデルの特徴を模式図で表してみました。

上側が通常の遠隔医療です。メディカリーが遠隔医療のため、比較のため遠隔医療としましたが、これは遠隔かどうかに関わらず保険診療です。

患者さん(組合員)は、健康保険料を払います。

医療サービスを受けた場合は、自己負担分(通常は3割)を支払います。残りの7割は、保険から支払らわれます

医療機関は端的に言ってしまえば患者が病になることがマネタイズ源となるため、患者が増えたほうが儲かる仕組みとなっています。

これに対してメドケア(メディカリー)のビジネスモデルは下記となります。(あくまで私の理解でまとめたものです)

糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症の4種類の慢性疾患に特化した遠隔診療サービスです。

想定ユーザーは企業で働く“生活習慣病予備軍”

ユーザーは業務の隙間をぬって通院することなく、専用アプリ内のビデオ通話やチャットの機能を使い、食事指導や診療をスマートフォンで手軽に受けられます。

4つの疾患に領域を絞ったのは下記理由です。

遠隔診療は対面診療に比べ、提供できる医療行為が制限される。安全に提供するため、比較的、軽症の方を対象とした。また、あらゆる疾病に対応するためにはさまざまな設備が必要となる。対象とする疾病領域を戦略的に狭めることで、サービスを合理化でき、コストが大幅に下げられる

ホスピタリティを売りにした”プラス”の医療サービスだけでなく、無駄を削ぎ落としたミニマムな医療サービスです。

そして最大の特徴は、保健診療ではなく自由診療を対象とし、利用料は保険医療と同様に、健康保険組合がその7割相当額を支払う」点です。


サービスの具体的な内容とマネタイズの仕組み

サービスを導入すると、メディカリーは健康保険組合から組合員の検診データやレセプトデータの提供を受け、現在の状況から最低限行うべき治療内容を見立てて、組合員ごとにかかる医療費を計算します。

現在の健康状態から、想定されるコストを予測できるのは、スタッフに医師も抱える同社ならでは。

独自に設定した計算式で算出したミニマルコストを元に初期の医療費を設定します。その後、健康状態の改善状況に応じて、次月以降医療費を決めていきます。

組合員である患者は提携クリニックへ行くと初診時にウェアラブルデバイスを貸与されます。

ここから歩数や活動量などの健康状態を観察できるので、改善効果が見られた人に対しては、それに応じて医療費の水準を下げることができるのだ。

こうすれば、患者は医療費を下げるために熱心に治療に取り組みます。下図では、3万/月が、50%削減され1.5万/月になったと想定

結果的に、健康保険組合の支払う医療費も下がります。同じく、50%削減され、7万/月が3.5万/月になります

提携クリニックで行われる治療は自由診療行われた診療行為に対してではなく、改善効果に応じて金額が決まるため、効果的な治療へのモチベーションも上がります

「現状では、コストの決定に関わる医師、本質的な支払い者ではない患者ともにコストにシビアになりにくい。病院は軽症な人にも病名をつけがち、患者は”とりあえず”で受診しがちだ。インセンティブが症状改善や予防に努める方向とは逆に働いてしまっている。コストとサービスの合理化を図るため、点数稼ぎに陥らない仕組みをつくりたかった」

という発想から生まれたのがこのモデルです。

組合員は、サービス利用料として健康保険組合に定額支払います。(定額制BtoBtoEモデルという記載から推測したものです。)

患者(組合員)がメドケアのサービスと遠隔医療サービスを受けることで、症状を改善します。

月間最大で9回にも及ぶ治療介入もメドケアの強みです。

「初回は対面診療、2回目以降は対面診療と遠隔診療を月1回程度組み合わせる。その間に管理栄養士や保健師による栄養指導、生活指導を月に最大で8回実施する。糖尿病に関しては早期に指導を行うことで行動変容が現れるといったエビデンスもある。1回と9回の差は歴然だ」

その結果、患者の生活が改善され、患者自身が支払う医療費が下がり、合わせて、健康保険組合の支払う医療費も下がります

「生活改善によって、組合員の不要な医療を減らす。結果的に、健保組合に対する医療費削減ソリューション」です。

メドケアは、「健康保険組合の支払う医療費削減額(下図では3.5万/月)に応じて費用を受け取る」というマネタイズのスキームとなっています。


まとめ

このように模式図に整理しはじめて、このビジネスモデルのすごさが分かりました。

  • 自由診療を対象としている
  • 健康保険組合と組合員(患者)を対象としたB(メドケア) to B (健康保険組合)to E(組合員)のビジネスモデル
  • 健康状態を改善するインセンティブが働くマネタイズの仕組みとなっている

点がすごいですね。

なるほど、コンテストで優勝するのも理解できました。


参考資料

  • メドケア株式会社

http://morningpitch.com/startups/6994/

  • ヘルスケアスタートアップ10社、熱いピッチで競演(page 5)

<http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/327442/080900076/?ST=health&P=5>

  • 病気は「治療」から「予知」して防ぐ時代へ。メドケア株式会社・明石 英之のインタビュー <https://onlystory.co.jp/stories/medical/ages/362>
  • メドケア、特定健診の結果から「疾病リスクスコア」を算出 3年後までのスコア推移もAIで提示

https://medit.tech/medcare-launched-a-service-presenting-disease-risk-score/

  • 遠隔診療を活用した超合理的な医療サービス<メディカリー・前編>

<http://bizna.jp/2017/12/20/medically1/>




【ビジネスモデル16】店員が絶対に商品を売ってくれないスーツ店の裏側 FABRIC TOKYO

店員が絶対に商品を売ってくれないスーツ店

「店員が絶対に商品を売ってくれないスーツ店」という文字に興味を惹かれました。

2012年に誕生したスタートアップ企業FABRIC TOKYO(2018年2月までの社名はライフスタイルデザイン、3月に社名変更)です。

2016年の売上は前年比300%という好調ぶり。

「訪れた店舗でスーツを買えないスーツ店」、その人気の秘密はどこにあるのでしょうか?

貼り付け元 <http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/041300048/>


オムニチャネルSPA

FABRIC TOKYOは、採寸と生地見本を見てもらう場として店舗を位置付けています

フィッターと呼ぶ店員は1時間ほどかけて体の隅々まで正確にサイズを測り、お勧めのスーツの基本形や生地などを提案します。フィッターとのやり取りはそこで終えてOK。

顧客は店を出てから同社のEC(電子商取引)サイトにアクセスして購入します。

採寸などのデータはすべてクラウドにアップロードされているので、生地やデザインのディテール、オプションなどを選択していくだけで、自分に合った自分好みのオーダースーツを作れるのです。

FABRIC TOKYOのビジネスモデルは「オムニチャネルSPA」と言われています。

実は私は「オムニチャネルSPA」という言葉を初めて聞きました。

オムニチャネルとは、「顧客との接点になるリアル・ネットの販売チャネルすべてを連携・融合させる仕組み」で、SPA (specialty store retailer of private apparel) とは

製品の供給機能(企画・開発・生産・物流・小売販売 ) のフローを一貫的に管理する業態のことを指すそうです。

「製品の企画・開発・生産・物流・小売りを統合して行い、リアルとネットを連携して新たな顧客体験を作り出すモデル」です。

特徴として以下の3点があげられます。

  • 「商品の開発・生産と小売販売の両方を1つの企業のもとで統合的に行う」
  • 「独自ブランドを持ち、そのコンセプトを店頭において表現する」
  • 「開発・生産・販売を情報システムで連携させる」

FABRIC TOKYOのビジネスモデルキャンバス

「オムニチャネルSPA」と聞いても、今いちピンと来ないのでビジネスモデルキャンバスを描きました。

最初に提供価値です。

最大の価値は、「自分で選んで、自分だけの1品をつくる(デザインする)」という感覚ではないでしょうか?

商品ラインナップは600種類を越え、それぞれデザイン、生地、サイズを自由に選ぶことができ、その組み合わせは約15億通りにもなります。

そこから要素を組み合わせて自分だけの1品をデザインすることができるのです

それに対して既存のスーツ店は、「店舗で既製品スーツを選ばされている」という感覚です。

実は、私も最近スーツを作りました。

残念ながらFABRIC TOKYOではなかったのですが、初めてオーダースーツを購入しました。採寸してもらい、生地を選び、オプションを決めました。ボタンや襟など選んでいるうちに、自分だけの1品という感じがしてきました。この点は、単に既製品を選ぶよりも、各段に自分だけの1品を選ぶ、という気持ちになりました

FABRIC TOKYOは、私が購入したスーツよりも選択肢と組み合わせが多いので、さらに「自分だけの1品」という感じがするはずです。

オーダースーツでちょっと困ったのは、生地を選んでも、実際のでき上がりが見れないので、最終的なイメージが湧かなかったことです。生地のイメージが、本当に出来上がった時の最終製品のイメージと合致するのか?ちょっと不安でした。

FABRIC TOKYOでは、選んだ生地に対して最終イメージが写真で掲載されています。これがあると最終仕上がりのイメージが湧くので、すごく有難いです。

次のポイントは、上質のものをリーズナブルな価格で、早く、手軽に作れることです。

高品質な生地と国内製造でありながら、既存のテーラーに比べて納期が短く、百貨店等で販売されている同品質の製品と比較すると、30〜50%程度のコストダウンに成功しています。

  • 自分で選んで、自分だけの1品をつくる(デザインする)
  • 上質のものをリーズナブルな価格で、早く、手軽に作れること

の価値から、リピーターが多いのが特徴です。

約3ヶ月ごとに新シリーズを出しているため、次に購入する時も、また新たな目線で「自分だけの1品」をつくることができる点も、リピーターの増加につながっていると思います。


まとめ

つい1か月前に2着もオーダースーツを作ったところです。

自分自分では非常に満足していましたが、FABRIC TOKYO、もう少し早く知っていたらよかったなあ、と少し残念に思っています。

横浜にも店舗があるので、次回はFABRIC TOKYO、試してみようと思います


参考資料

  • Fabric Tokyo ホームページ

https://fabric-tokyo.com/

  • 店員が絶対に商品を売ってくれないスーツ店の裏側

http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/041300048/

  • 【お客様インタビューVol.001】”売らない店舗”で急成長を遂げるDtoCブランド「FABRIC TOKYO」

<https://retail-logi.com/dtoc-fabrictokyo-interview/>

  • アパレル不況の中、成長を続ける「オムニチャネルSPA」とは

<https://www.projectdesign.jp/201706/new-fashion-business/003661.php>

  • 小売業者のオムニチャネル化が企業価値に及ぼす影響1 – 中央大

http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~shoyuki/omni_channel.pdf





【ビジネスモデル15】起業成功の方程式その3~方程式の解:自分が起業するとした場合のビジネスモデルを考えてみました

起業成功の方程式

では、実際に自分が起業するとしたら?と想定して、起業成功の方程式の左側、「勝てるマーケット」×「強みを生かせる事業フォーマット」を考えました。

今回はいよいよ最終回、方程式の解「差別化されたビジネスモデル」を考えます。


強制連想マトリクス

起業成功の方程式

「勝てるマーケット」×「強みを生かせる事業フォーマット」=「差別化されたビジネスモデル」

から明らかなように、方程式の解「差別化されたビジネスモデル」は、「勝てるマーケット」と「強みを生かせる事業フォーマット」の2つの要素の掛け算で表されます。

「2つの要素の掛け算でアイデアを探す」には、アイデア発想法でもよく使われる「強制連想マトリクス法」が効果的です

「強制連想マトリクス法」は、慶應大学SDMでイノベーションのアイデアを考える時に、頻繁に使いました。

下図のように、2つの要素をマトリクスの縦軸、横軸に並べますその2つの要素を強制的にかけあわせてアイデアをひねり出す手法です。最初は大変ですが、慣れてくると結構アイデアが出るようになります。

下図の例では、例えば「リビングのど真中」と「考えていたのとは違ってちょっとびっくり」を掛け合わせて「家の中でちょっかいを出させる」アイデアを考えます

そうだなー、「リビングのど真ん中にキッチン」なんてどうでしょう。

対面キッチンはよくありますが、リビングの真中にキッチンがあれば、料理している間、リビングにいる人、料理している人がお互いにちょっかいが出せるし、家族のコミュニケーションがはずみます。

客人をもてなす時は、おしゃれなレストランみたいですね。

と、こんな感じで連想していきます。

ちょうど、「リビングのど真中」×「考えていたのとは違ってちょっとびっくり」=「家の中でちょっかいを出させる」という方程式の解を探していることになります。

引用元:ワークショップのファシリテーション資料_ワークショップで用いる基本手法解説2  (PDF:3180KB) 


差別化されたビジネスモデル

それでは、いよいよ実際に自分が起業するとしたら?と想定して「差別化されたビジネスモデル」を考えます。

強制連想マトリクスです。

縦軸が「勝てるマーケット」、私の場合は「オペレーショナルエクセレンス」です。

横軸は「「強みを生かせる事業ファーマット」」です。

自家発電型 プロデュース型 パッケージング型
オペレーショナルエクセレンス

失敗をゼロにする 起業のバイブル(中山匡[著])/

では、縦軸は、もう一つキーワードを組み合わせて、より具体化すること、複数考えることを推奨しています。

「オペレーショナルエクセレンス」では漠然としているので、もう一つキーワードを加えて、コアマーケットを探す、という意図です。

追加のキーワードも、やはりgoogleキーワードプランナーを使います。

「オペレーショナルエクセレンス」の検索結果のスクリーンショットです。

1行目が「オペレーショナルエクセレンス」、2行目から下が関連キーワードになります。

ところが、いずれもオペレーショナルエクセレンスとは直接関係のないキーワードが並んでいます。

恐らく「オペレーショナルエクセレンス」というキーワード自体が世の中に浸透していないため、関連性が見られないのだと思いました

ということで、自分なりに考えてキーワードを抽出しました。

「事例」、「ヒント」、「BPR」などです。

早速「オペレーショナルエクセレンス 事例」でgoogle検索してみました。

そうしたら、自分のブログページ(下記)が検索順位第5位なんです。

「オペレーショナルエクセレンス ヒント」では7位、そして「オペレーショナルエクセレンス BPR」では何と1位です。驚きました!。

ちなみに「オペレーショナルエクセレンス」だけでも第15位です。

自分のページが上位に来るのは嬉しいですが、逆にそれぐらい「オペレーショナルエクセレンス」の認知が低いんだ、と実感しました。

キーワードの組み合わせを縦軸にして、強制連想をやってみようと思いましたが、「事例」「ヒント」「BPR」と変えても、大きく発想は変わらないため、最初の強制連想マトリクス「オペレーショナルエクセレンス」×3つの事業パターンで考えます

オペレーショナルエクセレンス×自家発電型

  • 顧客のオペレーショナルエクセレンスの実現のためのコンサルティング。自分がリードして顧客を変革する。

オペレーショナルエクセレンス×プロデュース型

  • オペレーショナルエクセレンスとは何か?顧客が学びながら、自律的にオペレーショナルエクセレンスを実施できるように顧客にトレーニング&コーチングを提供する。
  • Webやtelのスポットコーチングサービス

オペレーショナルエクセレンス×パッケージング型

  • 企業のオペレーショナルエクセレンスの成熟度の診断と最適なオペレーショナルエクセレンスプログラムパッケージを提案する。それぞれのパッケージは、専門業者を紹介する。
  • 上記をWebやTelベースで簡単に実施するサービス

オペレーショナルエクセレンスは結果を出し、新しい価値を創造する総合フレームワーク

3つのビジネスモデルを考えているうちに以下のことに気づきました。

オペレーショナルエクセレンスは、自分でプロジェクトをリードする「自家発電型」でもあり、トレーニングやコーチングを通して人材や組織を育てる「プロデュース型」でもあり、様々なツールを組み合わせてパッケージとして提案する「パッケージング型」でもあるんです。

でまとめたように、総合フレームワークなんです。

実は、この価値が広まっていないのが認知度が低い原因だと感じました。


オペレーショナルエクセレンスの認知度を上げるには?

今回、実際に自分が起業するとしたら?と想定して、起業成功の方程式に従い自分自身のビジネスモデルを考えました。

具体的で非常にわかりやすい手法だということが分かりました。これは使えます。

今回の一番の発見は、「オペレーショナルエクセレンス」が自分にとって勝てるマーケットで、すでに「オペレーショナルエクセレンス」関連キーワードの検索で、私自身のページが検索上位にあるということです。

これはチャンスです。

このチャンスを生かすためには、「結果を出し、新しい価値を創造する総合フレームワークという価値」が、ユーザーが具体的に感じられるようにすることが一番です。

「結果を出し、新しい価値を創造する総合フレームワークという価値」といっても、全然ピンときませんよね。それがユーザーにとって具体的にどんなメリットが出るのか?を具体的に紹介していくが重要だと思いました。

すでに多くの記事をストックしていますが、それぞれが単独の要素となっています。

一つ一つの要素やプロジェクトが、どのように統合され最終的にオペレーショナルエクセレンスの状態に到達するのか?そうなった時に、組織がどのようになっているのか?このような全体像を見える化することで、ユーザーが価値を感じてもらえるのではないか?と思います。

そこができれば、そこを起点として今回考えたようなビジネスモデルが展開できる、と思います。

まずは第一歩として、「一つ一つの要素やプロジェクトが、どのように統合され最終的にオペレーショナルエクセレンスの状態に到達するのか?そうなった時に、組織がどのようになっているのか?」という視点でこれまでストックした記事を見直し、全体像をまとめようと思います。


参考資料

  • シェア・ブレイン・ビジネス・スクール 代表 中山匡 プロフィール

<http://www.sbbs.or.jp/member/lecturer-list/nakayama-tadashi/>

  • イノベーション対話ツール 文部科学省

http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1347910.htm

3-b.ワークショップのファシリテーション資料_ワークショップで用いる基本手法解説2  (PDF:3180KB) 




【ヘルスケアビジネスモデル27】クラウドで越える「技能評価・研修」の壁 ~ハート・オーガナイゼーション e-casebook

専門医をクラウド育成~ハート・オーガナイゼーション~

今週の日経新聞に出ていた記事です。

「医療向けシステムなどを手掛けるハート・オーガナイゼーション(大阪市、菅原俊子社長)は循環器領域の専門医を育成するための研修に使うクラウドサービスの提供を始めた場所を選ばずに指導医の指導を受けることができる。医師の都市部集中により医療レベルの地域間格差は広がっており、地方における専門医の育成を促進したいニーズに対応する。」


クラウドシステムe-casebookによる専門医技能評価

日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が、長年の臨床研究で培われた厳しい基準で同学会が運営する「心血管カテーテル治療の新専門医認定医制度」にハート・オーガニゼーションが提供する「e-casebook」を採用しました。

「e-casebook」ウェブ上にアップした医療用画像をパソコンなどの端末で共有するシステムです。画像の特定部位を矢印で指定したりチャット機能で会話したりできるため、緻密な議論ができます(下図参照)。

研修には過去の臨床データを活用するため、使用前にデータ中の個人情報は自動で削除されます。

引用元: <https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2695716015022018TJE000/>


従来の課題をクラウドで解決へ

CVITで専門医として認定されるには、筆記試験・症例リストの提出・冠動脈形成術の実技審査のクリアが主な条件です。

実技審査の立ち合いの課題

かつては実技審査として、実際の患者への施術に指導医が立ち合っていました

たった一度の治療で判定される受験者の緊張や、指導医一人が審査することの客観性、実技試験と兼ねて治療が行われる患者への倫理観など諸問題が山積していました。

また審査の受験以前に、全国の病院数に対して指導医の資格を持つ医師数が絶対的に足りない状況で、指導医が在籍する病院で研修を受けるのが必須という環境に当てはまらない、地方受験希望者の実情も大きな課題でした。

認定審査の作業負担

まず技術認定そのものの作業負担が、早期に解消したい問題でした。

集まった受験生のデータを数日がかりで審査・認定するため、委員会のメンバーは審査期間中の休日毎、通常の学会の比では無い時間を費やします

交通費・会場費・審査データ共有システム費の発生は当然ですが、何よりメンバーを集めるスケジューリングの手間と、「時間」という目に見えないコストが、各々の重い負担となっていました。

e-casebookのメリット

解決案を示すwebシステムを求めて、数社コンペを実施した結果採用したのがe-casebookです。

クラウド上で画像データを共有するシステム提案は他社でもありました。

アンジオグラフィー(心臓血管造影)やIVUS(血管内超音波検査)などの専門性に特化した国際基準規格の医系データ様式「DICOM」に対応している上、症例をアップロードする際、患者さんの個人データを自動的に消去する仕組みも決め手となりました。

データの取扱いはデリケートな作業で、実際かなり手をとられていたので、そのストレスがないシステムはとてもありがたいです。

認定審査へのe-casebookの導入はとてもスムーズでした。

受験生は必要なDICOMデータに症例報告書を添付してe-casebookにアップロード

CVITの専門医技能評価審査官3名が各自のパソコンからログインして評価、合議の上評価結果を審議会へ報告します。

これまで審査官のスケジュールを合わせ、場所を決め、時間を費やしてきた作業がかなり簡便になりました。

このクラウドを使ったシンプルな審査システムによって、敷居を低くしたことにより増加した受験者の対応が可能になりました。


e-casebookで専門医の技能研修を

e-casebookは「技能審査」だけでなく「技能研修」にも活用されます。

専門医を目指す医師は指導医の元での実技を伴う研修カリキュラムを履修することが義務づけられています

そもそも専門医が少ない地方では指導医が在籍する研修施設も少なく、研修を受けること自体ハードルが高くなって、専門医の数も伸び悩むという悪循環でした。

e-casebookを使えば、研修施設と連携施設をクラウドでつなげた研修を行うことができます。

日々の治療データを修練医と指導医のグループで共有して、リアルタイムで指導します。

治療のフォローアップやフィードバック、ノウハウの伝授など、やりとりのログはそのまま指導歴となります

まだこれから全国にこの研修システムを周知していく段階ですが、現在200(人数要確認)名ほど登録している指導医ひとりにつき、修練医3人くらいまでをマッチングして指導を行えたら理想です。

e-casebookには「フォーラム」という機能があります。

Web上でこれまでに経験した症例の医療画像データを共有した上で、医師同士が議論できる「ディスカッションルーム」です。

従来は、異なる病院間の先生同士で情報交換を行う場合、ハードディスクに収録された医療データを配送し、コンピューターにつなげて確認するという作業が一般的でした。

これに対してe-casebookでは、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像法)などの画像データをクラウド上で共有することによって、「みんなで簡単に相談しあうことができる」ようになります。

画像を指定しながら議論を進行。画像にはコメントなどをログとして残すことができ、どんな質問が寄せられたのかを、他の先生につなげ、症例についてWeb上で活発なディスカッションを展開できます。

画像データとログがあり、タイムリーに多くのフィードバックがもらえるので、高い学習効果が期待できます。しかも簡便です。


e-casebookのビジネスモデル

e-casebookのビジネスモデルの特徴を整理するためビジネスモデルキャンバスを描きました。

カスタマー(CS)と価値提案(VP)は、技能評価を技能指導に分けて記載しました。

また価値がよく分かるように、技能評価と技能指導のビジネスモデルを「e-casebook導入前(従来)」と「e-casebook導入後」

に分けて模式的に表しました。

技能評価の価値提供

技能評価では、学会と審査官がメインの顧客です。従来の課題である「受験生の症例評価Meetingへ出席するための移動や時間(コスト)」が、e-casebook導入により、「いつでも、どこでも、簡単に審査評価できる」ことで時間とコストが大幅に削減されます。

これが提供価値になります。

専門医認定医評価というプラットフォームを押さえる

また学会は顧客であるとともに、重要なパートナーになります。

学会がリードする専門医認定医制度の評価システムとして採用頂くことで、審査官も受験生もこのシステムを使いますそれがそのまま、技能指導へ引き継がれます

つまり専門医認定評価というプラットフォームを押さえることで、CVIT学会と学会員を顧客として囲い込むことができます。この点が、このビジネスモデルの一番優れている点だといえます。

技能評価、技能指導でe-casebookを選んでもらうための機能上の強みが、国際基準規格の医系データ様式「DICOM」への対応、と症例をアップロードする際、患者さんの個人データを自動的に消去する仕組みです

技能評価の価値提供

技能指導では、顧客は指導医と研修医です。

従来の課題である、「画像がタイムリーに共有できず、すぐに必要な指導やフィードバックをもらえないが、e-casebookで画像データをクラウド上で共有することによって、「みんなで簡単に相談しあうことができる」ようになります。

画像データとログがあり、タイムリーに多くのフィードバックがもらえるので、高い学習効果が期待できます。これが価値提供になります。


他のビジネスモデルとの比較

オンラインで症例についてアドバイスをもらったり、ディスカッションするプラットフォームは、「メドピア」も提供しています。

大きな違いは、顧客と症例画像の有無です。メドピアは、製薬業界がメインのターゲットのため、症例画像がなくても有益な情報交換と議論ができると考えられます。

それに対して、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)では、症例画像が非常に重要です。e-casebookでは、国際基準規格の医系データ様式「DICOM」への対応、と症例をアップロードする際、患者さんの個人データを自動的に消去する仕組みにより、画像の共有を実現しています。これが差別化要因となっています。

このビジネスモデルは、症例画像が非常に重要となる、手術に関わる医師、学会、医療機器メーカーにとっては大変参考になります。

エムスリー(参考記事参照)やメドピアは、手術や医療機器というよりはむしろ製薬業界向けのサービスとなっています。

症例画像を共有、技能評価や技能指導することで、手術に関わる医師、学会、医療機器メーカーを囲い込める可能性があります。

大きな可能性を秘めたビジネスモデルではないでしょうか?


参考資料

  • クラウドで越える「技能評価・研修」の壁

<https://www.heartorg.co.jp/archives/voices/20>

  • e-casebook

https://www.e-casebook.com/

  • 【ウーマンシップ】ハート・オーガナイゼーション・菅原俊子社長

<https://www.sankeibiz.jp/business/news/140106/bsl1401060502001-n1.htm>





【ビジネスモデル14】起業成功の方程式その2~「自分の勝てるマーケット」と「自分の強みを生かせる事業フォーマット」の探し方

失敗をゼロにする 起業のバイブル

に引き続き、実際に自分が起業するとしたら?と想定して、本書に書かれている方法を使って、自分自身のビジネスモデルを考えていきます。


3C分析の結果を診断するための絶対的判断基準

前回は、キーワードを抽出して、相対的な分析を行いました。

今回は、絶対的判断基準(下記)を使って、自分が興味あるマーケットについて考えます。

「月間平均検索ボリューム」と「推奨入札単価」から、マーケットのライフサイクルを見定める指標です。

マーケット 競合
月間平均検索ボリューム(回) 推奨入札単価
導入期 数百 10円以下
成長期前半 数千~数万 ~100円程度
成長期後半 数万~数十万 100円程度~
成熟期 数万~数十万 数百円から
衰退期 数万~数十万から減少 ~数百円

自分の興味あるマーケットの状況は?

上記指標を、自分の興味のあるマーケット(キーワード)の検索結果に照らし合わせました。

キーワード 月間検索ボリューム 競合性 推奨入札単価

(低額帯)

推奨入札単価

(高額帯)

比較

倍率

判定
プロジェクトマネジメント 1000~1万 212 404 1 成熟期
ファシリテーション 1万~10万 215 264 15.3 成熟期
オペレーショナルエクセレンス 100~1000 12 20 2.0 導入期
シックスシグマ 1000~1万 353 357 1.1 衰退期
リーン 1000~1万 47 122 4.0 成長期前半
イノベーション 1万~10万 145 310 13.0 成熟期
ビジネスモデル 1000~1万 103 377 1.1 成長期前半
ヘルスケア 1万~10万 100 870 4.6 成長期後半

判定欄に、マーケットライフサイクルを記載しました。比較的簡単に判定できるものと、少し考えたものがあるので下記に補足します。

プロジェクトマネジメント

「プロジェクトマネジメント」単独では検索回数が1000~1万回で成長期前半に見えますが、関連キーワードの「PMBOK」「PMP 資格」「プロマネ」などを合わせると数万回になり、推奨入札単価も数百円なので「成熟期」としました。

ファシリテーション

検索回数が1万~10万回で、推奨入札単価が数百円なので「成熟期」

オペレーショナルエクセレンス

検索回数が数百、推奨入札単価が十円前後なので「導入期」と考えられます。

「オペレーショナルエクセレンス」という言葉自体が浸透していないので、確かにこの言葉だけで考えると導入期になるのかもしれません

ただ、「シックスシグマ」や「リーン」がベースとなっているので、同じものだと捉えると衰退期とみることもできます

私自身は「シックスシグマ」や「リーン」はあくまで要素の一つで、「オペレーショナルエクセレンス」を「結果を出し、新しい価値を創造する総合フレームワーク」と考えています。したがって新しいフレームワークと考え「導入期」としました

シックスシグマ

検索回数が数千~数万回で、推奨入札単価が数百円です。2000年代に一斉を風靡しましたが、現在は古い手法に感じる人も多いので「衰退期」と考えられます。

リーン

検索回数が数千~数万回で、推奨入札単価が百円程度なので「成長期前半」。リーンも2005年頃にブームになったので衰退期だと思っていました。2005年頃はオペレーションの改善手法として脚光を浴びました。

その後、リーンスタートアップやアジャイル開発など、リーンを応用、発展した新しい考え方が出てきているので「成長期」と捉えてよいと考えました。

イノベーション

検索回数が数万~数十万で、推奨入札単価が数百円なので「成熟期」

ビジネスモデル

検索回数が数千~数万回で、推奨入札単価が百円程度なので「成長期前半」。

ヘルスケア

検索回数が数万~数十万で、推奨入札単価が百円程度なので「成長期後半」


勝てるマーケットはどこか?

それぞれのマーケットを、マーケットサイクル上に整理しました。

〇の大きさは、プロジェクトマネジメントを1とした時の勝てる見込みの比率です。〇が大きいほど勝てるマーケットになります。

衰退期を除く3つのフェーズで可能性を考えました。

一つ目は成熟期です。「ファシリテーション」と「イノベーション」は成熟期になりますが、比較倍率から考えると一番勝てるマーケットになります。市場は成熟期なので、個別のニーズに対応するなど競合との差別化が重要となります。

2つ目は成長期です。「ビジネスモデル」、「ヘルスケア」、「リーン」が成長期に分類されています。このうち「ヘルスケア」は多くの異業種が参入し、新しいビジネスが次々に生まれていると実感できます。既に競争が激化している印象です。「ヘルスケア」に比べると「ビジネスモデル」「リーン」は成長期前半なので、まだまだチャンスがあるように感じます。また「ビジネスモデル」と「ヘルスケア」の組み合わせは、自社にとって成長のチャンスだと感じます。

3つ目は導入期です。「オペレーショナルエクセレンス」が導入期で、競争も激しくなく、相対的に一番勝てるマーケット、というのは大変意外でした。ただ、認知されていないので市場規模は小さいです。

「シックスシグマ」や「リーン」とうまく差別化して「オペレーショナルエクセレンス」の価値を訴求できれば勝てるマーケットになる、と考えられます。

以上の分析から、やはり狙い目「勝てるマーケット」は「オペレーショナルエクセレンスですね。


強みを生かせる事業フォーマット

次に方程式の2つ目の要素「強みを生かせる事業ファーマット」について考えます。

下記7つのビジネスモデルの中から、書籍に記載されているチェックリストに従い、自分の強みを生かせる事業フォーマットを3つ選びます。

  • 自分の才能で勝負したい方向けの「自家発電型事業フォーマット」
  • 他人の長所を活かすのが上手な方向けの「プロデュース型の事業フォーマット」
  • 営業力に自信がある方向けの「販売代行型事業フォーマット」
  • 出会いをサポートしたい方向けの「マッチング型事業フォーマット」
  • 組み合わせるのが得意でマネジメント力がある 方向けの「パッケージング型事業フォーマット」
  • 視点がユニークな方向けの「価値転換型事業フォーマット」
  • 情報を集めて整理するのが得意な方向けの「情報整理型事業フォーマット」

選ばれたのは下記3つです。

  • 自分の才能で勝負したい方向けの「自家発電型事業フォーマット」
  • 他人の長所を活かすのが上手な方向けの「プロデュース型の事業フォーマット」
  • 組み合わせるのが得意でマネジメント力がある 方向けの「パッケージング型事業フォーマット」

次回予告

本日はここまで、次回はいよいよ「勝てるマーケット」と「強みを生かせる事業フォーマット」を掛け合わせて、「差別化されたビジネスモデル」を考えます。


参考資料

  • シェア・ブレイン・ビジネス・スクール 代表 中山匡 プロフィール

<http://www.sbbs.or.jp/member/lecturer-list/nakayama-tadashi/>

  • 【完全保存版】キーワードプランナーの使い方と競合に勝つための3つのコツ

<https://innova-jp.com/3651/>

  • 《ミドルのための実践的戦略思考》「プロダクトライフサイクル」で読み解く大手旅行代理店の中堅営業担当・沢田の悩み

<https://toyokeizai.net/articles/-/9215?page=2>

  • 成長曲線・ライフサイクルとはなんでしょうか?

<http://plus-work.jp/kadai/seityo.html>




【ビジネスモデル13】起業成功の方程式その1~勝てるマーケットの簡単な探し方

失敗をゼロにする 起業のバイブル

でビジネスモデルの7つのパターンを紹介しました。

本日は、その7つのパターンを見出した中山匡さんの著書をご紹介します。

失敗をゼロにする 起業のバイブル(中山匡[著])/

10年かけて海外の文献も読み漁り1,061個のビジネスモデルを研究し、小資本でスタートアップが可能なビジネスモデルを7種類22分類に体系化したそうです。

勝てるビジネスモデルを考える上で、その考え方と具体的な方法がシンプルにまとめられていて、大変参考になります。

実際に自分が起業するとしたら?と想定して、本書に書かれている方法を使って、自分自身のビジネスモデルを考えてみます。


理念は後から気づく

「理念は3年後でよい。マーケットのことをよく知り尽くした結果はじめて生まれる。」

という言葉が心に響きました。

私自身は、ビジョンをすごく大事にするタイプで、最初から「強い想い、強い理念」を掲げて起業する方が成功するのかな?と思っていました。

ビジョンや理念は勿論大事ですが、最初から、そんなに明確にならないですよね?

実は弊社の企業理念も、創業時にはありませんでした

また、自分が新しい組織のリーダーとなって組織のビジョンを考える時も、価値観など内部から出てくるものはすぐにできますが、顧客との関係やビジネスゴールのようなものは、ある程度ビジネスを理解しないと具体的なものは出てきません

複数の起業家の方に話を聞いた時も、こんなことやりたい、という溢れるような情熱やイメージは語られますが試行錯誤を繰り返しながら、少しづつ具体的なイメージが作られていくようでした。

最初は、こんなことをやりたい、というイメージはあると思います。そこから経験を積み、マーケットのことを知り尽くした結果、具体的なビジョンや理念が明確になる、ということだと思います。


起業成功の方程式

具体的な理念やビジョンなしで、どうやって起業の方向性を定めるのか?

起業の方向性を示してくれるのが、起業成功の方程式(下記)です。

「勝てるマーケット」×「強みを生かせる事業ファーマット」=「差別化されたビジネスモデル」

勝てる起業とはこの方程式の解を出すこと、です。

方程式のそれぞれの項目で注意することが下記3点で、起業で失敗しない3つの条件となります。

  • 好きなテーマに執着しない
  • 強みを生かして製品サービスの完成度を高める
  • 差別化されたオンリーワンのビジネスモデル

好きなテーマが必ずしも勝てるマーケットではありません。一方で好きでないことはモチベーションが生まれないし、続きません。

好きなテーマの中で、勝てるマーケットを探すことが重要です。

私の場合、「オペレーショナルエクセレンス」が好きなテーマですが、安易に「オペレーショナルエクセレンスのコンサル」、というテーマではダメだと思います。何故なら世の中にはオペレーショナルエクセレンスのコンサルは数多くいるからです。

じゃ、どうすればいいのでしょうか?

ここから、実際に自分が起業するとしたら?と想定して、本書に書かれている方法を使って、自分自身のビジネスモデルを考えてみます。


すぐにできる簡単「勝てるマーケット」の探し方

一番大事な「勝てるマーケット」の探し方です。

基本は3C分析ですが、この本では、すごい簡単な方法が紹介されています。

Google検索のデータを使う方法です。

具体的には「グーグルキーワードプランナー」を使います。

3C分析では下記3要素を分析します。

  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

3C分析と起業成功の方程式の関係は以下のようになります。

起業成功の方程式 勝てるマーケット 強みを生かせる事業フォーマット 差別化されたビジネスモデル
3C分析
  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

「勝てるマーケット」は3C分析では「Customer:市場・顧客(マーケットの大きさ)」と「Competior」競合の2つの要素になります。

これをGoogle検索で簡便に分析することができます。具体的には下記です。

  • Customer(マーケットの大きさ)=月間検索ボリューム

月間検索ボリュームは、どの位の人がそのキーワードに興味があるかを表した数字で市場規模と相関があります。

  • Competiter(競合)=推奨入札単価

推奨入札単価とは、簡単にいうと、キーワードを上位に表示させるために競争入札に必要な単価です。競争が激しいと、競合に負けないように高い入札金額が必要になり、逆に競争が少ないと低い入札金額で済みます。このように、推奨入札単価と競争の激しさには相関があります


自分の興味がある領域で勝てるマーケットはどこか?

それでは、実際に自分の興味がある領域で、かつ「勝てるマーケット」はどこでしょうか?

「グーグルキーワードプランナー」で検索してみました。

キーワードは、このブログからいくつか選びました。

検索結果を表にまとめます。

プロジェクトマネジメントを1とした場合の、その他のキーワードの勝てる見込みを比較倍率で表しました。

例えば、ファシリテーションは、マーケットサイズ(月間検索ボリューム)がプロジェクトマネジメントの10倍で、競争の激しさ(推奨入札単価:高額帯)は404/264=1.53倍です。それらを掛け合わせると比較倍率15.3倍となります。

同じように他のキーワードも計算してみました。

キーワード 月間検索ボリューム 競合性 推奨入札単価

(低額帯)

推奨入札単価

(高額帯)

比較

比較

倍率

プロジェクトマネジメント 1000~1万 212 404 1 1
ファシリテーション 1万~10万 215 264 10×404/264 15.3
オペレーショナルエクセレンス 100~1000 12 20 1/10×404/20 2.0
シックスシグマ 1000~1万 353 357 1×404/357 1.1
リーン 1000~1万 47 122 1×404/102 4.0
イノベーション 1万~10万 145 310 10×404/310 13.0
ビジネスモデル 1000~1万 103 377 1×404/377 1.1
ヘルスケア 1万~10万 100 870 10×404/870 4.6

意外だったのは、「ファシリテーション」や「イノベーション」といった馴染みがあるキーワードの方が、「プロジェクトマネジメント」と比較して倍率が10倍以上となり、勝てるマーケットであるという結果です。

すごく競合も多そうですが、検索ボリューム(マーケットサイズ)の割りに、推奨入札単価がそれほど高くなく、競争が激しくない、ということになります。

「オペレーショナルエクセレンス」や「リーン」は、検索ボリュームが少なくマーケットサイズが小さいですが、競争も激しくない(推奨入札単価が低い)ため、「プロジェクトマネジメント」よりも勝てるマーケットという結果になりました。

本日はここまでです。

今回は、キーワードの相対比較を行いましたが、絶対基準やライフサイクルも考慮した勝てるマーケットの考え方も本書で紹介されていました。

方程式の2つ目の要素「強みを生かせる事業フォーマット」と合わせて次回まとめます。


参考資料

  • シェア・ブレイン・ビジネス・スクール 代表 中山匡 プロフィール

<http://www.sbbs.or.jp/member/lecturer-list/nakayama-tadashi/>

  • 【完全保存版】キーワードプランナーの使い方と競合に勝つための3つのコツ

<https://innova-jp.com/3651/>